何時頃から在ったのだろうか。
毎日が煩雑で、己の手を眺める暇も無い。
朝は髪を整えるので鏡を覗く。
何時見ても冴えぬ表情をしている。
知らぬ間にシワとシミが顔を占有している。
鏡を覗きながら作り笑顔をしてみたが、あちこち引き攣ってぎこちない。
最近笑ったのは何時だったか.....。
とんと憶えが無い。
其れ丈、吾の日常には笑いが無いと云う事である。
鏡の中の自分に問い掛けた。
「お前、このままで良いと思うか?」
鏡の中のもう一人の自分が、
「お前、このままで良いと思うか?」
と問い返して来た。
答えが見つからない。
答えるとすればこう云うしかない。
「騙し騙し、其の日を乗り切るしかない」
テレビのチャンネルをひねれば、
「趣味を持つ事で人生が豊かに送れる」
と。
其れは或る程度のカネが在る奴の云う事である。
カネのかからぬ趣味
本を読むにもカネが要る。
図書館に行くにしても、歩いて行ける距離には無いので車で行かねばならない。
車に乗ればガソリンが減る。
ならばウォーキング、ジョギングがあるが、裸足ではかなわぬので安いシューズを買わねばならぬ。
毎日センズリをこいて趣味としても良かろうが、其れは盛りのついた、若き時の話である。
カネの掛からぬ趣味等は此の世に在りはしない。
ならば読経か瞑想かとなりそうだが、今の所読経や瞑想をせねばならぬ程に精神を病んではいない。
よし、ならば己の身体の重みを利用した筋肉トレーニングをしてみようか。
此れならば、道具を使う事は無い。
又、こうして携帯電話で、不定期に悪態を吐いているのも趣味ではないか。
カネが在れば、もっと華やかな趣味でも持てそうなのだが。
カネが無い吾は悪趣味しかする事が無いのかも知れない。
まぁ、何でもいい。
他人がどう思おうと、自分自身が面白いと思う事をやろう。