時のつれづれ(北多摩の爺さん)

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読みがあまかったのだろうか?

2025年02月19日 | 時のつれづれ・如月 

多摩爺の「時のつれづれ(如月の52)」
読みがあまかったのだろうか?(備蓄米の放出)

約半年の間に、約2倍近くに高騰した米の市場価格を問題視して、
備蓄米の放出を決断するとともに、具体的な段取りに入った政府に向けて、
昨秋、「新米が出回れば落ち着くはずだ。」と答弁した、前農林水産大臣を批判するかのように、
「備蓄米を放出する決断が遅かったのでは・・・ ?」と、野党議員が国会で追及していた。

結果からみれば、たしかに仰るとおりであり、
対策が後手に回ったことは事実だから、批判を受けるのは致し方ないと思うものの、
当該大臣の肩を持ち、擁護するつもりはないが、
「野暮なことを云うなよ。」との思いが・・・ ないわけでもない。

令和の米騒動があった昨秋、当時の農林水産大臣は、確かにそのような発言をしたものの、
その時、あなた方(野党議員)は、米の販売を生業としてない異業種の事業主たちが、
投機目的で参入し、買い占めする可能性があるとの声を発し、警鐘を鳴らしていたのだろうか?

「備蓄米を放出すべき!」と訴えた、自治体のトップがいたことは承知しているが、
対処(対症かな?)療法として、備蓄米を放出する対策がプランAなら、
新米の流通に期待する対策はプランBであり・・・ これもまた対処療法である。
そう捉えれば、読みがあまかったかもしれないが、対策が間違ってたと決めつけるのは早計だろう。
 
高騰した米価に苛立つ気持ちは分からんでもないが、基本的にこの国は性善説を旨とする国であり、
人々が困るようなことをする人間はいないし、いるはずがないと、だれもが思い込んでいて、
新米の流通に期待して、店頭に米が並ぶのを待ったんだが、
ところが現実は・・・ 米を投機対象として買い占め、儲けを企む事業者がいたのである。

農家がJAなどの集荷業者に出荷する前に、高い条件をチラつかせて接近し、
精米20トン未満という、法律に触れない範囲内で、
直取引を働きかけるとともに、米価の高騰に苦しむ庶民には背を向けて、
纏まった量で農家から米を買いあさる・・・ 狡賢くて、腹立たしい事業者がいたのである。

いまさら愚痴を云っても始まらないので・・・ 批判は野党議員に任せておいて、
まずは、備蓄米の放出を迅速に推し進めることにより、
正規の商取引ではあるものの、国民生活に欠かすことの出来ない主食であることを踏まえ、
理不尽かもしれないが、買い占め事業者に放出を促すよう・・・ 圧力をかけなくちゃならない。

待ったなしの農林水産省は・・・ 一昨日、
年間で5,000トン以上の米を取り扱う、63の集荷事業者を集めて、
備蓄米放出の段取りについて説明会を開いていた。

本来なら卸売り事業者に向けて放出した方が・・・ 生活者に近く、
市場に出回る日が早いと思われるので、JAに便宜を図ったのではという穿った視点もあるが、
ここでまた、買い占めが起こると洒落にもならないので、
素性が見えてることと、流通が追えることに着目して、出荷事業者を対象にしたと思われる。

5年前の3月に、時の総理が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、
全国の小学校、中学校、高等学校に対して、地域や学校の実情を踏まえたうえで、
各自治体が工夫して3月2日より春休みまで臨時休校するよう、
先手を打って・・・ 重い政治決断をしたことがあった。

昨秋、備蓄米を放出する政治決断をしなかったことと比べるのが、適切かどうかは分からないが、
なにかが起こることを想定して、政治が緊急に決断することは極めて稀だが、
決断して良かったかどうかの判断(成果測定)は困難だが、
決断せず、なり行きに任せた場合は、後々結果として表れてくるので分かり易い。

よって、「読みがあまかった。」と云われれば・・・ たしかにその通りだが、
予め正解があるのなら、政治決断するまでもないので、
あえてもう一度言わせてもらうと・・・ 「いまさら、野暮なことは云うなよ。」となるのである。

昨日、担当大臣が会見し、買い占め事業者から各地の小売り店に、
早くも商談が来ているようで・・・ 市場が動き出したとのコメントがあったようだ。

とっても良い兆候だと思うし、消費者の立場からすれば、安くなるに越したことはないが、
亡くなった義父母をとおして、農家のことも知ってるだけに、
昨今の食料品価格を踏まえれば・・・ なにごとも程々が肝要であり、
なんとか、ウインウインになることを願ってやまない。

ただ、一つだけ用心しなきゃならないのは、
政府の備蓄米は、温度管理された倉庫で保管されているので安心だが、
買い占め事業者の米は・・・ そういった設備で保管されているとは思えない。

温度管理が出来てなければ、虫がいたり、虫の卵があったり、卵から孵化していたりするし、
カビが発生している可能性もあるので、市場に米が出回ることは良いことではあるが、
下手すりゃ小売店が評判を落としたり、劣化した米を買わされることもあったりすることから、
これもまた性善説だが・・・ 小売店のチェックには期待したいと願ってやまない。

ひょっとして、すでに売り物にならないくらい劣化している米が見つかったりすると、
それこそ「なんてことをしてくれたんだ。」との怒りが沸点を超えてしまい、
情報に過敏な決めつけ刑事(デカ)たちが、SNSで炎上騒ぎを引き起こすこともあるだろう。

イチャモンのつけようがなく、法律に触れない商取引であったとしても、
主食を扱うビジネスには、それ相応の信用が必要であり、リスクがともなうとともに、
普通に暮らす生活者から、やり場のない怒りを買うことを踏まえれば、
メディアはしっかりと知らしめておく必要があると思うが・・・ 如何なものだろうか?


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