偽史倭人伝 ~ Carnea Historia

march madness の次が April Foolなんて小粋ぢゃないか。

●…マリファナから郵政民営化まで

2005年09月04日 01時10分48秒 | ◎ツッコミ思案1
 さて前回、モスのマリファナ騒ぎについて書いたときネットのあちこちでマリファナ解禁論を声高に叫ぶ人たちの主張を目にした。全部とはいわないけれど、その多くが「マリファナはタバコより害が少ない」ということに終始していた。
 でも、すべてのものごとというのは平面的ではなくもっと立体的、複合的なものだ。つまり事件は清潔な実験室で起きてるんぢゃないんだ…ってこと。
 たとえばマリファナの害が少ないのは事実だとしよう。でも、マリファナはそのものよりも、それがコカイン、ヘロイン、各種覚醒剤といったハード・ドラッグの“入り口”となってしまうことが怖いのだ。
 解禁論者のインテリな方々はお行儀がよくっていらっしゃるから、そっちの道へ進んでしまわない自信があるんだろうが、アルコールなどというソフトドラッグ?に溺れているような人たちが増え続けていたり、歌舞伎町や六本木の夜を舞台に外国人やその筋のバイニンたちが少年少女を相手にしたシノギを増加させている昨今、マリファナ解禁は果たしてアリなのか?…ってのをふまえて論議しなおしたほうがいいんぢゃないかな。

 ハードゲイのときも書いたけど、ネット社会のおかげで“受け売り”よりたちが悪い“コピペな論客”がネットで増殖し続けていることも怖いと感じた。
 “コピペな論客”は自分自身が深く考察しているわけではないので「白黒ハッキリ」のような二元論に走る傾向がある。「ライブドア vs フジテレビ」のときもジャーナリストを中心とした反ホリエモン陣営が投げかけたメディアの存在意義だとか、署名記事とはなんぞやといった細かい、が、しかし重要な問題はことごとく無視し、論点は「株主利益」「取引の合法性」といったことに終始した。それにプラスして“旧態依然を打破しなければ前には進めない”という一見ロマンチックなエッセンスふりかけて、結局は「フジ=既得権益の上に鎮座する悪者」「ホリエモン=改革者」と結論づけた意見が蔓延した。
 複製された意見を削除・整理するソフトなんてのがあったら、実は反ホリエモンのほうが多かったんぢゃないだろうか…などと今でも思ってしまう。

 当時そんな“コピペくん”の中であきれたのは、某ジャーナリストをつかまえて
「●●さんもボクたちのようにブログをやってみればいいのに。実際に発信してないからネット社会の現状がわからないんだ」
っていうブログコメント。
 おいおい●●さんがいつもテレビに出てしゃべったり雑誌に記事を書いているアレは発信してるって言わないのかい?インタラクティブだからブログのほうが上だってのかい?キミのブログにくるコメントやトラバよりはるかに多い数の投書やメールが●●さんのところにはきてるはずだ。大きな違いはキミのようにただ匿名で吠えているのではなく、堂々と署名して発言してるってことだ。これが署名記事の重みってことなんだよ。

 小泉首相「郵政民営化政策」はこの二元論的風潮にうまいこと乗っかってるように見える。前に桝添要一氏が細木数子に「あんたは民営化に賛成なの?」と尋ねられて、細かい説明をはじめようとしたら「賛成か反対かだけ答えてよ!」と詰め寄られ結局「賛成か反対かといわれれば賛成です」と渋々答えていた。
 でもに二択でいったら民主党とて、賛成なのだが、細かい部分の論議を土俵にあげさせない(目立たせない)のが小泉首相のうまさなのだ。自民党内の分裂もその構図を際だたせてしまった。

ここで参考までに6月28日(火)朝日新聞 夕刊に掲載された金子勝氏の文…の一部分↓

 多くの人は、まだ民営化や規制緩和は利益政治をなくすことができ、巨額の債務を解消できると信じている。だが、それも虚構だ。汐留や東京駅前などの「おいしい土地」が大手ゼネコンに流れた。その一方で白川一郎氏によれば、国鉄精算事業団が87~98年に売却した5902ヘクタールの約84%が自治体の特殊法人「土地開発公社」に流れ、これが自治体財政を圧迫している(『自治体破産』NHKブックス)。
 それで旧国鉄の巨額の債務は解消されたのか。これらの旧国鉄用地売却後も長期債務は増え、結局、一般会計に移されて国民負担となった。つまり民営化の名のもとに、官僚たちによる国の財産の乗っ取り、優良資産の横流しと不良資産の自治体への押しつけ、さらに旧国鉄借金の国民による税負担が生じただけであった。実は、国鉄民営化とそれに続くバブルこそが、この社会が狂い始めた起点だったのだ。

