時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

東京夏の陣は、現職に軍配

2024年07月08日 | 時のつれづれ・文月 

多摩爺の「時のつれづれ(文月の48)」
東京夏の陣は、現職に軍配 (東京都知事選挙)

秒殺というか、瞬殺といっても良いだろう。
19時58分から始まった「東京都知事選挙」の開票速報は、
右上に表示されたカウントダウンが、20時ちょうどで画面が切り替わった直後、
現職の当選確実を報ずるテロップが表示された。

春先の衆院補欠選挙で三連敗を喫した政権与党が、続く静岡県知事選挙でも敗れ、
政権交代を求める強風が吹き荒れるなか、現政権にトドメを刺そうと、
満を持して東京都知事選挙に、党の顔とも云うべき女性幹部を立ててきた野党第一党だったが、
その結果は・・・ 現職の8年間に都民は不満がなく、次の4年も継続を望んだ。

メディアが報じる情勢調査では、0~5ポイント差が「接戦」、
5~10ポイント差が「一歩リード」で、10ポイント以上差が開くと「先行」と表現するらしく、
想定外の逆転劇が起こらない限り・・・ 先行する候補者の優位は揺るがないらしい。

ということを踏まえ・・・ 現職優位のまま、選挙戦が事実上始まった5月の下旬から、
戦いの主導権は現職にあり、接戦になることもなく、淡々と選挙戦が進んだんだこともあって、
投票箱が開く前に、メディアが競って当選確実を出すのは、当然と言えば当然なんだろう。

もちろん私も、木曜日に期日前投票に出かけ、意中の候補に一票を投じてきた。
なお・・ こういった選挙に関しては、自らの主義主張はあるものの、
ネットで誰かに誘引する記事を書くのは、個人的に好まないこともあって、
告示から投開票が終るまでは・・・ あえて、本件には触れないようにしてきたつもりだ。

そういったことを踏まえて、投開票が終ったということで、自分の思いの丈を述べるが、
まず真っ先に触れておきたいのは・・・  選挙の結果ではなく、
表現の自由に益々拍車がかかり、完全にボーダーレス(なんでもあり。)になったことで、
これをどう見たかについて、掘り下げてみたい。

端的に言えば・・・ 今回の選挙を振り返って、
結果的に上位の得票を得た、3候補のネットでの取扱いは、どうだったのか?

当選した現職に対しては、学歴、公務優先、政権与党のステルス支援など、
大っぴらな記事で、批判と非難が展開されていたが、
一方で野党第一党から出馬した女性候補は、大っぴらな記事にそういった批判や非難は少なく、
どちらかと言えば、コメントが可能な掲示板や、SNSに批判と非難が集中していた。

ところが、地方の首長経験者に限っては、選挙が始まった直後から幇間(太鼓持ち)が目立ち始め、
大っぴらな記事を含めて、掲示板とSNSで持ち上げると、
推奨する記事やコメントが、猛烈な勢いで溢れて行ったので、これにはちょっと驚かされた。

所謂、インターネットを中心にしたネット選挙だが、
訴えている政策は・・・ 総じて抽象的で、総花的で、耳障りの良い言葉が並んでいたが、
キャッチフレーズ的な言葉だけで、内容的には具体策がないし、裏付けがなく、
実効性が感じられるようなものは・・・ ほとんどなかったように思う。

にも拘らず・・・ ネット民は、なにを根拠にして、
同候補をそんなに持ち上げて推奨するのか・・・ 私の頭が古いのかもしれないが、
ネット民の思考と行動が、理解が出来ないままだった。

開票速報をみてみれば、熱量を感じたという声も、けっこうな数があったようだが、
イメージ戦略で洗脳されたまま、熱病にうなされているみたいで、
こういった手法で、巧みに誘引を図るネット選挙が、これから主流になっていくのかと思うと、
背筋に冷や汗が流れるような、不安を感じたのは・・・ 私だけではないだろう。

まっ、三者三様と云えば、それまでのことだが、
ネットを使った扱いの差は・・・ いったいなんなんだろうか?

選挙にYouTubeやX(旧Twitter)の利活用が必須となっているのは理解するものの、
メディアを含めた、関係団体や、入れ込みが過ぎる支援者たちの、
もはやボーダーレスとなった「表現の自由」に、思いっきり悪乗りした露骨な誘引活動は、
禁止されているはずの戸別訪問を、完全に骨抜きにするどころか、いとも簡単に凌駕してしまった。

そう捉えれば・・・ 当初は、掲示板ジャックが問題視されたが、
選挙戦が佳境に差し掛かった頃からは、
ネットを使った強引な空中戦の方が、目に余ったと思うが・・・ 思い込みが過ぎるだろうか?

まっ、それはそれとして、選挙結果について述べさせてもらうと、
春先の補選を完勝した野党は、とんでもない人選ミスをしてしまったと思っている。

ネームバリューのある、党幹部の女性を擁立したものの、
過去の言動や行動を含めた、攻撃的な口調と、取って付けたような不気味で不遜な微笑みが、
本来は頼りにしたい女性たちに、嫌悪感を持たれ、
メディアに露出する度に、1票また1票と票が減っていったと思うが・・・ どうだろう?

国政を批判したいがあまりに、若者の手取りを増やすとか、神宮外苑の工事は都民投票をするとか、
行政が直接手出しすることができない事案を政策に掲げており、
まるで社会主義の権力者になったかのような、
トンチンカンなことを口走ったのも・・・ かなり大きなマイナスになったと思う。

政権与党への批判したいのは分からんでもないが、あまりに執着しすぎたがために、
政権与党への批判が、いつしか既成政党全体への批判にすり替わってしまい、
既成政党にしがらみのない候補者に、
頼りにしていた無党派の票をかっさらわれてしまったというのが・・・ オチではなかろうか?

