beauty and harmony

レッド・バロンと『空のいけにえ』


ワシントン D.C.の航空宇宙博物館


大好きな場所。
もっとステキな写真があるはずなのに
複葉機を見てほしかったのに
夫との画像データが大量でどこにあるんだかわからないー

この前、
不安だったり泣いたりを中断したくて
映画に逃げてみたら、
はじめて見たときよりずっと面白かった『レッド・バロン』
直訳は、"赤い男爵"

「その赤い戦闘機は、最も恐れられ、最も賞賛され、
そして時代の伝説になった。 」

え? シャア!? 赤い彗星!!!?
な、実在の人物が主人公なのです。

ドイツ映画なのに全編英語。
なぜ? 世界中の人に観てほしいから?
でもドイツの誇りなのに外国語で作るなんて…
そこだけすごく不満。



© broadmedia


ナチスドイツではなくて
第一次世界大戦下、
前人未踏の80機を撃墜したエース・パイロットの物語。

でも戦争映画というよりも、
古く美しい時代の
若者たちの青春ドラマな魅力にあふれた作品です。

主人公とその仲間たちがとにかくカッコイイ。
美しく潔くユーモラスでカッコイイ。
ときに彼らはすごくカワイイ。
そして概して、ものすごく切ない。

恋愛ものより
男の友情系の物語に惹かれるから、
いろいろ忘れて入り込めた。

しかもあの時代の戦闘機は、複葉機。



© broadmedia


「敵であり友でもあった」な、
冒頭の葬儀シーンの飛行からめちゃくちゃカッコイイ。

模型のように美しく、ノスタルジックな飛行機。

あんな脆弱な飛行機で空を飛び、
戦った若者たちはほんとうに不憫だけれど、
でも美しい。
飛行機好きにはたまらない。

美しい複葉機が大空を舞う映像に魅せられる。

誘導ミサイルが飛び交う
現代のジェット戦闘機の戦いとは違って、
どこか切ないようなセピア色のロマンが胸に迫る
とてもノスタルジックな空中戦。

語弊があるかもしれないけれど
美しい空中戦、が展開する。




ドイツはもちろん、
敵国の英仏ですら今なお英雄として語られる男、
マンフレート・フォン・リヒトホーフェン。 

映画はそんな彼の
国威発揚のため国家に利用されながらも
伝統的な騎士道精神を貫いて
誇り高く飛び、戦う姿、
そのための苦悩、
勝ちたいという欲求、

高空で、
スポーツマン精神で高潔に戦っていた彼が
地上で目にする兵士たちの地獄、
戦争の悲惨さや虚しさ、

などを描く。

仲間たちとの絆!
敵パイロットとの縁(えにし)!
苦しい恋。
弟!

わたしがいいなと思ったのは
主人公の親友でありライバルでもある
やはり実在のエース・パイロット、フォス・ヴェルナー。

            © broadmedia

ティル・シュワイガー。

主人公を見守るような存在でもあって
ふたりのシーンがすごく好き。


そして、
この映画を観ていて思い出したのが、
『星の王子さま』のサン=テグジュペリが書いた小説、
『人間の土地』の解説『空のいけにえ』です。



(松ぼっくりと蓮の実を拾ってきました)


ジブリの宮崎駿監督による執筆で
「解説」で終わらせるにはもったいない7ページ。
(表紙のイラストも宮崎監督👍)

監督はここで、
誕生以来、戦争によって進化してきた飛行機の
残酷かつ栄光に満ちた歴史を綴り、
人類の凶暴性を説く。
それでもなお、
飛行機に魅せられ、
冒険やスピードに駆り立てられる男たち(監督自身も)を語る。

特に印象に残った箇所を引用したいと思っていたけれど、
選べないのでやめておきます。

はじめて読んだとき、
ああそうかと幾度も納得し、強く共感を覚えた。

「飛行機の歴史は凶暴そのものである。それなのに、僕は飛行士達の話が好きだ。その理由を弁解がましく書くのはやめる。僕の中に凶暴なものがあるからだろう。」

を読んでいてすんなり、
"ああ わかる。
わたしの中にも凶暴なものがあるんだろう" と思う。
そんなふうに。

とにかくこの解説の7ページは
映画『レッド・バロン』の解説にも使えるほど
内容がすごくリンクしている。
テグジュペリが大戦時のパイロットだったのだから
それも当然かもしれない。

レッド・バロンも、
その仲間たちも、
彼らの敵であった連合軍のパイロットたちも、
みな、
空のいけにえだったのだ。








コメント一覧

sukekaku5th
hanayukiayさま、こんばんは。
ステキなお宿とお花のお話、猫たちへの愛情、猫たちの可愛らしさに心が和みます。
恋愛映画が苦手なので『イングリッシュ・ペイシェント』は観ないでいたのですが、数年前に、なにかでちらっと見た映像の美しさ、砂漠や複葉機の美しさに惹かれて観ました。しんみりと感じ入ってしまうような、奥深い映画でした。
チュニジアの砂漠を実際にご覧になられたなんて羨ましいです。アメリカにも砂漠はありましたが、美しさが違いますよね。
本当に、早くコロナが収束して気兼ねなく旅ができるようになってほしいですね。
__桐花
hanayukiay
桐花さん、ブログをフォローしてくださってありがとうございます。

私にとっては人助けのために始めたブログだったですが、こうして素晴らしい感性の方々と交流できることを幸せに思います。

複葉機といえば「イングリッシュ・ペイシェント」はご覧になりましたか?チュニジア旅行の前に、事前学習で観たのですが、なかなかよかったのです。沙漠の美しさ、恋の激しさとはかなさ、人の命の輝き等、色々感じました。

