『私の本棚』

※不定期公開

運の良い方、縁の有る方、勘が働く方。

ご覧戴けたら幸いです。

心の宝箱【マイナス思考に陥るのは実に簡単なんだよ。それに比べたら、プラス思考のいかに難しいことか。 苦しいときこそ人の真価が問われる】

2024-11-12 20:24:50 | 心の宝箱:池井戸潤


『下町ロケット②ガウディ計画』池井戸潤04(小学館2015/11/10)

 

ロケットエンジンのバルブシステムの開発により、倒産の危機を切り抜けてから数年。
大田区の町工場・佃製作所は、またしてもピンチに陥っていた。
量産を約束したはずの取引は試作品段階で打ち切られ、
ロケットエンジンの開発では、NASA出身の社長が率いるライバル企業とのコンペの話が持ち上がる。
そんな時、社長・佃航平の元にかつての部下から、ある医療機器の開発依頼が持ち込まれた。
「ガウディ」と呼ばれるその医療機器が完成すれば、多くの心臓病患者を救うことができるという。
しかし、実用化まで長い時間と多大なコストを要する医療機器の開発は、
中小企業である佃製作所にとってあまりにもリスクが大きい。
苦悩の末に佃が出した決断は?
医療界に蔓延る様々な問題点や、地位や名誉に群がる者たちの妨害が立ち塞がるなか、佃製作所の新たな挑戦が始まった。


・なぜ、それをやるのか―――?
長く苦しい開発をしているとき、その問いの答えさえわかっていれば、迷うことはない。
そして、その答えは単純明快なほうがいい P104

・いじけて何になる(略)
人間ってのはな、マイナス思考に陥るのは実に簡単なんだよ。
それに比べたら、プラス思考のいかに難しいことか。
 苦しいときこそ、人の真価が問われるんだ P108

・どこに行っても楽なことばかりじゃない。
 苦しいときが必ずある。そんな時には、拗ねるな。そして逃げるな。さらに人のせいにするな。
それから―――夢を持て P119

・最初から悪い奴はいない。
 不満やすれ違い。ちょっとした勘違いが思わぬ事態を招いてしまうことだってある P132

・いろいろな壁が世の中にはある。 楽にうまくいく仕事なんてないさ。
だからといって、逃げたら何ひとつ、残らない。 実績も評価もだ(略)
この困難な状況でどうするか。ここから先が、佃製作所の真骨頂のはずだ P154

・自分のやりたいことをさえやっていれば、人生ってのは、そんなに悪いもんじゃない P368



心の宝箱【娘の父親なんて、つまらん。大切に大切に愛おしんで育ててきた娘を、取られるだけなんて】

2024-11-12 18:29:10 | 心の宝箱:小路幸也


『夏服を着た恋人たち マイ・ディア・ポリスマン③』小路幸也19(祥伝社2019/10/10)

 

謎のカギを握るのは一枚のメモと高層マンション!?
奈々川駅前の高層マンション“グレースタワー”最上階の部屋が暴力団の事務所になっている。
“東楽観寺前交番”に寄せられた通報を受け、赴任三年目の夏を迎えた宇田巡は捜査に向かう。
一方、巡の恋人で新人マンガ家の楢島あおいは年配の女性が不審な男に封筒を渡す場面を目撃してしまう。
オレオレ詐欺事件と判断したあおいは伝説の掏摸の祖母から受け継いだ技を使って、男の胸元から1枚のメモを掏り取る。
そんな折、あおいの父の明彦は長年行方不明だった大学時代の同級生、脇田広巳を町で見かける。シリーズ第3弾。


・娘の父親なんて、つまらん。
大切に大切に愛おしんで育ててきた娘を、取られるだけなんて P21



心の宝箱【できない理由を見つけるのはたやすい。だが、それでは何も進展しない】

2024-11-12 17:26:00 | 心の宝箱:黒野伸一

『限界集落株式会社』黒野伸一02(小学館文庫2013/10/13)

起業のためにIT企業を辞職した多岐川優が人生の休息で訪れた故郷は限界集落と言われる過疎・高齢化のため
社会的な共同生活の維持が困難な土地、優は村の人たちと交流するうちに集落の農業経営を担うことになる。
現代の農業や地方集落が抱える様々な課題、抵抗勢力と格闘し、限界集落を再生しようとするのだが…。
集落の消滅を憂う老人達、零細農家の父親と娘、田舎に逃げてきた若者。かつての負け組が立ち上がる。
過疎・高齢化・雇用問題・食糧自給率、日本に山積する社会不安を一掃する地域活性エンタテインメント。


