明日また陽が昇るなら −カウンセラーもり あずさ(もるも)のブログ−

自分のスタイルを貫く2 -ロペスvsシモン戦より-

今日の東京は雨の1日でしたね。

 

昨晩はブログを書いた後、ロンドン大会の決勝(ロベスvsシモン)を観ていました。

 

割とマイナーな二人の対決ではありますが、私はシモンの大ファンでして笑

 

もともとファンになったきっかけが、2010年のデビスカップ決勝戦でした。

 

ジョコビッチに負けたシモンが、最後の自分のミスショットを打った後に、フォロースイングの

姿勢のまま止まっていたのが印象的で。

 

「この人、マッチポイントの自分のミスショットを『今、なんで自分はこのショットを打ったのか?』

って分析してるよね?」

「なんて、自分を客観的に見ていて頭のいい人なんだろう・・・」

 

と感心して、そこから一気にファンになりました。

 

実際、当時のシモンは戦略的なプレーで有名でした。

ビッグ4も彼のプレーには翻弄されることが多かったのです。

 

しかし、シモンの魅力の本質は戦略的なところでは無いと思っています。

彼のプレーを長年観て来ましたが、笑えるエピソードがとても多いんです。

 

・試合中の自分のミスショットに雄叫びをあげる。

・コートチェンジの休憩中に自分のプレーを分析してブツブツ独り言を言う。

・試合途中にお腹が空いて審判に「チョコレートバーはありませんか?」と要求。

・友人のモンフィスとの戦いで「練習かよ!」とツッコミたくなるような長いラリー

(確か60回か70回くらい)

・明らかにアウトのボールにチャレンジシステムを利用して観客から失笑を浴びる。

・プレイヤーカウンシルでトップを務めた時に、下記のような突飛な意見を言う。

「男性の試合の方が面白いしセット数も多いんだから、男性の方の賞金を高くするべきだ」

「カルロビッチのように身長2mを超えている選手はサーブをベースラインから1m下がって打つ

 ルールを導入すべきだ」

 

プレーが戦略的なだけでなく、人間的にも真剣であるが故の滑稽さ、本質を突く鋭さなど

多くの魅力を持っている選手です。

 

・・・さて、そのシモンとロベスの決勝戦。

 

「お客さんのほとんどは、チチパスやデルポトロに勝ち上がって欲しかったんだろうなー」とか

「この試合はマレーが出るダブルス決勝戦の前座だよねー」とか余計な気遣いをしながら

観ていましたが、とてもハイレベルで面白い決勝でした。

 

シモンもロペスもお互いベテランですが、そのプレースタイルは現在の主流とはかけ離れています。

ロペスは今や絶滅危惧種のサーブ&ボレーヤー。

シモンは、正確なストローク(しかし球種はフラットのみ)とフットワークがウリのプレイヤー。

どちらも、20代のプレイヤーにはあまりいないタイプです。

 

しかし、昨日はお互いの良さが光っていました。

スピン全盛の男性テニス界で、フラットでコースと急速を変えるだけで相手を追い詰め、しかもネットに

出てくるロペスをこれまたフラットでパッシングショットを打つシモン。

センター寄りの位置から繰り出すお得意のフォアハンドの逆クロスで、何度もウィナーをとって

いました。

 

対するロペスのスライスからのネットプレーも素晴らしかったです。

長いラリーを嫌がってスライスを多用するところはいかにもベテランのテニスですが、

そのスライスが長くてしかも滑るので、シモンはとても打ちにくそうでしたし

スライスは滞空時間が稼げるので、サービスラインの後方からでもネットを取りに行ってました。

 

中盤まではシモンもカウンターでパスを抜いたりボレーを拾いまくってミスを誘ったりしていましたが

その戦法が途中からロペスには読めてきたようで、終盤になればなるほどロペスの読みとネットプレーが

決まるという流れに。

 

しかもロペスはサーブがとてもよく、サービスエースを連発していました。

 

最終セットのタイブレークまでもつれ込む接戦ではありましたが、やはり最後にはプレーの引き出しの

多いロペスが勝ちました。

 

現在の若手がシモンのようなプレーをしていたら「そのテニスでは勝てないよ」とコーチから修正

されるかも知れません。

 

スピンやスライスを混ぜてプレーするように、サーブももっと回転を効かせるようにと

今風の指導を受けるかも知れません。

 

しかし、私が応援を始めてから8年くらい経ちますが、彼は全く自分のプレースタイルを変えません。

 

変わったところは、サーブの威力とネットプレーの精度です。

(以前は、サービスの威力がなく自分のサービスゲームが取れない、ボレーが苦手でネットを

取れないなど、かなりわかりやすい弱点がありました)

 

ネットプレーはダブルスへの挑戦が奏功したのでしょうね。

サーブは相当練習したんだろうな・・・。

 

しかし、ベースのプレースタイルは全く一緒。

このスタイルで10年間トップ30近辺をキープしていますし、ツアー大会で14勝しています。

 

これが「今のテニスで勝つためには重いスピン打たなきゃ」とか、「若手に負けない球威を・・・」とか

考えてたら、スタイルを崩して怪我をして、今頃は引退していたかも知れません。

 

ヴォズニアキの記事を書いた際にも触れましたが、大事なのは時流や大勢に流されず、自分を貫くこと。

 

そのスタイルをやり抜いたら、球種がフラットしかなくても、筋トレが大嫌いでも

(こんなテニス選手他にいるのか?)トップ選手であり続けられることを示してくれる、

貴重な選手です。

 

ロペスは今年で引退のようですが、シモンも彼の年までは続けてほしいな。

 

そして、来年の東京オリンピックにぜひ来て欲しいです!

 

・・・シモンのことを語ると、どうしても熱くなってしまいます。お許しを。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

明日は東京は晴れるようですね。楽しい梅雨の中休みを。

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