sonosono

皮革、銀、真鍮など素材から手作業で加工
愉快な動植物、魚、オリジナルアクセサリー

ありがとう。 本当に ありがとう。

2012-02-27 | 友人
先日、私の友人が某SNSにて書いてくれた文章を読んで涙が止まりませんでした。
とてもとても温かい気持ちになりました。 一生大事にしたい宝物です。
本人に承諾を頂いたので、以下転記します。 読んで頂けたら幸いです。




さて、私の大事な友人のお話。

彼女とは中学からの同級生だ。でも在学当時も卒業してからも親しい間柄ではなかった。

もちろん、彼女の魅力はたくさん知っていた。
中学の頃、私は通学生で彼女は寮生。時々寮の行事があるときに私達通学生も招かれる。
その時の演しものなどで活躍していたのが彼女だった。
涼しくトボケた顔でおかしなことを言い放つ。
いったいどういうような回路からあの発想って出てくるんだろ。計り知れないよなぁ。…
彼女の素晴らしさを感じつつも、クラスが同じにならなかったりで近い関係になることはなかった。

エスカレーターで高校に上がり、彼女はそんな演しもので活躍していた仲間と共に
それまでなかった演劇部を発足させた。
一年生だけでスタートした演劇部は、それだけでもみんなを驚かせた。

86年当時の世の演劇事情は、ちょうど小劇場ブームが到来したころ。
高校の演劇コンクールでも、別役実はもちろん、つかこうへい、野田秀樹などの脚本を使用したり
そのテイストに影響を受けたオリジナル作品が大半だったという。
高校演劇だって、時代はもうとうに「新劇以降」がスタンダードだったのである。
しかし、うちの高校の演劇部が最初にエントリーしたのは『奇跡の人』だった。
挑戦的に直球の演目である。

でも、そんな事情を知っていようといまいと、そんなものに関係なく大会前の試演会は圧倒的だった。
やはり、ストレートだった。
けれど、いわゆる「演劇少女」のクローズな雰囲気が彼女らにはまったくなかった。熱気があった。
ただただ脚本の世界の実現だけに真摯で、みんなが「遠くの何か」を目指してやっていた。
舞台にはそれぞれのキャラクターがその時間、確かに生きていたように思う。
私だけでなく、観客の全てが異空間に運ばれ、空気はぴんと張り詰めていた。泣いた記憶がある。

だから、地方予選を突破し、大阪大会に進んだ快挙をみんな喜んだ。
でも、その結果にもはや驚きはしなかったと思う。
サリバン先生を演じた子は、最優秀演技賞まで受賞した。

そのときに、ヘレン・ケラーを演じていたのが彼女だった。
彼女の演技もすばらしかった。荒れた「野」が見えた。今でもその仕草や表情を思い出せる。

それから20年以上も経って、彼女はアクセサリー作家になっていた。
そしてここで再会した。彼女の投稿を私はすぐに好きになった。
いつも彼女は「遠く」を見て、届かせようとしていた。
つまりそれは、自分に厳しくて他者に真摯な「表現」だった。

私はいつも思う。「表現」は祈りに似ている。
特定の誰かに向けてのメッセージにおいても表現は難しい。
でも、不特定の人を想定したときに、その難しさは自分に向けられる。
どれだけの他者を自分は想定できるだろうか。想定できるあらゆる顔に向けて、最良のものとなるように。
そう念じることは、自分の度量が試される一つの賭けとなる。
顔は見えない。見えたつもりでいると大ケガをする。少しでも届けと思う。
自分のその時の最善のものを絞り出したいと思う。存在するか、通用するかもわからない「善」を
とにもかくにも投げ出さなければならない行為を、無謀を承知で行う。
それは、存在するかどうかもわからない神に向けて自分のすべてを投げ出す祈りと、とてもよく似ている。
独りよがりになってはいないだろうか。
願う自分は大それてはいないだろうか。そのような畏れがいつもつきまとう。

彼女はそうしたことときちんと向き合っているように思った。

ゆうべ、彼女が私に会いに来てくれた。とても気持ちのいい人だった。
そして、なにより嬉しかったのは、きっと彼女も、私に会って嬉しいと思ってくれただろうとわかったことだった。

きちんとしていて、でも、何より素晴らしいのは、「笑い」と「情愛」を忘れない人であることだった。

翌日、午後になってすぐ。私は名古屋の仕事場に向かうため、彼女は自宅に帰るため、一緒に環状線に乗った。
すると、彼女は新大阪まで来てくれるという。
そんなの申し訳ないよというと、ううん、今日ヒマやし、おもろい写真撮りたいねんと言った。
新大阪始発の新幹線を選び、笑いながら写真を撮った。先に席取っといたら?中入って、と言ってくれた。
席を確保した私は窓外を見た。ベンチにまだ座ってくれている。出発までまだ少し時間がある。
デッキまで戻り、寒いでしょ、お茶買うよ、と声をかける。
ううん、お茶持ってるからだいじょうぶやで。新幹線出るまでここにいるよ。実にさりげないのだ。

なんだかこの距離だなと思い、私は車内に戻って、
彼女がここにアップしたさっきの写真に、行ってきますとコメントした。
窓外から視線を合わすのもなんだか違うと思ったのだ。「ありがと、楽しかったー。」

そのうちに、列車が動き出した。すぐに頭を窓に向けた。彼女は、立ち上がって私を探している。
思いっきり手を振り、視線が合った。お互い、楽しいだけの顔になった。


車内で、思い出していた。大学で出会った素敵な友人の発言だ。彼女もやはり大学の演劇部に所属していた。
あ、PLの演劇部、高校のとき、大阪大会で見たよ。みんなうまかった。
私、サリバン先生も好きやったけど、あのヘレン・ケラーの人、ものすごい好きやわ。

あの時と同じ、とてもとても誇らしい気持ちがした。でも、あのときと違うのは、
あのときよりも彼女を知ることができたことだ。いくつもいくつも時間を重ねた後に。

ヘレン・ケラーの時の顔と、手を振ったときのあの笑顔と、冗談を言うときのちょっと企んだ顔と、
私を探していたときの少し不安そうな顔が、今日はふとしたときにいつも浮かんだ。

いい日だ。このうえなく、いい日だ。彼女に恥じない時間を過ごそう。
そんなふうに思える友人と、ここで私は幾人も再会できた。
時間がくれた、どうしようもなく幸運なめぐりあわせと思えて、仕合せという言葉の意味を考えている。

明日は、今年初めての「てんまーと」です。

2012-02-27 | お知らせ・イベント情報


日差しが春になってきました。

明日は、今年初めての屋外イベント「梅まつり・てんまーと」に
樹脂作家のOURSちゃんと共に出店します。

三寒四温、寒い日が3日ほど続くと4日ぐらいは暖かくなる。
明日は、その寒い日になりそうですが、雨の心配は なさそうなので
ご都合宜しければ、遊びにいらして下さいね。。。

場所は、大阪天満宮 境内にて開催されます。 ( 10:00~16:00まで