 この抜粋引用の元の文は、尼崎の脱線事故について寄せられたもので、民営化と脱線事故の因果関係や日勤教育に対するマスコミの報じ方に対しては個人的には多少異論はあるが、それらの論議は今回は横においておくとして、ワキの甘い民営化はロクなことにならないということわかりやすく説明している例として引用させてもらった。

 外圧が必ずしも悪いとはいわない。たとえばボクが野球の監督だとして、そろそろ投手の替え時と思ったときに、先に投手コーチに「替えたほうがいいですよ」と進言されて、「ちくしょう今言おうと思ってたのに、これだとお前の言うこと聞くみたいでシャクだから続投!」なんて意地を張って打ち込まれて敗戦してしまったらそれは愚かなことだ。
 出所がどうあれ、その場における最善策(その場しのぎという意味ではない)はとるべきだろう。

 でも今回の民営化は郵貯だけを見ても、大勢の屈強な青い目のマッチョマンたちがポージングしながら待ちかまえている椅子取りゲームの会場みたいなものを想像してしまう。
 さんざん国民の血税を注ぎ込んでおいて、二束三文で外資に持っていかれてしまったあの長銀の悪夢が甦ってくる。さらには郵貯にすがっていた老人たちを食い物にしようとギャンブルのような金融商品を売りつける詐欺まがいのセールスマンたちが横行する近未来の地獄絵が浮かんでくる。

 “改革”というと“改善”とイコールだと錯覚しがちだが、新製品がいつでもいいとは限らない。コストを削ったためにヤワでショボいなんてことはよくあることだ。そういった錯覚も「どう転んでも今より悪くなることはない」と考えてしまうところまで日本を追い込んだ小泉マジックの効果か?(苦笑)

 民主党も民営化には賛成だが小泉氏の法案には個々に問題があるといっているだけなのだが、なんとなく世間的には「賛成 vs 反対」という図式になってしまっている。
 そうなってしまったのは民主党が具体的な対案を出さずに反対ばかりしているせいだというが、一応、具体的な問題点についての指摘はしているのだ。たしかにそれらが“法案”というパッケージになっていないのは説得力という意味において彼らの立場を弱くしてはいる。これでは政権能力を問われてしまうし、前にやってたバーチャル内閣というのがおままごとのようで余計気恥ずかしく映る。

 自民党にしたってゴタゴタしている上に小泉氏の後任らしき人がみあたらない。今回の選挙が楽しみだという友人もいるが、どっちに転んでもいまのままでは日本の未来は暗そうだ。

 モノゴトは平面的にだけ見てはいけないという趣旨の文書こうと思っただけなのに、話題があちこちにとっちらかった挙げ句に、なんだか救いようのないところに行きついてしまった(汗)
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4 コメント

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Unknown (通りすがり)
2005-10-06 04:18:14
マリファナの論文を書いてる最中、

google検索でこちらのサイトがあったので、

お邪魔しました。

ついでなので1点だけ言及させて頂きます。



>>>でも、マリファナはそのものよりも、それがコカイン、ヘロイン、各種覚醒剤といったハード・ドラッグの“入り口”となってしまうことが怖いのだ。



の1文について、

ニューヨーク医科大学の数年の調査によって、

マリファナは暴力や、精神異常、性犯罪を引き起こさないことや、常用癖や他のドラッグの使用に導かないことを認めました。



ソースはこちら。

http://www.druglibrary.org/schaffer/Library/studies/lag/lagmenu.htm



返信する
>通りすがりさん (管理人)
2005-10-06 12:45:23
コメントありがとうございます



>>>マリファナは暴力や、精神異常、性犯罪を引き起こさないことや、



↑これについては私も積極的に否定はしていません



>>>常用癖や他のドラッグの使用に導かないことを認めました。



 ↑これについても医学的見地ではマリファナをやったからといって、次第に禁断症状が起きて、さらにヘビーなものを求めるなんてことはないのだとは私もうすうす思っていますが、人はケミカルだけにあらずだと思います。

 たとえばマリファナでトリップ感を得たガキが六本木あたりで悪い友だちや売人に「もっとすごいのがあるぜ」ともちかけらどうでしょう。

 こんな分別のないアホなガキだったら最初っからヘロイン売られても買うだろうからここでマリファナだけを断罪するのはズレてるというかもしれませんが、昨今の乱れた状況の中でアホな若者にとっては“なんだか区別がついてないもののひとつ”を解禁するのはいかがなものでしょうか?

