弟に会いたい…
その願いが叶う時が来た。
春休みの間、おばあちゃんの所で弟を預かる事になった。
私はとても嬉しくて早く来ないかなと、その日を待った。
待ち焦がれていた、
久しぶりに見る弟は…
ガリガリに痩せていて、眼つきや言葉遣いが酷く悪くなっていた。
それでもかわいい弟だった。
近くの公園やスーパーに手を繋いで連れて行った。
夜はおばあちゃんと私と弟の3人で一つの部屋で寝た。
夜中寝静まった頃、突然弟がむくりと起き出して、
床をドンドンと蹴ったり壁を叩いたりした。
私はびっくりして、「どうしたん?!」と何度も声をかけたが、
弟はやめなかった。
弟の目はしっかりと閉じられていた。
翌朝、弟は全くその事を覚えていなかった。
それは毎晩続いた。
何日か経った日に、下の階の人が見慣れないバスタオルを持って訪ねてきた。
ベランダに落ちてたんだけど、おたくのでは無いかと。
知らないですと言うと、
最近夜に外で騒ぐ声がするけど、おたくは眠れているかと聞かれた。
それも知らなかった。
階下の人が帰ってしばらくしてから、あれはうちに対する苦情だったのだと気づいた。
おばあちゃんは耳が全く聞こえないから、弟が暴れる事も階下の苦情も知らなかった。
夜中弟が暴れ出すと、私は弟はの口を塞いだりほっぺたを思い切り叩いたりした。
それでも弟は目を覚まさなかった。
私は泣いていた。