数日前の記事で宣言したとおりB'z「有頂天」の歌詞分析を書きます。
2015年の年明けに発売された学園ドラマの主題歌です。
最初に歌を聞く前にこの「有頂天」というタイトルを見たとき、
とてもアップテンポな、ハイなノリを想定しました。
「ギリギリchop」みたいなハードテンポで、ライブでは頭をブンブン回すような
そんな縦ノリな感じの曲なんだろうなと思っていました。
・・・しかし、さすがはB'z。
楽曲も歌詞も、タイトルからイメージされたものとは全く違いました。
冒頭から低音のミディアムテンポのギターリフが入ります。
なんだか有頂天な感じがしない前奏です。
しかも歌詞の入りは、超庶民的な嫉妬の吐露です。
「充実した日々を過ごしています」
そんなふうな人を見て いいねって
・・・おそらく、知り合いがSNSで美味しい食事を食べている写真とか
友達や恋人とはしゃいでる写真とか
そんな写真がUpされているのを見て「いいね!」ボタンを押すという
普通の人なら誰でも経験したことのあるワンシーンです。
ですが「『いいね』って」で歌詞が止まっているところを見ると
本心では「いいね」って思ってはいなくて
写真をUpしている相手をどこかで妬んでいるというか
「ま〜リア充で羨ましいこと!」と見下しながら言いたげな
そんな冷めた主人公の気持ちが見てとれます。
でも最後の最後報われるのは
自分だって信じている
半分以上無理矢理に
・・・。
卑屈・・・。
自分ではリア充っぽい写真を撮ってUpするエネルギーが無いクセに
それをしている相手を冷めた目で見下しておいて
「報われるのは自分だ」と信じるって・・・。
こりゃ、稲葉歌詞によく登場するダメ男臭がプンプン漂ってますな。
自分でダメ出しばっかり続けるのも
正直なところはI'm so tired.
・・・なるほど。
主人公は、そんな自分の弱さにすでに気づいていて
で、そんな自分にダメ出しするのすら疲れちゃっている感じなんですね。
自己嫌悪の悪循環にはまってますね・・・。
そして、ここから先の歌詞でそんな主人公の心の拠り所が何かが分かります。
そう、お察しの通りです。
「彼女」です。
ご存知のとおり余裕のない
僕をまた励まして
君のその冗談で
今夜だけでもお願い 有頂天にならせて
君といる時くらいは勇気に満たされたい
・・・おお、なるほど!
主人公は自分に余裕がない、一杯一杯なこともすでに気づいていて
その上で彼女に甘えているわけですね。
「僕を励まして、有頂天にならせて」と・・・。
稲葉歌詞を見るといつも思うのですが
男の人って、意外と自分に自信が無いんですね。
女性に励ましてもらって、勇気をもらいたいんですね。
そして、この主人公のローテンションおよび彼女にすがる姿は
歌の終わりまで一貫して続きます。
生きてくる方向を間違えたと
そんなことは思わないだって I got you
彼女をゲットできて「自分の生き方が正しかった」と実感できたのはいいことですが
逆に言うと「自分の存在の拠り所は彼女しか無い」ということになります。
この主人公はどんだけ自分に自信ないのかしら?と疑問になります。
主人公の心境は「有頂天」とは真逆の超ローテンションです。
眩しい光よ降りそそげ
有頂天にならせて
痩せっぽっちの体いっぱいに
今だけを満たしたい
これが曲の最後のフレーズなのですが、
最後は彼女だけでなく、眩しい光(自分を超えた存在、神)に頼り出します。
自分の自信の無さ、人としての小ささを象徴するように「痩せぽっちの体」と表現し
それに「今だけを満たしたい」と願う姿は
「こんな自分ではいつか彼女に捨てられる。だから今だけを輝かせたい」という
主人公の自己嫌悪や刹那的な快楽を求める気持ちを映し出しています。
・・・暗い歌だな・・・。
「思ったことは現実になる」というのが心の原則ですので
「そんなこと思っていると、ホントに彼女にフラれちゃいますよー!」
と主人公に言ってあげたいですが
きっと「んなこたわかってるわい!!」と言い返されるんでしょうね。
そして彼女は、今日も主人公の弱音を聞いて励ますという笑
まぁ彼女さんは「またこいつ弱音吐いてるわー。ウケるw」
・・・くらいの広い心で受け入れているかも知れませんけどね。
そんなおおらかな心を持ちながら、外出自粛の週末を迎えたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
素敵な週末を。