・のんびりはいいが、不便はちょっと勘弁してもらいたい P4

・理想を持たずして、経営など語れませんよ(略)
できない理由を見つけるのはたやすい。
だが、それでは何も進展しない P110

・掛け声が大事なのだ。
誰が見ても不可能な分野に挑戦するためには、
常に士気は高く保たれなければならない P133

・物事というのは、体験してみないとわからない。
経験の積み重ねによって、あるレベルに達した後でなければ、その部門の管理者になるべきではない P164

・組織をうまく運営するためには、適材を適所に配置しなきゃならん。
ちゃんと努力したって、合格点を取らなければ失格なんだ。
だが、失格になったやつだって、別の分野で異能を発揮することもある。
それが個々の特性ってもんだ P167

・未来のことより、明日のことしか考えない P262



心の宝箱【人間は、皆が善人じゃない。善人の心の中だって闇はある。その闇を穏やかな光で包み、表に出さないようにして皆が平和に暮らせるようにすることが、警察官の存在意義】

2024-11-12 16:54:44 | 心の宝箱:小路幸也


『春は始まりのうた マイ・ディア・ポリスマン②』小路幸也18(祥伝社2018/10/20)


夜空に浮かぶのは満開の桜と白いお化け!?
東楽観寺前交番に赴任して三年目の巡査宇田巡。
彼のもとに幼馴染みで音楽事務所社長の市川公太がやってきて、白い化け物に出くわし荷物をとられたと言う。
実は似た訴えはこれで三件目。巡は捜査を開始する。
一方、巡の彼女で伝説の掏摸の孫にしてマンガ家デビューをしたばかりの
楢島あおいは高校の卒業式の帰りに巡を見張っている男がいることに気づく。
身許を確かめようとしたところ、その男の懐にあったのは警察手帳だった。
犯罪者が判るお巡りさんと伝説の掏摸の血を受け継ぐ美少女マンガ家、
超絶記憶を誇る兄弟に新たな凄ワザメンバーが登場。シリーズ第2弾


・<芸術は完成しない>って言葉が、すごく納得できた。
マンガや小説や商業作品を完成させるのは実は締切なんだってことが、肌でわかってすごくこわくなった P21

・恋は女を綺麗にさせるってのは本当だよ P35

・若い女の子の瞳はどんなにへちゃむくれな子だって大抵はきれいなもんだけど、
中にはどんよりとしてしまっている子もいる P40

・人間は、皆が善人じゃない。
善人の心の中だって闇はある。
その闇を穏やかな光で包み、表に出さないようにして皆が平和に暮らせるようにすることが、
警察官の存在意義だと思っている P101

・人間は、愚かだ。
警察官になる人間が全員善の心しか持たないなどということは、ない。
人間は闇を持つからこそ犯罪が起こる。
その犯罪を、警察官は取り締まる。犯罪者を逮捕する。警察官は犯罪者を知る。
だから、犯罪者の気持ちをよく理解する。
理解できるからこそそこに染まるものもいる P111

・頭悪いからって
言葉で何もかも括っちゃって自分をあきらめるのがいちばん腹が立つ P143

・人間って都合のいい動物でさ。
これは見えなくてもいいんだ、と脳が認識してしまったときには、
たとえそのものが視界に入っていても、何も見えていないのと同じになってしまうものだよ P214

・人はやり直せるっていうのを身をもって示した男だね P224


心の宝箱【大事なのは、まちがいを起こしたあとだよね。そのあとにどう動けるか】

2024-11-12 16:48:00 | 心の宝箱:小野寺史宜


『まち』小野寺史宜(祥伝社2019/11/20)

 

尾瀬ヶ原が広がる群馬県利根郡片品村で歩荷をしていた祖父に育てられた江藤瞬一。
高校卒業とともに上京し、引越の日雇いバイトをしながら荒川沿いのアパートに住んで四年になる。
かつて故郷で宿屋を営んでいた両親は小学三年生のときに火事で亡くなった。
二人の死は自分のせいではないかという思いがずっと消えずにいる。
近頃は仕事終わりにバイト仲間と他愛のない話をしたり、
お隣の母子に頼まれて虫退治をしたり、町の人々に馴染みつつあった。
そんなある日、突然祖父が東京にやって来る。
じいちゃんが、父が、母が、身をもって教えてくれたこと。



・無駄に受け止めるから無駄に疲弊してしまうのだ(略)
時には受け流すことも必要なのだ P73

・ただやることが大事なのだよ。
いちいち理屈をつけたりしないでさ。
やっちゃえばいいんだ。
そうすれば、何だって身になるんだから P110

・ものをおいしく食べられること。
それは幸せ以外の何ものでもない P155

・頼る側じゃなく、頼られる側でいろ(略)
お前を頼った人は、お前をたすけてくれるから。
たすけてくれなくても、お前を貶めはしないから P164

・大事なのは、まちがいを起こしたあとだよね。
そのあとにどう動けるか P193

・じっくり考えてどうするか決めたら、そのときはすぐに動け。
決めるまでは迷え。
でも決めたら迷うな P242