『私の本棚』

※不定期公開

運の良い方、縁の有る方、勘が働く方。

ご覧戴けたら幸いです。

心の宝箱【娘の父親なんて、つまらん。大切に大切に愛おしんで育ててきた娘を、取られるだけなんて】

2024-11-12 18:29:10 | 心の宝箱:小路幸也


『夏服を着た恋人たち マイ・ディア・ポリスマン③』小路幸也19(祥伝社2019/10/10)

 

謎のカギを握るのは一枚のメモと高層マンション!?
奈々川駅前の高層マンション“グレースタワー”最上階の部屋が暴力団の事務所になっている。
“東楽観寺前交番”に寄せられた通報を受け、赴任三年目の夏を迎えた宇田巡は捜査に向かう。
一方、巡の恋人で新人マンガ家の楢島あおいは年配の女性が不審な男に封筒を渡す場面を目撃してしまう。
オレオレ詐欺事件と判断したあおいは伝説の掏摸の祖母から受け継いだ技を使って、男の胸元から1枚のメモを掏り取る。
そんな折、あおいの父の明彦は長年行方不明だった大学時代の同級生、脇田広巳を町で見かける。シリーズ第3弾。


・娘の父親なんて、つまらん。
大切に大切に愛おしんで育ててきた娘を、取られるだけなんて P21



心の宝箱【人間は、皆が善人じゃない。善人の心の中だって闇はある。その闇を穏やかな光で包み、表に出さないようにして皆が平和に暮らせるようにすることが、警察官の存在意義】

2024-11-12 16:54:44 | 心の宝箱:小路幸也


『春は始まりのうた マイ・ディア・ポリスマン②』小路幸也18(祥伝社2018/10/20)


夜空に浮かぶのは満開の桜と白いお化け!?
東楽観寺前交番に赴任して三年目の巡査宇田巡。
彼のもとに幼馴染みで音楽事務所社長の市川公太がやってきて、白い化け物に出くわし荷物をとられたと言う。
実は似た訴えはこれで三件目。巡は捜査を開始する。
一方、巡の彼女で伝説の掏摸の孫にしてマンガ家デビューをしたばかりの
楢島あおいは高校の卒業式の帰りに巡を見張っている男がいることに気づく。
身許を確かめようとしたところ、その男の懐にあったのは警察手帳だった。
犯罪者が判るお巡りさんと伝説の掏摸の血を受け継ぐ美少女マンガ家、
超絶記憶を誇る兄弟に新たな凄ワザメンバーが登場。シリーズ第2弾


・<芸術は完成しない>って言葉が、すごく納得できた。
マンガや小説や商業作品を完成させるのは実は締切なんだってことが、肌でわかってすごくこわくなった P21

・恋は女を綺麗にさせるってのは本当だよ P35

・若い女の子の瞳はどんなにへちゃむくれな子だって大抵はきれいなもんだけど、
中にはどんよりとしてしまっている子もいる P40

・人間は、皆が善人じゃない。
善人の心の中だって闇はある。
その闇を穏やかな光で包み、表に出さないようにして皆が平和に暮らせるようにすることが、
警察官の存在意義だと思っている P101

・人間は、愚かだ。
警察官になる人間が全員善の心しか持たないなどということは、ない。
人間は闇を持つからこそ犯罪が起こる。
その犯罪を、警察官は取り締まる。犯罪者を逮捕する。警察官は犯罪者を知る。
だから、犯罪者の気持ちをよく理解する。
理解できるからこそそこに染まるものもいる P111

・頭悪いからって
言葉で何もかも括っちゃって自分をあきらめるのがいちばん腹が立つ P143

・人間って都合のいい動物でさ。
これは見えなくてもいいんだ、と脳が認識してしまったときには、
たとえそのものが視界に入っていても、何も見えていないのと同じになってしまうものだよ P214

・人はやり直せるっていうのを身をもって示した男だね P224


心の宝箱 【才能は、残酷だと思う。どんなに努力しても追いつかないものがそこにある】

2024-11-12 11:03:12 | 心の宝箱:小路幸也


『マイ・ディア・ポリスマン』小路幸也17(祥伝社2017/7/20)

 

奈々川市坂見町は東京に程近い古い町並みが残る町。
元捜査一課の刑事だった宇田巡は理由あって東楽観寺前交番勤務を命じられて戻ってきたばかり。
寺の副住職で幼なじみの大村行成と話しているとセーラー服姿のかわいい女子高生楢島あおいがおずおずと近づいてきた。
マンガ家志望の彼女は警官を主人公にした作品を描くために巡の写真を撮らせてほしいという。
快くOKした巡だったが、彼女が去ったあと交番前のベンチにさっきまでなかったはずの財布が。
誰も近づいていないのに誰が、なぜ、どうやって?
疑問に包まれたまま財布の持ち主を捜し始めた巡はやがて意外な事実を知ることに。
町の住人たちが謎を解く新感覚ミステリ