 「若者はそこまでアホぢゃないよ、おまへこそ頭の悪い頑固ジジィかよ」と突っ込まれてしまいそうですが、最近ようやく規制された合法ドラッグや脱法ドラッグなんて、違法ぢゃないんだからそんなに怖いことはないんだろと軽く考えてた若者もいたくらいですから。



 こんな状況でマリファナを解禁しても大丈夫なんでしょうか、朝鮮の麻薬売りがセールスしやすい状況アシストしちゃうんぢゃないでしょうかね…ってことです。



 今回の文が「前回のモス」の話題で…とはじまっているので話がややこしくなってしまったかもしれませんが、私が主に懸念しているのは今の日本の社会で…という場合についてで、

「日本でもマリファナを解禁しろ」

といっている掲示板を見て思ったことです。文が下手ですみません。

 ただ諸外国の説でもこれらについての意見はいまだ割れているような気がしますが。

 例えばマリファナ先進国のオランダでも麻薬問題にいまだ悩まされているというエイズがらみの特集をNHKで見ました。オランダの場合はマリファナ=無害というだけでなく場所を限定して解禁することでハード・ドラッグへの道も断つ、つまりマリファナを解禁することで麻薬犯罪も減らす、という目的もあったはずですが、実際はハードドラッグへのエントリーとなってしまうケースも少なくないとか。

 ↑テレビ番組の受け売りしてんぢゃねーよと思われるかもしれませんが、私の場合は記者でもなければ、論文を書いているわけでもないのでそこらへんはご勘弁を。でも別にNHKだから信じる…なんてことでもありません。



 そもそもハード・ドラッグ・ユーザとソフト・ドラッグ・ユーザのドラッグに手を出すきっかけ(目的)ってどこらへんが違うでしょうか。これは単純な興味として知りたいところです。



 規制だらけの社会はともすれば全体主義的になりかねませんが、少なくとも今の日本の社会に限っていえば、マリファナを解禁するということはブロークンウインドウ理論でいうところの「街の落書きを増やす」行為な気がします。
返信する
少しお邪魔します (seed)
2005-10-15 23:42:58
>マリファナでトリップ感を得たガキが六本木あたりで悪い友だちや売人に「もっとすごいのがあるぜ」ともちかけらどうでしょう。



とありますが。マリファナが解禁されている(という設定)のにわざわざ非合法の薬に手を出す事は無いと思います。よほど頭の足りない若者で無い限り・・・。
返信する
>seedさん (管理人)
2005-10-16 02:24:26
コメントありがとうございます



>マリファナが解禁されている(という設定)のにわざわざ非合法の薬に手を出す事は無いと思います。



↑ってことはマリファナと他の薬物は全く同程度の効果ってことですか?

ぢゃなんで、オランダにもヘロイン中毒者が存在するのでしょうか?ヘロイン中毒は悲惨だから、或いはエイズがからんだりしてるから少ない例が誇張されて取り上げられているだけ?

 でも、きわめてマリファナが手に入りやすいといわれている米西海岸でも(拙ブログで引用したコラムでは解禁されているのも同然という書き方でした)、あえてコカインに手を出す人が少なからずいるのはどうしてでしょうかね。効果だけでなく、摂取方法の違いによる利便性なども関係しているのかもしれませんがどっちにしても、なにかしら明確に差異があるってことぢゃないでしょうかね。 

 

 それらのことは置いておくとしても、ひとが犯罪に手を染めるときというのは大抵分別がなくなっているものです。

 薬物使用のようにチョット見、自己完結しているように見える行為というのも罪の意識を薄くしてしまいます。

 感覚というものは相対的なモノで、徐々に変化をしていくとトータルの変化量に気が付きにくいものですし、まわりの環境によっても感覚の麻痺は起こります。みんなもやってるからこんなのフツーだぜ…みたいな。

 日頃ちょっとしたスキャンダルにもナーバスになっているハズの芸能人が薬物に手を出してしまうのはこうした感覚麻痺の落とし穴に陥っているのではないでしょうか?



 仮にあなたが言われたようにマリファナが他の薬物と同じ効果だとしても、落とし穴はあります。例えば価格競争。北の将軍様が粗悪だけど、安価で思いっきり飛べる薬物なんてのを考えるかもしれませんし。



 罪の意識のハナシに戻すと、手に入りやすいというのも感覚を麻痺させる要因のひとつです。例えばいまや裏ビデオを買うのに罪の意識を感じる人は少ないと思います。

 蔓延すれば検挙率も下がる。あまりパクられないとわかればさらに意識は麻痺する。



 マリファナの合法化は充分、北の将軍様をアシストする「お試しサンプラー」になるんぢゃないですかね。少なくとも2005年の東京においては。



まぁ、ぶっちゃけちゃうとあなたが

今の日本の若者はそんなにバカぢゃない

…と言っているのに対して

私が

いや、充分バカだ

といっているってことでしょうか

まぁ、個々の若者がアホというのではなく環境による悪循環が加速しつつあるのでは…って言いたかっただけなのですが…。

私も高校時代環境に流されて喫煙してましたしね。



 非合法に対する感覚のハードルってすごく低くなってしまうことはあるものです。
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