Subang Jaya より

「人生は冒険だ」の言葉に痛く共感し飛び出した日本。その後はどうなったか?

はめ込みに生まれ変わったシェーファー

2020年01月04日 | 日記
捩じるか引っ張るか、
万年筆のキャップにはネジ式とはめ込み式がある。希にノック式もある。
ノック式はともかく、ネジ式かはめ込み式かは外観では瞬時に判断できない。

私は両方のタイプがあることを十分理解しているので、初めてのペンを手にする時、どちらの開け方をするのか一瞬迷う。
無難な方法として、先ずはネジ式を想定して開けてみることにしている。

古くから伝統のあるメーカー、作品にはネジ式のものが多い。
高価なものになるほどネジ式の割合が多くなるようにも思われるが、数百円の底辺モデルにもネジ式がある。
ではなぜネジ式か? それは万年筆のインクが乾きやすく、確実にペン先を密閉するにはネジ式が適しているからと思う。
勿論手軽なのははめ込み式で、昨今はめ込み式も様々な改良がされ、密閉精度も高くなっていると思われる。しかし、まだまだ万年筆にはネジ式を進化させ、密閉性を売りにしている新製品もある。

キャップの密閉性はボールペンでは要求されない。ローラーボールでもそれほど要求されず、はめ込み式でも十分と思えるが、私が以前サイン用に使用していたシェーファーのローラーボールのキャップはネジ式になっている。ネジ式の方が若干不便ではあるが、超高級ペンがネジ式であることに倣って高級感を醸し出すために敢えてネジ式にしているのではないだろうかと思う。
事務処理をバンバンこなす、思いついたアイデアを即座にかき留めるなどには0.5秒でも早く作業に移れるはめ込み式やノック式が適していると思うが、契約書にサインするなどの慎重になる作業には、ネジ式が合っていると思う。


少し前まで(万年筆愛好が始まる前まで)は、契約書のサインは専らシェーファーのローラーボールを使用していた。
こちらでは、役所に何らかの申請書を作成し提出する際、私が一件一件役所に出かけるわけにはいかないので、その都度業務委任状を作成し代行してもらう。
それぞれには、私のサインが必要で、私が席に居ればよいのだが、敷地内の工場に出ている場合、庶務の女性Seが書類と委任状とペンを持って私を捜索に来る。私が普段ペンを身に着けていないことを学習してのことか、書類と一緒にボールペンを持ってくる。そのペンが最底辺のボールペンで、更に品質が悪く軸の先が割れていることが多く、芯がグラグラな事が多い。こちらの人は契約書の重要度に関わらず、ペンの選択にはこだわりはないのだ。
こんな時、私は必ず席に戻っていつものローラーボールで署名するのだった。


ある日、工場に出ている時に緊急で私のサインが必要になったらしく、Seが書類と私のローラーボールを手にして私を追いかけてきた。
そして、目の前で力強くキャップを引き抜いたのだった。よっぽど急いでいたのだろう。
Seは大変賢く責任感も高く、いわゆる気の利く庶務だが、キャップがネジ式であることには気が付かなかったようだ。
お互い、ハッとしたのだが私は何もなかったようにサインし、ポケットにペンをしまったのだった。
元々弱っていたネジがこの時完全に破壊したのだった。
誰でも手の届く机上のペン立てに入れていたことを反省した。
気を利かせた行動であったはずなのに、気まずい思いをさせてしまったことと思う。

しかし、今はもう心配は無用だ。
キャップの中になる軸と外になる軸の継ぎ目もネジになっているのだが、ここにM5ネジに使用するOリング(ゴム)を挟むと、いい感じにキャップが止まるのだ。
M5用Oリングは生産品に使用しているので無尽蔵に手に入る。



元々はめ込み式だったような錯覚。約2年、芯も数回変えたがまだまだOK。修理に出す必要はない。
適度に重く堂々とした外観はサインに相応しい(と自己満足)。

このペンは0.7㎜くらいのペン先がオリジナルだったが、1.0㎜に変えて使用している。
太目の芯にすると、文字に独特の味が出る。さんずいの三つ目の跳ねに自分なりの表現ができるのが気に入っている。
ボールペンの評価記事を見ると、どれも三菱ジェットストリームを絶賛している。評判を基にジェットストリームの替え芯1.0㎜を使ってみたが、あの滑りすぎるヌルヌル感には我慢できなかった。0.5㎜以下の細字なら良いかもしれない。
シグノやG-2のガサガサ感がある方が好みであり、こちらの1.0㎜を愛用している。