・世の中、そんなに何もかも上手いこといくはずがない。
そもそも上手くいかないから何とかしようって頑張る人がいるから何とかなっている P47

・容姿に自信がなくてしかもモテない奴ってのは結局自分にも自信がないからどんどん卑屈になっていって、
それがバンバンニ充満しちまって表に発散されてくからモテないんだよ P62

・才能は、残酷だと思う。
どんなに努力しても追いつかないものがそこにあるんだ P113

・神も仏もどうしようもない人間って確かに存在するんだが、
多くの場合はちょっとしたボタンの掛け違いみたいなことで、崩れていくんだ。
だから、誰かがそのボタンの掛け違いを直してやることで
それまでとは嘘のように事態が好転していくことは多々ある P244



心の宝箱 【身体ってのは、自分で治す力を持ってんだよ。薬ってのはそいつを弱めちまうんだ】

2024-11-10 20:09:17 | 心の宝箱:小路幸也


『東京バンドワゴン』小路幸也 04(集英社2006/4/30)

 

東京下町、明治18年から続く老舗古本屋東亰バンドワゴンを営むのは4世代の大家族。
語り手は堀田サチ(76歳で故人)天国から堀田家を見守る優しいおばあちゃん。
古本屋3代目店主の堀田勘一(79歳)を大黒柱に、金髪ロッカーの不良息子の我南人(60歳)、
孫のおっとり藍子とフリーライターの紺、女性関係のトラブルが絶えない青、
紺のお嫁さんで併設するカフェを切り盛りする亜美と個性の強いキャラクター揃いにひ孫たち。
堀田家一家はいつも賑やか。時にはお節介で面倒な家族だが、いつも「おかえり」と言ってくれる家族。
ちょっと変わった家訓に従い、季節ごとに起きる不思議な事件を解決していく堀田家一家の1年。
『春、百科事典はなぜ消える』『夏、お嫁さんはなぜ泣くの』『秋、犬とネズミのブローチと』『冬、愛こそすべて』
4話連作短編集。


・まちがうことありますよね。
ゆるせないことあります。
でも、それを、ゆるしてあげられるのは、ゆるせなくても、
そばにいてあげられるのは、やっぱりおやことか、かぞくしかいないとおもうんです P77

・意地を張るのにももうみんな疲れているんだ P138

・身体ってのは、自分で治す力を持ってんだよ。
薬ってのはそいつを弱めちまうんだ P217

・別の人間を演じることで観る人に感動を与えてしまう P231

・自分の思う通りにするっていうのも、若い人の特権(略)
それを認めてあげるっていうのも年寄りの度量 P249



心の宝箱【どんなに〈善い人〉でも、関わって証言した人の心の有りようで変わってしまうんだ。〈善い人〉のことを悪く言う人は、大抵の場合心の貧しい人だ】

2024-11-10 10:14:28 | 心の宝箱:小路幸也


『札幌アンダーソング・間奏曲』小路幸也 03(角川書店2015/3/30)

 

駆け出し刑事の仲野久が勤務する札幌の警察署に「おおきな ゆきたいせきば みっつのうちのひとつに したいをうめた」という謎の手紙が届く。雪堆積場とは雪国特有の排雪した雪を運び溜めておく場所のことだが、その手紙だけを頼りに巨大な雪堆積場を掘り起こすわけにはいかない。捜査が進む中、久の先輩刑事の根来は被害者とされる男の娘に「あの娘には、背徳の匂いがする」と不審を抱き、変態の専門家で超絶美少年の志村春に協力を要請する。平凡刑事と天才探偵の奇妙な事件簿第2弾。


・人間、生きるのに必死だと余計なことはしません P10

・究極の快感は、快楽を感じながらの死。
だから自殺する人の中には死のうと思って死ぬんじゃなくて、
快楽をむさぼった結果の死っていうのも意外と多いんだ P58

・人間っていうのは生きていけば、
そしてたくさんの他人と関わっていけば必ずいくつかの顔が語られるようになるんだ。
たとえどんなに〈善い人〉でも、
ある人にとっては〈普通の人〉になったり、ある人にとっては〈酷い人〉になったりもする。
関わって証言した人の心の有りようで変わってしまうんだ。
〈善い人〉のことを悪く言う人は、大抵の場合心の貧しい人だ P72

・殺人事件でいちばん多いのは身内や知人間の犯罪(略)
犯人は、家族もしくは親族あるいは顔見知りっていうのがいちばん多い(略)
殺人という悲劇は、人間社会が、家族というものがそこに存在する限り、この世からなくならない P125