喪失感に苛まれるかと思っていたが、日々の喧騒に掻き消されてしまった。
唯一の身内を失って、独りとなった。
一昨日に付図、鏡に映る自分の顔を見た。
シワとシミが増え、目は若干の充血気味。
頭を見ると、2ヶ月半前に白髪染めをした筈だが、白髪の度合いが広がっておらず、根元は黒い地毛が伸びていた。
いつもなら、生え際は白髪が伸びていた。
全体的に黒々としていた。
鏡を見る迄はそんな事に思いを致す事は無かった。
何か身体的好影響が在っただろうかと思い返すが思い浮かばなかった。
毎日がストレスフルの筈なので、何が髪の色に好影響を齎したのだろうか。
そう云えば、2ヶ月前から腸を労ってやろうと思い、乳酸菌(ビフィズス菌配合)タブレットの摂取を始めた。
乳酸菌とビフィズス菌が練り込まれている。
少々高いが、劇的な効果が在った。
通じが整い、下腹が軽くなった。
年齢的な事も在り、食生活を乱さぬ様にと補助的、補強的な意味合いで始めたが此れが大正解だった様だ。
何より食事が美味しくなった。
ひょっとして、此のタブレット摂取で胃腸が整い髪の毛にも好影響が在ったのかも知れない。
あれだけ白髪が頭部を席巻していたのに、目立たなくなっているので驚いた。
髪の毛は体の好不調を示唆する。
吾の場合は、嬉しい変化である。
とは云え、肉体は衰退の一途を辿る。
此れだけは止める事は出来ない。
だが、そんな過程に於いてでも、「健康的な衰え」であれば良いのではないか。
最近は痩せ我慢はしない。
出来ない。
元来から臆病者なので、ちょっとでもおかしければ直ぐにあたふたする。
此れは性分なのでどうしようもない。
取り越し苦労は茶飯事だし、「ああしておけば、こうしておけば」と過去を振り返るばかりである。
だが、反省だけはしないと昔から決めている。
反省はせぬが、後悔だけはする。
最早、夢や希望を抱く気が湧かない。
何かを思い立って、脱サラして何か始めるプランも無い。
毎月の薄給で、爪に火を灯す生活で何が出来ようか。
吾と同年の者達は、有名車メーカー販売店の統括をしていたり、起業して代表となって利益を上げていたり、役付きの肩書きを持つ者.....。
皆が陰ながら努力を積み重ねて、己の城を築いている。
皆は本当に凄い。
ちゃんと家庭を持ち、子を大学まで行かせている。
人格と徳分の段階が最下層の吾が近寄る事も出来ぬ....。
安易に近付こうものなら、カネの無心と働き口を貰おうと思われるのがオチだ。
人には分相応が在ると云うのを痛感している。
其れに逆らえば恥を掻くだけである。
人生の半世紀を迎えれば、自身の人生の在り方が見えて来る。
其の最大限出来る事を精一杯やる。
其の実生活の中で楽しみを見付けたい。
ロマンスが起きれば、潤滑となるのだが。
下半身は相変わらず元気溌剌である。