そういった視点で、同候補を客観視すれば、
彼女の言動と行動を、痛快と感じたのは10数年ぐらい前までで、
いまじゃ、彼女の言動と行動を不快と感じる方のほうが多く、例えは失礼かもしれないが、
とうの昔に旬が過ぎており、候補選びに失敗したと云っても過言ではないだろう。

ひらたく言えば、現職の女性知事と彼女の、どちらが好きかと問われたら、
どちらも好きじゃないと応える人が大多数だと思うが、
どちらが嫌いかと問われたら・・・ 圧倒的に「そりゃ、彼女でしょ。」となるだろう。
遠回しに言ったが、早い話がそういうことなんだと思う。

まっ、それはそれとして・・・ 彼女はこの先どうするんだろうか?
おそらく、この秋にも行われるかもしれない総選挙か、来夏の参院選かに出るんだろうが、
この候補者は、今回の選挙で公選法違反(事前の選挙活動)の疑いがあるので、
罰金刑になれば公民権停止となり、秋にも来夏にも出番がなくなってしまう可能性もあり、
すんなり思惑通りに行くのか・・・ 注目はすでに、そちらに移ったようである。

よもやだと思いもするが、もしそうなれば・・・ 泣きっ面に蜂どころか、
無所属とはいえ、野党第一党と、左派系野党が全面的に支援していたこともあり、
政治と金の問題に水を差すどころか、政権交代を求める声にも急ブレーキが掛かってしまい、
恥ずかしすぎる、巨大なブーメランを受けてしまったと云っても良いだろう。

政権交代の流れは・・・ いまや、この国だけではない。
イギリスでは、都知事選挙の真っ最中に選挙が行われて、現実に政権交代が起こり、
フランスでは、最終結果はまだだが・・・ 政権の屋台骨を揺るがす事態に陥り、
アメリカでは次のトップに、スキャンダルを抱えた恥ずかしい候補が息を吹き返している。

さらにイランで行われた大統領選挙では、欧米との対話に前向きな改革派の候補が勝ち、
今後の中東情勢や、対ロシア政策などの諸課題に・・・ スピード感は期待できないとしても、
なんとなくだが、良い方向から風が吹き始めてきた。

蛇足になるが・・・ アメリカのことだけにフォーカスして、もの申せば、
前回の選挙で、民主党候補の支持して、当時の現職から目の敵にされた人気の女性歌手が、
高齢批判が高まる現職に「辞退なされたら。」なんて、優しくひと言発すれば、
事態はあっという間に、大きな流れになるような気もするが・・・ さて、どうなることやらである。

そんな世界情勢のなかで、国民の多くが不満を抱えながらも、
政権の安定を維持しているとの一点にフォーカスすれば、
武力で言論と行動の支配を強める・・・ 中国とロシアになるんだから、
「なんだかなぁ・・・ 。」と、溜息がでてしまうのは、私だけではないだろう。

そういった世界の情勢から目が離せないなか、この国の政治に目を移せば、
政治と金の問題が、今後も燻り続けるのか・・・ それとも一つの区切りとなったのか、
先のことは分からないが、同日に行われた鹿児島県知事選はともかく、都議補選の結果が芳しくなく、
一つの山を超えたとまでは行かないが、なんとなく風向きが変わってきた気がしないでもない。

最後になるが・・・ 今回の都知事選挙で再選された現職のことに、ひと言ふれておくと、
現職を支持するしないは、大きな問題じゃなく・・・ 政策そのものに不満がなかった。
不満がないんだから、帰る必要はない、それに尽きると思うし、
そう思いながら・・・ 1票を投じた都民が多かったのではなかろうか?

また、頑張って選挙戦を戦ってこられた候補者を批判したり、非難するつもりは毛頭ないが、
耳障りの良いキャッチコピーだけの、イメージ選挙や、
真っ先に批判と非難ありきで、キレてウケを狙う選挙手法には、
1度やらせてみて大失敗だった、前回の政権交代の例があり、慎重に見極めたいと思った。

先の大戦で大きな過ちを犯したこの国が、よもや再びしくじるとは思わないが、
熱量に興奮しすぎると、どうしても思い浮かべてしまうのは、先の大戦のナチスである。

そういった視点で捉えれば・・・ ネット選挙を否定するものではないし、
むしろ、お金の掛からない、そちらに向かうべきだと思いもするが、
これだと思って興奮する前に、俯瞰しながら見極める力を養わねばとも思った。

以上、たらたらと能書きを垂れたが、
本文はあくまでも個人的な思いであって、
コメントを頂戴しても、議論するつもりはないので、ご理解いただければありがたい。


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七夕政治決戦(知事選挙)2024

東京都知事選挙
  (投票率 60.62%)

当選 小池百合子(71)無所属・現  2,918,015票(42.8%)
 2 石丸伸二 (41)無所属・新  1,658,363票(24.3%)
 3 蓮舫   (56)無所属・新  1,283,262票(18.8%)

(注)供託金が没収されない法定得票数の獲得者のみを表記

鹿児島県知事選挙 (投票率 44.76%)

当選 塩田康一 (58)無所属・現    337,357票(59.1%)
 2 米丸麻希子(49)無所属・新    180,608票(31.6%)
 3 樋之口里花(52)無所属・新     53,317票
( 9.3%)


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