
ツユクサは
大好きな夏の花。
真っ青や真っ白のツユクサは
よく見られるけれど
出会ったことのなかったメガネツユクサ。
青く澄んだ花びらに
白い縁どりのメガネちゃん。
白い縁どりのメガネちゃん。
裏庭の
ごちゃごちゃっと放置状態の草むらに
咲いているのを見つけた。

草むらや道ばた。
いつだって無意識に探していたのに
会えたことがなかった。
それなのに、
まさかのうちの裏庭?
やわらかな朝陽のなかで
咲いている。
そっ…
と。

えっ、メガネちゃん?
なんで?
どこから来たの?
いつの間に?
そばにしゃがみ込んで
思わず問いかけてしまいながら
なんとはなしに
橘 曙覧の『独楽吟』の一首が
思い出された。
たのしみは朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲ける見る時


朝起きて庭に出たら
昨日までなかった花が咲いている。
それを見るのがうれしい。
…って、
みんなの実感な気がする。
生まれてはじめて見る
珍しい花である必要などなく、
毎年 庭に咲く
何気ない花たちの
はじめの一輪
見つけたときの嬉しさ
歓びと驚き
よみがえる思い出
めくるめく感慨
たのしみは朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲ける見る時
―― 橘 曙覧(たちばなのあけみ)

去年は
咲いていなかったのに
メガネちゃん
いったいどこから
どうやって
ここへ
わたしに
会いに来てくれたんだろう。
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