満開の
八重桜が
庭中に
花びらを降らせていて
開け放った窓から
ひらひらと
部屋のなかにも入ってきたりして
ことしも
美しく
狂おしく
儚い
桜の季節が
千穐楽を迎えています。
咲きはじめの八重桜で作った
シロップ漬けが
桜のかたみ
煮てしまうのが
心苦しくなる美しさだったけれど
炭酸水に浮かべたり
お酒に浮かべたり
桜のシフォンケーキを焼いたり
桜の季節が
ついに終わってしまっても
桜の余韻にひたれます。
向こうに見える
裏山は
もう
淡くやさしい若葉の
霞むような
やわらかなグラデーションに包まれていて
庭の八重桜は
浅黄色した鬱金桜ではないけれど
たくさんの花びらを
惜しみなく散らす姿を
眺めていると
北原白秋の歌を思い出しました。
「いやはてに鬱金ざくらのかなしみのちりそめぬれば五月はきたる」
「いやはて」は
漢字で書くと「弥終」で
意味は
最後とか最終とか。
いちばんあと、のこと。
桜の季節の
最後を飾り 最後を祝う
八重桜
いやはての桜
・