『私の本棚』

※不定期公開

運の良い方、縁の有る方、勘が働く方。

ご覧戴けたら幸いです。

心の宝箱【立ち止まっている自分じゃなくて、何かをしている自分になりたかった】

2024-11-09 21:31:19 | 心の宝箱:額賀澪


『競歩王』額賀澪01(光文社2019/9/30)


「天才高校生作家誕生!」という触れ込みでデビューした榛名忍。

2020年のオリンピックが東京に決まった頃に第1作は20万部売れたが、
その後大学生となった忍は思うような結果を残せず燻っていた。
そんな折、学内のテレビで流れるリオ五輪ハイライト番組で競歩の結果を目にする。
独特な競技スタイルを不思議に思っていると背後で男子学生が号泣していた。
その夜忍は担当編集者から、次作は東京オリンピックに向けてスポーツ小説はどうかと勧められ、
思わず「競歩」と口にしてしまう。競歩の世界を描いたスポーツ小説


・見た目のわかりやすさがないスポーツは、なかなか大衆に受け入れられないだろう P36

・明治神宮って、おみくじに吉とか凶とかないのがいい P38

・メンタルが強いってわけじゃないと思うんですよね。
内に籠もるのが得意ってだけ P49

・立ち止まっている自分じゃなくて、何かをしている自分になりたかった P70

・若い頃なんて、みんなと同じことをしていないと不安になっちゃうものなの P71

・結果からは、逃げられないから(略)
どれだけ言い訳したって、どんな事情があったって、競技の世界では結果がすべて P95

・失敗して、次の挑戦でその穴を埋めようとするんだよ P169

・「自信がない自分」を笑うだけの心の余裕 P172

・延命じゃなくて、新しい価値を見つける P173

・あらゆる思想は、損なわれた感情から生まれる P174

・嫉妬が一周回って自己嫌悪になる P193

・自分がなりたかった自分になれなくてもがいてる P221

・負けたくないものに負けるな。
負けちゃいけないものに、負けるな P233

・友達以上恋人未満だと思っていた女性が離れて行ってしまったら、
主人公はどう思うのだろう P248



心の宝箱【勝ったり負けたりがいいんだ。勝ち続けると、鼻持ちならなくなる。負け続けると、負けるのが当たり前になる】

2024-11-09 18:07:01 | 心の宝箱:福田和代


『カッコウの微笑み』福田和代(双葉社2019/9/22)

 

ハッカーとして〝裏〟の仕事を手掛ける太一は依頼を受け、製薬会社に侵入してデータを盗む。
依頼主である待野は太一のような人間を束ねる組織を率いていたが、データを渡した後、不審な死を遂げる。
真相を探る太一に忍び寄る影。太一はその影と闘いながら、‷もうひとつの影〟と闘っていた。
暴力で人間を支配できるのか?
サスペンスフルエンターテインメント。


・『常勝』ってのは脆いんだよ、意外とな(略)
勝ったり負けたりがいいんだ。
勝ち続けると、鼻持ちならなくなる。
負け続けると、負けるのが当たり前になる P235




心の宝箱【伝えればいいというものでもない。伝え方、勧め方には気をつけなければいけない】

2024-11-09 16:34:00 | 心の宝箱:小野寺史宜


『縁』小野寺史宜(講談社2019/9/17)


『霧』室屋忠仁、38歳。
少年サッカークラブでコーチのボランティアをしていたが「親御さんと、こう、親しすぎるんじゃないかと」
『塵』春日真波、28歳。
デート中、鈍い彼氏にきつくあたってしまったら「こんなふうになるからもう無理だってこと」
『針』田村洋造、52歳。
25歳の息子が女子高生と付き合い、その父親に呼び出されて「おれなら土下座だってしますけどね」
『縁』国崎友恵、52歳。
息子の就職の口利きのため、お金が必要に「何とかするよ。百万で、いいかな?」
『終』人と人はつながっている。たとえ、どこの誰だか知らなくても。5話連作短編集。


・伝えればいいというものでもない。
伝え方、勧め方には気をつけなければいけない P48

・うんざりした。自分の理屈で勝手なことを言いだす人たちに。
それで他人を動かそうとしてしまう人たちに。
そうしてもいいのだと思ってしまう人たちに。
立場の優位性をとことん利用してしまう人たちに(略)
苛立ちは隠さない。言葉だけは丁寧に P55


・笑顔には確かに魅力がある。
笑顔がいいのは強いのだ。
たいていの男はそれにやられる。
泣き顔より笑顔。
真顔より笑顔 P109





心の宝箱【心を強くするということは自分の好きなものをたくさん見つける。楽しいと思うことをやり続ける。好きなものを楽しいことをやり続けるために頑張ってみる。努力する】

