新型コロナはもう「新型インフルエンザ等感染症」ではない
>これも当時としてはやむをえなかった。5類に落とすと、無償で全国民にワクチンを接種する法的根拠がなくなるからだ(インフルワクチンは自己負担)。高価なコロナワクチンを自己負担にすると接種を受ける人は少なく、日本で大流行するかもしれない。
>ところが日本では、コロナは流行しなかった。客観的基準でみると、超過死亡がマイナスだと判明した1年後に指定を解除すべきだったが、政府は新型インフル等感染症に指定した。これが間違いだった。
>特措法の対象は、病状が季節性インフル以上の感染症であることだが、インフルの平年の死者(超過死亡ベース)は2017年のシーズンで2万1000人、2018年で1万人だった。過少死亡になったコロナを、エボラ出血熱のような「非常時」の態勢をとる新型インフルエンザ等感染症に指定してはいけなかったのだ。
>日本で過少死亡になった原因は謎だが、1つのヒントは2019年末にインフルが激減したことだ。この原因は謎だが、コロナとインフルのウイルス干渉だといわれている。その医学的なメカニズムは不明だが、インフルの死者がほぼゼロになったことが、2020年に過少死亡になった大きな原因である。
>もし2019年にコロナの「隠れた大流行」が起こっていたとすれば、2020年第12週までに日本人は集団免疫を達成していた可能性もある。これは世界共通の現象だが、そのあと世界で大流行が始まる一方、日本で過少死亡になったのは、コロナが東アジアの風土病(エンデミック)だったからと考えることができる。
>日本は昔から中国に近く、コロナ系の風邪も入ってきた。いま生存している日本人の遺伝子には、コロナ系の風邪に対する細胞性免疫と呼ばれる遺伝的な免疫があったため重症化しにくく、ほとんどの人が気づかなかったとも考えられる。
>武漢で新型コロナウイルスが発生したのは2019年秋といわれているが、中国政府がそれを隠していたので、翌年1月末にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で集団感染が発生するまで、誰もその存在を知らなかった。当時は春節で多くの中国人が来日したので、武漢株が日本にばらまかれたと思われる。
>ここで不可解なのは、昨年から日本で始まったオミクロン株の大流行である。2022年の累計で感染者は約120万人、死者は約4万人という空前の規模だった。しかも超過死亡数は約10万人だから、6万人がコロナ以外の病気で死亡したことになる。
>これは、偶然他の病気にかかる人が急増したとは考えられない。時系列でみても、次の図のようにコロナ感染と超過死亡の相関は強いので、超過死亡数のほとんどは(直接・間接の)コロナ死者だという仁井田浩二氏(高度情報科学技術研究機構)の仮説も成り立つ。
>しかし2021年まで集団免疫に近い状態だったとすると、2022年にその免疫が突然失われたのはなぜだろうか。新型コロナウイルスが変異して、偶然日本人のかかりやすいタイプになった可能性もあるが、気になるのはワクチン接種との相関である。
>昨年10月の当コラム「なぜコロナ大流行で『老衰』の死者が激増したのか」で指摘したように、第3回ワクチン接種のあと感染が激増したことから考えると、ワクチンの悪影響とも考えられる。
>ワクチン接種後に死亡した人は約1900人で、そのうち5人に対して国は死亡一時金を支給したが、10万人の超過死亡を説明するのは無理がある。ワクチン接種で免疫機能が低下し、オミクロンにかかりやすくなったとも考えられるが、このあたりは今も不明である。
>コロナについてはまだ謎が多いが、明らかなことは、日本の超過死亡が先進国では群を抜いて少なかったことだ。オミクロン株では死者が増えたが、2020年から3年間を通算した超過死亡数は約12万人。アメリカの超過死亡数は100万人を超えている。
>昨年末からの第8波の死者の97%は60歳以上で、平均死亡年齢は83.1歳。日本人の平均寿命は、ほとんど縮まっていない。これはアメリカ人の平均寿命がコロナで2歳以上縮まったのとは、大きな違いである。
>オミクロンは弱毒化したので致死率は低いが、感染力が強いので死者が激増した。その大部分は、コロナ感染がきっかけになって基礎疾患で死亡した高齢者である。長期にわたる隔離や行動制限で「脆弱化」が進んだことも原因だろう。
>だから日本で必要なのは、全数検査して行動制限や隔離で感染を防止する新型インフルエンザ等感染症の対策ではなく、感染を前提にして症状の出た人を迅速に治療する季節性インフルと同じ対策である。オミクロンの感染防止はほぼ不可能だが、致死率は低いので問題ない。コロナ偏重の過剰医療をやめ、医療資源の配分を最適化すべきだ。
>コロナの窓口負担もワクチン接種も3割負担にし、自分の症状に合う治療を自己選択させるべきだ。無料なら軽症でも救急車を呼ぶが、有料なら病院に行くかどうかを自分で判断するだろう。日本医師会は「公費負担を残せ」と要求しているが、大事なことは患者にコスト意識をもたせ、適度な治療を選択させることである。
>2009年の新型インフル(H1N1)のときは、新型インフルエンザ等感染症という分類がなかったので、症状のない感染者を数えなくなったら自然消滅した。コロナも新型インフルエンザ等感染症を適用しなかったら、今ごろ消えていたかもしれない。過少対策は危険だが、過剰対策のコストも大きい。これを機に、感染症対策の法的枠組も見直すべきだ。
無駄に短期間で複数回も新型コロナワクチン接種したことが、ありふれた風邪ウイルスやその他のありふれた感染症への抵抗力を下げた可能性もあるのではないのか?
