『オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ 東京バンドワゴン⑥』小路幸也(集英社文庫2013/4/25)
東亰バンドワゴンの店主勘一の4人のひ孫たちは元気に成長している。最年長の花陽は中3の受験生。
「医者になりたい」という夢を抱き、勉強に励んでいる。祖父我南人の影響か、音楽好きの研人は中学1年生に。
図書委員になったり、ギターの練習に打ち込んだり、充実した新生活をスタートさせた。
同じ日に生まれたかんなと鈴花はもうすぐ2歳。おしゃべりも上手になり、家族中を和ませる天使のような存在。
そんな中、葉山に住む勘一の妹淑子さんの体調が思わしくない。
家族皆、そのことを気がかりに思い、その一方では家の内でも外でも、日々大小の事件が起こっては落着。シリーズ第6弾。
『春、林檎可愛やすっぱいや』『夏、歌は世につれどうにかなるさ』『秋、振り向けば男心に秋の空』
『冬、オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ』4話連作短編集。
・親と子の関係というのは、昔も今も難しいもの(略)
そういうときは単純に考えればいいんです。
優しくすることと、厳しくすること(略)
とはいえ、人間だから悩みますよね。
悩んで、でも笑って。そしてまた悩んで。
その繰り返しで日々を過ごしていくことが、暮らしているってことです P115
・年寄りが我儘になるのは、いつおさらばしてもいいように好き勝手やるから P132
・自分の目標を見つけられればしっかりしてくる P162
・人は弱いですから、いろいろ間違いも起こしますよ。
それは誰でも、大なり、小なりあることです。
でも、それに囚われていては、生きている甲斐がなくなってしまいます。
大きな過ちでも、小さな過ちでも、それを償うためにしなければならないことは同じですね。
しっかりと自分の足で歩いていくことですよ。
周りの人に支えられてでも、それが恥ずかしくても、自分が情けなくても、歩いていかなきゃならないんです(略)
そうしていけばきっといつか、傷は癒えるものです P209
・人ってやつはね、失ったもんをいつまでも抱えてちゃ荷物になって重くて歩けなくなっちまう。
忘れなきゃならねぇんだ。自分の中できっちりケリをつけて、そこに置いていかなきゃならねぇ。
そいつが喪の仕事さ P336