Sliding Cafeマスターのブログ

ジャズのアーティキュレーション指示

昨日アレンジしたトロンボーンとチューバのデュエット版Take The 'A' Trainの楽譜が完成。明日のレッスンで楽譜引き渡しとワンポイントアドバイスなども行う予定。ジャズ初心者の方なので、ジャズらしいニュアンスを出しやすいようなアーティキュレーション指示を譜面に書いたのですが、テヌート、スタッカート、スラー、アクセント等の指示記号だけでは、ジャズ特有の演奏表現を伝える事は到底無理です。まぁ、これはジャズに限らずクラシックでも他ジャンルの音楽でもそうだと思いますが、楽譜のみで作曲者、編曲者の意図するところを全て演奏者に伝えるという事は出来ません。あとは、もう演奏者の技量とセンス次第ですね。

ジャズという音楽は楽譜に書かれた事が全てではなく、特にコンボ演奏においては、原曲のメロディーを崩して(フェイクして)、更にその曲のコード進行を用いて全く別のライン(要するにアドリブ)を演奏する訳ですから、ジャズコンボにおいては、楽譜はただ単なる素材でしかない、とも言えます。しかし、ジャズでも編成が大きくなって、きっちりアレンジを施してアンサンブルでの聞かせどころが増えて来ると、楽譜にも細かくアーティキュレーション指示を書く必要があります。ビッグバンドでは、アドリブよりもアンサンブルの比重の方が大きいのが一般的なので、演奏のニュアンスの付け方は異なりますが、クラシック音楽と同じように、楽譜に書かれた演奏指示を忠実に守る必要があります。このようなラージジャズアンサンブルの場合、演奏者がいわゆる「ジャズ語(ジャズのニュアスやアーティキュレーション、リズムのノリ方等)」を理解している奏者であれば、事細かく演奏指示を書く必要はないのですが(むしろ書かない方が楽譜の見た目がスッキリして読みやすい)、「ジャズ語」を知らない奏者に対しては、「ジャズ語」を理解しやすいように事細かく演奏指示を書いてあげる必要があります。しかしながら、楽譜で指示できる演奏指示記号にも限界があり、なかなか「ジャズ語」として聞こえてこないことの方が多いのも事実。

楽譜はとても便利なものですが、伝統芸能の世界では師匠から弟子へ芸を伝授していくのと同じように、音楽も本来は直接人から人へ伝えていくべきものなのかもしれません。

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