正定寺の閑栖  (しょうじょうじのかんせい)

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(HP作成は正定寺閑栖:小原壽山)
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ASさん

2010年10月04日 | すばらしき檀信徒
ASさんは「分家」のお家です。
事情があって母親のお世話をしていました。

ASさんは父親を幼いとき亡くしています。

年長の兄や姉それに母親から実父の事は聞いていましたが、
父親の顔も姿も写真でしか見たことがありません。
動く姿は記憶にないのです。

本家のお墓が老朽したので
移転する事になりました。
私も立ち会って旧墓地より土葬・火葬を
含めた遺骨を掘りあげる事になりました。

ご先祖の遺骨と共に父親の骨壺も
土の中から出てきました。

ASさんは父親の骨壺が表れると最初に骨壺を抱きかかえ、
いきなり大きな声で泣き出しました。

それまで想像でしかなかった父親が
骨壺を抱えた瞬間に「いた」と感じたのだと
思いました。

父親とは早くに別れましたが、
母親は昨年103才の長寿でお亡くなりに
なりました。

ASさんにとって母親の長寿は
嬉しかったに違い在りません。

今は、60年ぶりに両親揃って
本家のお墓に眠っています。

ATさん

2010年10月04日 | すばらしき檀信徒
ATさんは大分県日出町の出身です。

ご主人の転勤で佐伯にお出でになった
時からの「信徒」になります。

ご一家は信心深く、もともと曹洞宗の旧家で
日出町の菩提寺から遠いと云うことで
当山に「月参り」を依頼されたのが出会いでした。

既に21年になります。

今は、定年して大分市に住んでいます。

私が病気になるまで毎月の「月命日」には
お参りして親しくお話をしていました。

私だけでなく先住和尚も又新命和尚も
同様にお世話になっています。

仏間の掛け軸は、季節により掛け替えられて
現代的な家屋なのですが旧家の名残を感じさせます。

お盆も昔ながらの「水向け」が飾り付けられています。

A家のお参りでいつも感じる事があります。
それは「誇り」です。

脈々と続くご先祖への誇りをゆったりとした
ご主人の所作と微笑む奥様から感じ取れます。

ご先祖への「誇り」は「愛情の歴史」のように
思えます。