>これも当時としてはやむをえなかった。5類に落とすと、無償で全国民にワクチンを接種する法的根拠がなくなるからだ(インフルワクチンは自己負担)。高価なコロナワクチンを自己負担にすると接種を受ける人は少なく、日本で大流行するかもしれない。
>ところが日本では、コロナは流行しなかった。客観的基準でみると、超過死亡がマイナスだと判明した1年後に指定を解除すべきだったが、政府は新型インフル等感染症に指定した。これが間違いだった。
>特措法の対象は、病状が季節性インフル以上の感染症であることだが、インフルの平年の死者(超過死亡ベース)は2017年のシーズンで2万1000人、2018年で1万人だった。過少死亡になったコロナを、エボラ出血熱のような「非常時」の態勢をとる新型インフルエンザ等感染症に指定してはいけなかったのだ。
>日本で過少死亡になった原因は謎だが、1つのヒントは2019年末にインフルが激減したことだ。この原因は謎だが、コロナとインフルのウイルス干渉だといわれている。その医学的なメカニズムは不明だが、インフルの死者がほぼゼロになったことが、2020年に過少死亡になった大きな原因である。
>もし2019年にコロナの「隠れた大流行」が起こっていたとすれば、2020年第12週までに日本人は集団免疫を達成していた可能性もある。これは世界共通の現象だが、そのあと世界で大流行が始まる一方、日本で過少死亡になったのは、コロナが東アジアの風土病(エンデミック)だったからと考えることができる。
>日本は昔から中国に近く、コロナ系の風邪も入ってきた。いま生存している日本人の遺伝子には、コロナ系の風邪に対する細胞性免疫と呼ばれる遺伝的な免疫があったため重症化しにくく、ほとんどの人が気づかなかったとも考えられる。
>武漢で新型コロナウイルスが発生したのは2019年秋といわれているが、中国政府がそれを隠していたので、翌年1月末にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で集団感染が発生するまで、誰もその存在を知らなかった。当時は春節で多くの中国人が来日したので、武漢株が日本にばらまかれたと思われる。
>ここで不可解なのは、昨年から日本で始まったオミクロン株の大流行である。2022年の累計で感染者は約120万人、死者は約4万人という空前の規模だった。しかも超過死亡数は約10万人だから、6万人がコロナ以外の病気で死亡したことになる。
>これは、偶然他の病気にかかる人が急増したとは考えられない。時系列でみても、次の図のようにコロナ感染と超過死亡の相関は強いので、超過死亡数のほとんどは(直接・間接の)コロナ死者だという仁井田浩二氏(高度情報科学技術研究機構)の仮説も成り立つ。
>しかし2021年まで集団免疫に近い状態だったとすると、2022年にその免疫が突然失われたのはなぜだろうか。新型コロナウイルスが変異して、偶然日本人のかかりやすいタイプになった可能性もあるが、気になるのはワクチン接種との相関である。
>昨年10月の当コラム「なぜコロナ大流行で『老衰』の死者が激増したのか」で指摘したように、第3回ワクチン接種のあと感染が激増したことから考えると、ワクチンの悪影響とも考えられる。
>ワクチン接種後に死亡した人は約1900人で、そのうち5人に対して国は死亡一時金を支給したが、10万人の超過死亡を説明するのは無理がある。ワクチン接種で免疫機能が低下し、オミクロンにかかりやすくなったとも考えられるが、このあたりは今も不明である。
>コロナについてはまだ謎が多いが、明らかなことは、日本の超過死亡が先進国では群を抜いて少なかったことだ。オミクロン株では死者が増えたが、2020年から3年間を通算した超過死亡数は約12万人。アメリカの超過死亡数は100万人を超えている。
>昨年末からの第8波の死者の97%は60歳以上で、平均死亡年齢は83.1歳。日本人の平均寿命は、ほとんど縮まっていない。これはアメリカ人の平均寿命がコロナで2歳以上縮まったのとは、大きな違いである。
>オミクロンは弱毒化したので致死率は低いが、感染力が強いので死者が激増した。その大部分は、コロナ感染がきっかけになって基礎疾患で死亡した高齢者である。長期にわたる隔離や行動制限で「脆弱化」が進んだことも原因だろう。
>だから日本で必要なのは、全数検査して行動制限や隔離で感染を防止する新型インフルエンザ等感染症の対策ではなく、感染を前提にして症状の出た人を迅速に治療する季節性インフルと同じ対策である。オミクロンの感染防止はほぼ不可能だが、致死率は低いので問題ない。コロナ偏重の過剰医療をやめ、医療資源の配分を最適化すべきだ。
>コロナの窓口負担もワクチン接種も3割負担にし、自分の症状に合う治療を自己選択させるべきだ。無料なら軽症でも救急車を呼ぶが、有料なら病院に行くかどうかを自分で判断するだろう。日本医師会は「公費負担を残せ」と要求しているが、大事なことは患者にコスト意識をもたせ、適度な治療を選択させることである。
>2009年の新型インフル(H1N1)のときは、新型インフルエンザ等感染症という分類がなかったので、症状のない感染者を数えなくなったら自然消滅した。コロナも新型インフルエンザ等感染症を適用しなかったら、今ごろ消えていたかもしれない。過少対策は危険だが、過剰対策のコストも大きい。これを機に、感染症対策の法的枠組も見直すべきだ。
無駄に短期間で複数回も新型コロナワクチン接種したことが、ありふれた風邪ウイルスやその他のありふれた感染症への抵抗力を下げた可能性もあるのではないのか?