前回の記事で、祖母が元気な時と比べて今では見る影も無いみたいな事を書いた。
今日の転院に当たり、祖母を見た時、何とスッキリとした表情なんだと驚いた。
以前とは確かに違うが、表情が清々しく見えた。
転院する事もしっかり納得しており、取り乱す事無く落ち着いていた。
ストレッチャーで部屋を出て下に降りた際に祖母に、「俺は変わりなくやってるよ。ご飯もちゃんと食べてる。仕事も行ってるよ」と話し掛けたら、強く頷いてくれた。
此方の云う事はしっかり理解している。
ただ、言葉が出ない。
吾は其れだけで十分だ。
転院先の看護師さん、介護士さん、理学療法士さんの問い掛けにもしっかりと頷いて応えていた。
吾はそんな力量の在る祖母を見て安心した。
転院して直ぐに、理学療法士さんによる身体の動作チェックを受けた。
理学療法士さんからの説明が在り、
「今回の様な大脳梗塞でよく此の程度の麻痺で済みましたね。右半身麻痺とありますが、ちゃんと動いています。軽症の麻痺です。今後のリハビリ次第で立つ事も可能かも知れません。其れだけ希望が持てる状態です」
大正、昭和、平成、令和を生き抜いて来た祖母。
此れこそがバイタリティ、人間力の成せる業である。
此れ迄の様に矍鑠とせずとも、祖母の納得の行く所迄頑張って欲しい。
自らが手足を動かそうと努力している事が窺えると理学療法士さんが云っていた。
祖母は寿命がいつ尽きるとも計り知れぬと云うのに、其の時迄精一杯生きようとしていると云うのに、吾は泣き言ばかり云っている。
こんな俺を祖母が見たら哀しむに違いない。
今日からもう泣き言は云うまい。