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TAMAの日記

親父が旅立ち、お袋がコロナ陽性、私は濃厚接触者④

こんばんは。

おかげさまで、親父は今日29日、小さな箱に収まって、
無事滞りなく帰宅させていただきました。

応援いただきました皆さんに、心から感謝申し上げます。




昨日、ブログの記事を3通書くと、気持ちの整理もついて
グッと深く眠り、朝5時にはスッキリと目が覚めた。

親父に朝のお経を上げ、朝飯の後、8時ごろに
お袋へ電話をする。

「どや、調子は?」

「どうもあらへん。私は症状が軽い方らしいわ」

うまくいけば、2週間より早く退院できそうとのことで
まずは一安心。


外が騒がしいので窓から外を見ると、喪服を着た近所の
方々が数人立って居られる。

お参り等、全てお断りすることは事前に回覧されている
だが、やはり田舎だとそうは行かないのか・・・

もちろん、何もなければ無碍に断る事はしないのだが
うちは緊急事態の真っ只中。本当に来てもらっては
困る状況なのだ。

仕方なく、玄関から少し身を乗り出し

「申し訳ありません。お袋がコロナ陽性になってしまって
私も濃厚接触者なので、式が出来ない状況なんです。
出棺だけは、10時に行いますから、遠くからお見送りだけ
お願いします」

正直に話して一旦、帰ってもらった。

田舎の噂話も凄まじいものがあるので、お袋のコロナ陽性を
表沙汰にするリスクはあるが、もし誰かがここでコロナ感染
してしまっては、取り返しがつかない。


9時過ぎに、葬儀屋の兄ちゃんが来る。

兄ちゃんは、今回の式の明細と請求書をカバンから取り出し

「今回は、直葬プランにさせていただきます」

上司に掛け合ってくれて、当初の見積より、8万円も
安くしてくれた。

「悪いな、こんなしょうもない目に合わせたのに、金額
まで引いてくれるんかいな」

「困った時はお互い様です。何とか最後までやり遂げましょ」

こうなると、兄ちゃんとは「同志」の関係だな。



棺の中に2つだけ、お袋からの預り物を入れる。

「あの世でご飯が食べられへんかったらアカンしな」

と言って渡された親父の義歯が一つ。


もう一つは、弟の小学3年生になる娘の手紙。

4人兄弟の末っ子で、上3人男の中で揉まれているので
メチャクチャ御転婆。親父も

「お前、チンチンついとるやろ!」

と言って、あまりのヤンチャぶりに閉口していたが、
とにかく、お爺ちゃん大好きっ娘だ。

お爺ちゃんに会いたい会いたいとばかり、電話をかけると
言っていたが、コロナで2年帰省出来ないまま、とうとう
その願いは叶わぬものとなった。

弟が持ってきた手紙には

「お爺ちゃんありがとう」

A4の紙一面を埋め尽くす程、その言葉だけが
たくさん書かれていた。

親父も、この手紙を読んで

「なんやこれは?」

大笑いしながら、冥土への道を旅してくれることだろう。



葬儀屋の兄ちゃんが、供花を鋏で切り

「道中のお水になりますので、沢山入れてあげてください」

と私に渡してくれた。

「親父、悪いな。寂しいけど、俺一人しか居ないんや」

無念な気持ちが再びこみ上げるが、感染症で亡くなる方は
こういう機会もないまま、荼毘にふされるのだから
まだ恵まれているのだと、自分を納得させる。

「蓋を閉じさせていただきます」

お兄ちゃんが宣言して、棺は再び閉じられた。

私は、ここで親父の棺とお別れだ。


霊柩車の係員が2人、棺を運んでいくのを遠くから
見守る。後は妻に任せるしかない。

やがて、遠くから

「ファーーーーーーん」

霊柩車のクラクションが聞こえる。

親父、ありがとう・・・
先に行った皆さんと、そちらで楽しく暮らしてください・・・

静かに手を合わせた。



静寂が戻ると、兄ちゃんが戻ってきた。

後片付けが済むと、葬儀屋さんの仕事は終わり。

「何とか無事終わりましたね」

「いやほんと、よくやってくれたね」

思わず、兄ちゃんと握手しそうになった。

いや、二人とも濃厚接触者だから、別に握手しても
よかったんだな(笑)




本当なら、これで一息つけるはずなんだが
まだまだ難題が=つづく=
























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