2024-11-09 11:16:04 | 心の宝箱:小路幸也


『ヘイ・ジュード東京バンドワゴン⑬』小路幸也(集英社2018/4/30)

 

花陽の医大受験に加え、家族の引っ越しが相次ぐ堀田家。
我南人のバンドは闘病中のボンと共に長く温めていたアルバム制作に取り掛かり、花陽とボンの息子麟太郎に恋の予感?
シリーズ第13弾『冬、人と出会わばあかよろし』『春、新しき風大いにおこる』『夏、若さ故の二人の夏に』
『秋、ヘイ・ジュード』4話連作短編集。


・食べることは生きること(略)
きちんと暮らすことはちゃんと食べること P26

・合縁奇縁とはよく言いますけど、本当ですよ。
夫婦の出会いにしたって、まったくの赤の他人がどこかで出会い、一生一緒にいようと思うまでになるわけです(略)
人は出会って知り合って、仲良くなったりあるいは離れていったり。
もう二度と会うことはないと思っても、どこかでその道は一緒になったりする。
その繰り返しの中で、人生という日々を過ごしていくわけです P112

・人の胸の内というのは、わからないものです。
たとえ血の繋がった親と子だって、心の底からわかりあえることなどないかもしれません(略)
何より大事なことは、
血が繋がっていようがいまいが、それぞれの人生をきちんと思い合うということではないでしょうか(略)
心を強くするということは、難しそうで意外と簡単なことだと思います。
自分の好きなものをたくさん見つける。楽しいと思うことをやり続ける。
好きなものを楽しいことをやり続けるために、頑張ってみる。努力する P174

・好きと嫌いは心の中にあるんだと思います(略)
それが恋とか、愛とかに、言葉に変えるだけです P244

・人の心も身体も、言葉と一緒に大きくなるのですよ P298





心の宝箱【うまい人は下手な者のミスなど気にしない】

2024-11-09 11:09:37 | 心の宝箱:小野寺史宜


『近いはずの人』小野寺史宜02(講談社2016/2/16)

33歳の北野俊英は同い年の妻を事故で喪い、3ヵ月心が動かない。北野は亡き妻の鍵のかかった携帯電話に
4ケタの数字を順番に打ち込むだけの毎日を過ごしていたが、ロックの解けた携帯には妻の秘密が残されていた。
4年間を一緒に過ごした妻のことを何も知らなかったのかもしれない。喪ってから始まる妻の姿を追いかける物語。
『後退の九月』『懐胎の十月』『携帯の十一月』『重体の十二月』『倦怠の一月』『招待の二月』『敵対の三月』
『停滞の四月』『忍耐の五月』『進退の六月』


・何かが存在するかしないかは、場所をとるかとらないかだけの話ではない P17

・身近にいた人が亡くなった瞬間を感じられなかったことで、残された者の痛みは増す。
何も知らずにその瞬間をのうのうと生きていた自分の姿を想像せずにはいられない P27

・子供は人を変える(略)
自ら変わろうとしても変われない。
だが環境が変わればあっけなく変わってしまう。
それは変化ではなく、変化の末の順応かもしれない(略)
子どもが変化のきっかけになり得ることは確かだ P38

・自分のことならたまらない。そう感じるからこそ、人を悼めるのだ P134

・かわいい子って、
すんなりきれいに変われるか、ただかわいくなくなっちゃうかの、どちらかだ P147

*病気など特別な事情がないのに一ヵ月以上性交渉のないカップルをセックスレスと定義する P188

・一度結婚した相手を忘れるわけがない P198

・長く一緒にいれば、夫婦はお互いのことを理解するようになるものなのだろうか P210

・「許してはいないわよ。受け入れただけ」
許してはいない。言葉がすんなり入ってくる。収まるべきところに収まる(略)
人にはいろいろな事情がある。知っておいていた方がいいものもあるし、知らなくていいものもある。
知るべきかどうかは、人同士の関係性によって変わる。
そして人は、知っている情報だけで、充分、振りまわされることができる P212

・がんばってよ、ではなく、がんばろうよ P222

・何かが起こる。起こらない。その分岐点はおそらく大げさなものではない(略)
そこが分岐点であることに気づきさえしない場合もあるだろ。
通り過ぎてから気づく場合もあるだろう P247

・うまい人は下手な者のミスなど気にしない P263

・大変なのが当たり前になったよ。
ということは、もう大変じゃないのかもしれない P275