木村秀子 Blog

ピアニスト 木村秀子の音楽日記

セネガル旅行記 7.ンゴール島へ

2018-04-26 21:49:11 | セネガル
2月10日(土)
やっと時差ボケが解消されてきた。
朝食後にザールとリハーサル。
リハ室に行くとお隣のベランダから白い動物が見えた。
ヤギだ!ベランダでヤギを洗っているのだ。

セネガルのペット事情は不思議だ。ヤギや馬、鶏を飼っている家はあるが、
犬や猫を飼うなんてことはまず無い。
人間の食べ物と直結していない生き物は後回しなのだろう。
セネガルで見た猫は皆、眼付が鋭く、野性味溢れた表情をしていた。
          ←セネガルの猫さん

リハーサルで少しづつ彼の曲に慣れてきた・・・と思ったら
また新しいアレンジが加わる。
目の前で彼がギターを弾き、それをキーボードで再現して
覚えるまで弾く。おーい、私の記憶力やーい。どこだーい?
リズムがちょっとでも走ったり、ヨレたりするとすぐに指摘される。
くー、弾けないなぁ。もどかしいなぁ。幾つになってもこの繰り返しか。
でも、教えているザールの方がもっともどかしいのだろうから、
こうなったら弾けるまでやるしかないのだ。
そんな鈍くさい日本人を後目に、家の外ではヤギさんたちが
悠々と道を横切る。
          

リハ室にザールの奥さんアワが登場
「ちょっと出かけてくるわ」ってめっちゃ着飾っている。
セネガルの人々は皆お洒落だ。
          
行事に向けてしょっちゅう新しい衣装をしたてるのが女性たちの楽しみで
セネガルは「着倒れの国」と言われているらしい。
家の奥さんがお洒落で、ぽっちゃり太っていないと
そこのご主人は甲斐性のない人とみなされるんだって。

しばらくしてタマ(トーキングドラム)奏者のジビィが車で迎えに来てくれた。
ザールの友人のフランス人女性キャロリーンが
セネガルに来ているから一緒にンゴール島という島に行こうとの事。

キャロリーンはフランスのテレビ局の構成作家をしていて、
番組のエンディングにザールの曲を使ったり、
彼女の歌詞にザールが曲を付けて演奏したりしているんだとか。
ウォロフ語も話せる。英語も上手い。
一緒に居ると実に楽ちんな気持ちになる。
また話す内容で彼女が知的な女性である事がよく解る。

車を降りると海が見えた。
日本にはない、深いエメラルドグリーンの海。
          
この辺はかつてレブー族が漁業で生計を立てていたが
(のち、ウォロフ族との混血が増え、今では
レブーと言えばヨフという村の漁師たちの事を指す。)
今では海外の漁船が魚を大量に取っていってしまう為、
レブー達の漁業が廃れていったんだとか。
使われていない漁船が沢山置かれていた。

船で500メートルくらい渡ったところにンゴール島がある。
島のレストランで食事をしていると
ザールに一本の電話が入る。
テレビ出演の依頼だ。
カズとザールの27年前の出会いからミュージシャンとしての
再会の話などがインタビューされるそうだ。
良かった。やっと仕事らしくなってきた。

食後、島の周りをぶらぶらしていると太鼓の音が聞こえるので
行ってみた。
ザールが飛び入りし、キャロリーンも踊る。
私もカズもジャンべで参加。
島の人がドゥンドゥンを叩く。
観光客であろう白人達も手拍子をする。
          

やっぱり、太鼓を叩けばみんな友達だ。
          

この時期のンゴール島は風も強いので、
海外からサーファー達がやってくるんだとか。
サーファー御用達の宿泊施設もある。

島を出ようと船を待っている間に
すっかり日が暮れて寒くなっていた。
          ←島の夕暮れ
砂浜でサッカーの練習をしていた若者たちが
焚火にあたっていたので我々もあたらせて貰う。
火にあたろうとすると若者たちが
スッと場所を開けてトレーニングに戻る。
本当にみんな優しい。
セネガル人は砂地でサッカーのトレーニングをするのが
当たり前なのだろう。
手足の長いセネガル人達とワールドカップ
1次リーグで当たる日本は大丈夫だろうか?

船で陸に戻り、帰りにBlue Saxoというライブハウスに寄る。
ザールがフランス語で店のマネージャーと話をしている。
数字と曜日くらいは私でも分かる。
どうやらブッキングの話っぽいな。
ってかおい、ブッキング決まってなかったんかーーーーーい!

