昨日紹介した芦原英幸先生は、他にも技術書を何冊か出しています。
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これらの紹介はまた、機会があったら別の時にすることにしますが、この中身を見ただけでいかにすごい人だったかというのがわかります。
実際、芦原先生はものすごく強くて、「ケンカ十段」の異名を取り、天才の名をほしいままにした人でした。
マンガ『空手バカ一代』で有名になり(実際には大山倍達先生の『闘魂』で先に登場していました)、全国から芦原先生を慕う若者たちが、松山の芦原道場に集まっていたほどです。
今日はさらに別の本を紹介します。
『流浪空手』(さすらいからて)。
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芦原先生が沈黙を破って、最初に出された本です。
そして、『空手に燃え、空手に生きる』。
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これらを読むと、芦原先生の空手を追求する姿勢やまた性格の明るさが伺えて、本当に楽しくなります。
私が東京にいた頃、新宿の紀伊国屋へたまたま行ったら、階段に何階も大勢の若者たちが並んでいるのです。
何事かと思ってその先頭を見てみたら、なんと眼光鋭い芦原先生が『流浪空手』のサイン会をしていたのでした。
多くの老若男女から慕われていました。
私も、芦原先生に惹かれて芦原空手を学んでいた一人でした。
想い出があります。
審査の時、松山の本部道場で芦原先生が私のことをほめてくださるのです。
「〇〇君、いいねえ!」
私に何度もそう声かけしてくれました。あの芦原先生の言葉を今も忘れません。
後ろ回し蹴りがいまいちうまくできなかった私に丁寧に指導してくださいました。
そして、たしか緑帯から茶帯に上がるときには、すごく褒めてくださって飛び級させてくださいました。
しかし、仕事が猛烈に忙しくなった私は、芦原空手からしばらくと遠のいていました。
ある春の日のことです。
本屋でいつものように空手雑誌を見ていた私は、衝撃を受けました。
「芦原英幸、死す」
突然、その言葉が目に突き刺さったのです。
ああ。知りませんでした。
芦原先生がALSに侵されて、そして、亡くなっていたということを。
その後、芦原先生の弟子がまとめた一冊の本、『芦原英幸 いのちのことば』を読んで、
私は先生が「あれ?おかしい」と病気に気づくところから始まって、呼吸が止まって亡くなるまでのことを知りました。
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その本の中に書かれていた、いつも私の心に残って離れない情景があります。
それが、この部分です。
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見えにくいですね。拡大してみましょう。
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その部分、以下に抜粋させていただきます:
「俺、やっぱり死ぬわ。最後には呼吸ができなくなるんだって。」
それだけ言うと、三階の自宅へと上がっていった。
それから1週間くらいだったろうか。先生は自分の部屋に閉じ篭り。一切の連絡を絶った。聞けば、ずっと眠っているという。信じられないくらいに眠り込んでいるとのことだった。
しかし、目覚めるやいなや、バーンと館長室の扉を開け、椅子にどっかりと座るなり、
「ジタバタしても仕方がないわな。二、三年間、人によっては十年以上生きることができる病気みたいだけど、寿命だ。寿命が決まっているんだから。俺はね、寿命が来るまでに、やり残した仕事をやれるだけやってみるよ。」
そういうと黙々と仕事をはじめた。
毎年春が来ると、芦原先生のことを思い出します。
そして、芦原先生はその晩年を、どんな気持ちで過ごされたのかなあと思うのです。
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