うまかっちゃん

多摩爺の「こりゃ美味い（その３５）」
うまかっちゃん　ハウス食品（インスタント袋麺）

もう元気になったので・・・　ひと安心だが、
３歳の孫が新型コロナウイルスに感染して、濃厚接触者になってからは、
人との距離を保ちながら買い物に行ってると、冗談交じりに愚痴っていた女房を気遣って、
北九州に住む妹が、しこたま（段ボール箱で２箱）食料品を送ってきてくれた。

それはもう・・・　感謝感激の極みなんだが、
なかでも、涙が出るぐらい嬉しかったのは、
私が大好きなインスタントラーメン「うまかっちゃん（袋麺）」が入っていたことだった。

この国の食文化の一つでもあるインスタントの袋麺、
その魁といえば・・・　日清食品の「チキンラーメン」だが、
子どもの頃に食べたかった袋麺は「出前一丁」、「チャルメラ」、「サッポロ一番」などで、
なかでも「チャルメラ」には・・・　ぞっこんだった。

しかし、我が家は裕福な家庭ではなかったので、お袋がいつも買ってくるのは、
１袋に２食分が入ってお得な「マルタイ棒ラーメン」で、
「チャルメラ」を食べたのは・・・　年に数回、数えるほどだったが、
ある日を境に・・・　「マルタイ棒ラーメン」や「チャルメラ」と決別せねばならない、
悲しいというか、驚く日がやってきたんだから・・・　人生には、なにがあるか分らない。

その衝撃は・・・　記憶が確かなら２４～５歳のころだったから、
たぶん４２～３年ぐらい前で、昭和５０年代の半ばだった。
インスタントラーメンの王道だった醤油系ラーメンに、殴り込みをかけるがごとく、
九州及び山口限定で、豚骨系のインスタント袋麺「うまかっちゃん」が販売されたのだ。

さらに、テレビでは当時の人気漫画「博多っ子純情」とタイアップしたＣＭが流れてくるから、
昔からラーメン好きだった若造（私のこと）は、これが食べたくて堪らず、
直ぐさまスーパーで買い求めると、食べた途端に・・・　この味に取り憑かれてしまった。
それはもう・・・　トンカチで頭を叩かれたぐらい（叩かれたことないけど）の衝撃だった。

余談だが・・・　「博多っ子純情」の主人公、郷六平は、福岡出身の郷ひろみさんに因み、
ガールフレンドだった小柳類子も、福岡出身の小柳ルミ子さんに因んでいるというから、
なんだか、パクりのような気がしないでもないが、
人の名前って、拘ってるようでも、あやかりや、パクりが多いので、気にする必要はないだろう。

「うまかっちゃん」は、帰郷した際は、必ず買って帰るラーメンだが、
濃厚接触者になって、買い物に難儀してると思った妹が、
しこたま食料品を送ってきてくれたなかに、なんと「うまかっちゃん」が入っていたのだ。

いまや６５歳になった婆さんだが・・・　さすが我が妹、よく出来る。
小さい頃から勉強は私の方ができたが、
やさしさと、思いやりと、人に好かれて喜ばせる能力は・・・　私を遙かに越えていた。

歳も歳だし・・・　偏った食生活に、配意しなきゃならないのは、
当ったり前のど真ん中であって、百も承知ではあるが、
今日から１週間、昼メシに「うまかっちゃん」をいただけると思えば、嬉しくて堪らない。

脇役で足りないものは・・・　分葱と、紅ショウガと、炒りゴマだが、
関東では太い白ネギが主流で、細くて小さい分葱は、野菜売り場で肩身が狭いし、
紅ショウガは売ってるが、女房に千切りを頼まなきゃならない。
なんとかなるのは、炒りゴマぐらいだが・・・　欲をいえば、油で炒めた高菜も欲しい。

いやぁぁ・・・　まいった。
せっかく、美味しく食べたいのに・・・　ビジュアルを含めて、
それを支える脇役が、関東じゃなかなか揃わない。

ちょうどその時、タイミングを見計らったかのように・・・　女房がボソッと言った。
「玉子入れる？」
「うん、頼むよ。」

その短い会話は、今日の昼メシが・・・　チャーシューも、メンマも入っていない、
玉子入りのラーメンライスを示唆していた。

いただき物なんだから、
ビジュアルだ、なんだかんだと贅沢言っちゃ・・・　罰（ばち）が当たるかもしれない。
困ったジジイで、ホントに申し訳ない。


これは、オーソドックスな豚骨タイプで、最近では高菜風味があったり、
九州のラーメンどころ、久留米、熊本、鹿児島のラーメンに因んだものも出ている。