続く

#セネガル #アフリカンミュージック #ンゴール島






セネガル旅行記 6.持つべきものは友と知恵

2018-04-17 09:20:54 | セネガル
2月9日(金)
夜中に目が覚めてしまう。まだ時差ボケだ。
金曜日はイスラムの礼拝が特に盛大だそうで、朝五時にまたコーランの放送が街中に鳴り響く。
やる事がないから、コーランの節回しを採譜するが、12音階だと全くニュアンスがでない。
後で起きてきたカズが1/4音の記譜の仕方を教えてくれた。
          ←ザール宅から見える朝の空

ブランチ後にザール夫妻とメディナに行く。
タクシーを捕まえようとするが、
私のような外人を見ると料金を上乗せして請求してくる為、
捕まるまでザール夫妻と少し離れて他人のふりをする。
タクシーは乗る前に値段交渉をするのがセネガルスタイルだ。
今回の旅で移動はほとんどタクシーだったが、
乗った車の9割はスピードメーターもタコメーターも動いていなかった。
それでも「ヴヲォォォォォォォーン!」という、もの凄い音をたてて、もの凄いスピードで運転する。
          ←すごいスピードのタクシー
セネガルは信号がなく、交差点はラウンドアバウト形式だ。
街中に行くと渋滞したラウンドアバウトの交差点にみんなグイグイ車で入ってくる。
大丈夫か?と思っていたら案の定、事故もいくつか目撃した。それでもグイグイ入ってくる。

高速料金所で車が渋滞すると、車道に多くの物売りの人々が出没する。
バナバナというらしい。
バナナやカシューナッツ、ピーナッツを大量に手にして車の周辺を練り歩いているが、
中には、電熱器やキラキラの壁掛け時計、イスラムの導師であろう人の肖像画などを持って
練り歩いている人もいる。
それ、誰が買うんだろう?
そして、車中に居る私のような外人を見つけるとピターっと車にくっついて
マダム、マダムと言いながら商品を見せてくる。
みんなタフだ。生きるのに必死なのだ。

メディナに着き、両替所に行くが、閉まっていた。
          ←カーラピッド。RAPIDと言っても乗り合いバスなので遅い        
あれ?金曜って休み?と思っていたら、金曜日は昼の14時から約15分程度イスラムの礼拝の時間で閉まっているのだ。
           メディナの街並み。
日本に居る時、どれが一番安く両替できるかいろいろ考えた。
日本でユーロにして、それをセネガルでセーファーフランに換金する方法。
日本でUSドルにしてセネガルでセーファーにする方法。
ATMが使えるのか分からなかったので、この2点で考えたのだが、
後々、小銭が余っても使う予定があるのはドルかな?などと思い最初はUSドルに換金する作戦にでた。
でもセネガルの両替所で日本円からセーファーに換金できる事を知り、
そうか!これが、一番手数料がかからないじゃないか!と日本円からセーファーに換金してみた。
しかし、換金率が悪かった・・・。USドルからセーファーに換金した方がまだ良かった。円のパワーは思った以上に弱かった。
結果、2018年2月の時点では、ダカールではATMから直接引き出すのが良いと思う。
もう一つの誤算は、予想以上に物価が高かった。
ダカールは人口200万都市で日本でいうと名古屋くらいだ。
昭和30年代の名古屋って今のダカールみたいだったのかな?知らんけど。
          ←昭和30年代の名古屋

両替を済ますとザールの娘バヤンのお家でチェブヤップをご馳走になる。炒めご飯の上にお肉と野菜を乗せたもの。
こちらも絶品!

↑写真を撮ろうとしたら、ザールの孫がお皿を持っていてくれた。重たいだろうに、ありがとう!

食後はサンダカのマーケットでパーニュ(アフリカの生地)を買いに行く。
サンダカは日本で言うアメ横のような街並みだ。
ザールは有名人で買い物に行くと色々な人に話しかけられて疲れるそうで、ザールの奥さんのアワとバヤンに同行してもらう。
アワに連れて行って貰ったお店の店主は英語が話せるので、
生地1ヤード幾らかと聞くと、買うもの全部決めたら交渉しようという。
買うものを決めた。交渉しようとすると、さらに、あれはどうだ、これはどうだとグイグイ進めてくる。
そういうの要らないから全部で幾らか聞くと、思ったより高い。
ちょっと買いすぎたかな。しぶしぶ払うと、
横にいたアワが店主に向かってもの凄い勢いで怒鳴り始めた。
すると店主がふてくされて、私に2万セーファー(約¥5.000)を返してきた。
あぁ、やっぱり私、ぼったくられていたのか。
店主が「ヨーロッパの観光客ならもっともっと取る所だったが、彼女の知り合いだからあの値段にしたんだ。
なのに彼女が高いというから2万セーファー返してやる」と言ってお金を渡し店の奥に行く。
マジか、なんだそれ。返品してやるよ。と店の奥に行く店主を追いかけてみたものの、
「もうこれで終了だ、すべて終わり。取引はしない」と言ってきた。
あの店主、最初っから
「日本人か。日本にいる○○(日本で活躍しているセネガル人ミュージシャン)は俺の友達だよ」とか
「このご婦人(アワ)は若く見えるから娘さんと一緒の時、姉妹かと思ったよ」とか、
やたら愛想がいいなと思ったら、そういう事だったのか。
結局、相場の値段で買えたから良しとするか。知らないって怖いね。
アワ、本当にありがとう。持つべきものは友と知恵だ。

