製造部員というのは実に多くの記憶領域を仕事に充てていると思わざるを得ない。恐ろしいほどまでの工程と部品、各種注意点や緊急事態への対応など意図的に休みを取らなければ永久に動き続けられてしまう。
私の研修は始まったばかりだが、早くも少し慣れ始めた。しかし慣れてくるとなると更に注意点が増えてくる。初日と打って変わって大量の注意事項が私のメモ帳に書き込まれ、それは文書の形となって日報に現れた。
これらをほぼ全て暗記しているのだから舌を巻く他ない。この少数精鋭体制でどこまでの負荷に耐えられるのか、果たして私を受け入れて良いのか、各種疑問が湧き起こる。
数少ない営業部員として割り当てが無ければ顧客との相性すら分からぬ。真のニーズとは何処にあるのか。私の場合はまだイデア界に置いてきぼりである。
閑話休題。
本日前職同僚社畜JK(既婚)がラインで電話をかけてきた。作業中であった為終業後に掛け直したところ、突如蒸発した私を心配していたらしい。別の社畜JKには明かしていたからそこから話がいっていると思い込んでいたが勘違いだったようだ。
「高飛びしようと思ってるんですけど退職届とかって出しました?」
「退職代行とかいう飛び道具を使ったので出してないですね」
私は冷静に言った。
電車が来てしまったので、話の続きはまた後でということになったが、彼女にも私が世話になった代行サービスを紹介してあげたいところだ。