複葉機から見る沙漠の美しさに感動、本物の沙漠を見るのが楽しみでした。そして、本物の沙漠は映画の更に上をいくスケールでした。

あぁ、早く旅行できるようになったらいいですね。
sukekaku5th
さとちゃん、こんばんは~
そうかなぁ。さとちゃんはそんなことないと思うんですけど!
ヒロさんがコロナでお出かけを拒むいま、一緒に映画を見たり本を読んでみたりしてはどうでしょう!?
__桐花
satochannoniwa
良い映画 良い本を 観て読んで、、良いなあ〜です、、
私も そんな頃有った、、、今じゃ、、ダメですね、、
sukekaku5th
hirugaoさま、こんにちは。
なんでも…そんなことありません~💦
好きなことだけで、しかもわりとマイナーなものが好きなんです。誰もが知っている(例えば半沢直樹とか)ほとんどなにも知りません(;^_^A
宮崎監督の解説と表紙はおススメです。立ち読みか、図書館でぜひ。
松ぼっくり、お孫さんと拾われるんですね^^ これからの季節は松ぼっくりを飾ると素敵ですが、いろいろ組み合わせてみてもいいですよね。
__桐花
sukekaku5th
みぎまゆ様、こんにちは。
『紅の豚』はまさにレッド・バロンな感じですよね。
わたしも大好きです。公開当時はまだ良さがわからない年でしたが、大人になって観たら大好きでした。
__桐花
sukekaku5th
fukurouさま、こんにちは。
つい熱く語ってしまいました。
戦争映画は見るのが辛いってありますよね。わたしも、観はじめても、辛くて途中でやめてしまう作品も多いです。
松ぼっくりを靴箱の上に!わざと籠からこぼれさせて!同じですね~^^ 季節のお出迎え、ステキですね。
__桐花
sukekaku5th
ケイさん、こんにちは。
うれしいです^^ お時間あったらぜひ~
松ぼっくりと蓮の実はそれをメインに記事を書きたいと思っているのですが、
本だけ手早く写真にとったら味気なくて、そばに置いてみました。絵になりますね!
本屋さんのディスプレイがこんなだったらワクワクです。
__桐花
sukekaku5th
ショカさん、こんにちは~。
レシプロエンジン!? わかりません~ こだわりがあるのですね^^ かっこいい♪(…モーターサイクルに同じエンジンってこと?)
昔の飛行機ってプラモデルにもロマンがある気がします。上手だったんですね。いまでも飾ってあったりしたらステキ。
古い方の映画『レッド・バロン』は観たことがなくて、ちょっと興味が湧いているところです。ドイツ語かな!?
__桐花
sukekaku5th
三冬さま、こんにちは。
『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』のときに観てくださったんですね^^ うれしい。ティル・シュワイガーかっこいいですよね。
戦争モノってみるのに勇気がいることありますけど、友情や忠誠などがメインになってくるのでストーリー的に惹かれるものがあります。
この内容だったら絶対にドイツ語だと思うんですよね。ドイツ語って響きもすごくステキですし。
__桐花
hirugao
なんでもご存じなんですね。
私も戦争物はちょっと…ですがなかなかです
そこに宮崎監督の解説と表紙の絵、見てみたいです。
私が歩くところにも松ぽっくりが落ちていて孫とよく拾います。
なるほど・・・
本もいきますね。
migimayu1080
飛行機とレッド•バロンと聞いて 真っ先に頭に浮かんだのは 宮崎駿監督の「紅の豚」でした♪
大好きな映画です♪
fukurou
桐花様
おはようございます。
桐花さんの熱いお話を読んでいるだけで胸が熱くいっぱいになってきました。
戦争映画は辛くて見ていられないから、避けてきました。
でもこんな映画なら見てみたい!
複雑です。
玄関は行った所に、このような松ぼっくりが靴箱の上に載っています
わざと籠からこぼれ落ちさせています。
kei-kei-2020
桐花さん、おはようございます。
桐花さんの映画や本の紹介文にいつも魅了され、観たくなります。
今回も興味深々。(´艸`*)
松ぼっくりや蓮の実と一緒に飾られた本の写真がステキすぎる♪
本屋さんにこうしてあれば、ぜったいに手に取ってしまいます。(*^_^*)
tsn24502 ショカ
桐花さん、こんばんは~。
飛行機は子供のころから大好き。
ただ(笑)、ジャンルが狭い。
WWⅡのプロペラ機。wwⅠはギリ。
長くなるから端折るけど、
生き物のようなレシプロエンジン機だけ。
モーターサイクルに夢中になったのも、そう。
ソラはね、高いとこ苦手だから(笑)。
こーこーせー時代、美術部絵画班なのにプラモ研究会作って
顧問に睨まれたり。
有名な航空雑誌に投稿した写真が掲載されたり・・。
さて(笑)、
『レッド・バロン』’70年代初め。
微かな記憶。観直したいなぁ。
短っ(笑)。
mifuyu2019onyourmark
桐花さん、こんばんわ。
「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」の記事にコメントした時、桐花さんからこの映画が好きとレスをもらって、その時に見てみました。
私もすごくすきなタイプの映画でした。
ティルもカッコイイですし!
男の友情っていいですよね✨ バロンが友を失って泣く姿は英雄でもリーダーでもなんでもなくて切なかったです。敵でもパイロット同士敬意を払う姿も感動でした。
もしドイツ語で作られてたら、もっと素晴らしかったでしょうね!
from三冬
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