転院希望先の病院での面談で決断を迫られた。
待合室で書面を看護師より受け取る際、看護師が真顔でこう云った...
「年齢と今の状態から見て、もう其の時期が来てますよ」
吾は、此の看護師の言葉にハッと我に返った。
実は感傷的になっていて、毎週の看護師からの報告に一喜一憂していたのである。
此の看護師が何を云わんとしていたか理解した。
小手術をして管を腕に埋め込んで迄、高カロリー輸液を投与し延命させるのか...。
其れよりも、末梢静脈への投与で穏やかに人生の幕を閉じた方が良いのではないか...。
此の看護師は的確なアドバイスを吾に与えてくれた。
迷い続けてオロオロしていた我の背中を押してくれたのである。
此の儘、高カロリー輸液を投与してみた所で、元気になって又立ち上がる事は無い。
ベッドで寝た切りになり、管を身体に挿される…。
今では祖母に其れがどうなのかを確かめる術は無い。
だが、吾はもう婆さんはもう十分、人生を生きて来たと思っている。
勝手な判断だとお叱りを受けるかも知れぬ。
婆さんが管に繋がれているのを見るのが辛い。
転院希望先の看護婦が云った言葉が今吾が取る選択肢である。