バヤンの家に戻るとアワの双子のお姉さんだか妹だかが居たり、
ザールのもう一人の娘アイシャだったり、
親戚なのかどうなのかも分からない人が入れ替わり立ち代わり来る。
私は特にやることも無く、ウォロフ語も分からないので、奥の部屋でゴロゴロする。
よそのお宅にお邪魔している感覚はどんどん薄れる。なんだ、この居心地の良さは。
          ←ザールの孫娘。目がクリクリ!
夕方、日本から帰省中のボガがバヤンの家に来た。
日本語の上手なアフリカ人と話せてホッとする。

ザール宅に戻ると食べ過ぎと寝不足で朦朧としていたので、
夕食は遠慮し、そのままベットに撃沈する。

続く。


#セネガル #両替 #アフリカンミュージック






セネガル旅行記 5.Don't think,Feel ??

2018-04-05 17:53:44 | セネガル
2月8日(木)

時差ボケで夜中に目が覚める。
毎朝5時にコーランの放送が街中に流れている。とてもメロディアスだ。
セネガルに騒音問題ってあるのだろうか?
ふと除夜の鐘や盆踊りにクレームをつける日本人のニュースを思い出す。
相手を尊重する精神が無くなると文化が消える気がする。
それとも単純に場所の広さの問題なのかな?

寝れないしやる事もないので、サンバ君が弾いていたンバラスタイルを採譜する。
これ弾けたら相当カッコいいだろうなぁ。
20ン年前、ジャズが弾けたらいいなぁー。って思っていたあの頃を思い出す。
なぁーんだ、何も変わっていないじゃないか。なんだか嬉しいぞ。ンバラ弾けてないけど。

ブランチを頂いた後はまたリハーサル。
と思いきや練習が始まるとすぐに、ザールの孫が手作りのお菓子を持ってきてくれた。
おっ、見た目も味もサーターアンダギーみたいだな。
      
セネガルのベニエらしい。手作りならではの優しい味だ。
それにアタヤというお茶も入れてくれた。これは中国茶を苦く苦く入れ、それに砂糖を加え甘く甘くしたもの。優しさとは裏腹な味だ。暑い日にはいいのかな。

ブランチ後なのに、美味しくてまた食べる。そして練習。でもしばらくすると昼食が用意される。こちらはホワイトチェブジェン。
          
お腹いっぱいだったはずなんだけどなぁ。また食べてしまう。
セネガルのもてなしは徹底している。

そしてまた練習するが途中で「パンッ」という音と共に楽器が鳴らなくなる。停電だ。
回復するまでしばし休憩。アフリカらしい。

夕方、電気が回復するとドラムのサミュエル君が登場し、リハが再開する。彼はコーラスも上手くいい声で瞬時にハモリを付けてくる。
凄いな。何食べたらそんなになるんだ?ホワイトチェブジェンか?
19時くらいになるとサミュエル君が「シィー」っと口元に人差し指を置き、音量を下げる様に指示する。コーランだ!
街中にコーランが鳴り響いている時は音量を下げてリハーサルをするそうだ。
イスラム教では毎週金曜日がお祈りの日で、木曜日の夜からお祈りはガンガンに盛り上がっている。

20時になりリハーサル終了。
その後は部屋に戻りリハの音源を採譜する。
採譜しながらふと思う。
セネガル人がこんなに複雑なリズムをさらっとこなすのは、
譜面なんか見ないでそういう物だと思ってひたすら反復練習しているからなんだと。
「Don't think,Feel」
セネガルにて何故か燃えよドラゴンでのブルース・リーのセリフが頭をよぎる。

でもね、覚えられないのもあるのだが、
なんとなーく弾けたつもりになっちゃうのが怖いので
つい、採譜して確認してしまうのだ。
そしてあーでもないこーでもないといろいろ考える。
Don't think,Feelの領域は程遠いのである。

続く。


#セネガル #アフリカンミュージック