一度足を踏み込んだ以上、もう後へは引き返せぬ。
悪事、善事拘らず、事に当たる際は此の背水の陣でやらねば成就しないのは頭では解っている。
「懸命にやったのに何でこうなってしまったのか.....」
「生きる為に懸命に抗った結果が此れか.....」
と思う事が殆どだ、吾の場合。
実生活に於ける凡ゆる現象は、凡て結果。
元となる“因“が在る筈なのだが、色んな現象が起き過ぎていて、一つ一つ遡れない。
其々の結果(現象)には、其れに応じた因が在る。
人の心に三千もの世界が在ると法華経に在る。
此れは一応、三千と数を表しているが喩えであって、無数の世界が展開されると云う意味である。
一つ一つ遡る作業を想像した時、疲れてしまった。
そこでもう考えるのが馬鹿らしくなった。
「もうどうでもいいや」
と思った時、フッと軛が取れた様な心地良さを感じた。
此処で諦めて凡てを投げ出す前に、もうちょっと頑張ってみるか。
「もうどうでもいいや」
そう思える様になった自分は一歩成長したと感じた。
此の世で豊かに生きる手段の一つに、「もうどうでもいいや」と、己れの手枷、足枷を外す事である。