多摩爺の「旅のつれづれ(その16)」
青紅葉・炎暑・夕立 古都の夏(京都府京都市)
二日前のことだが、フォローさせていただいているブロガーさんが、
京都に夏を告げる祇園祭(山鉾巡行)を見に行かれた記事を読ませていただき、
15年前の夏に、帰郷の途中で京都に立ち寄った時のことを、思い出したもんだから、
ハードディスクから、当時の写真を探しだして・・・ 思いでに浸り綴ってみた。
丑三つ時に北多摩を出発して、東名高速をかっ飛ばし、京都東ICを出たのは、
朝の8時をちょっと過ぎたころだった。
山科の駅前を通り抜け、南禅寺の参道沿いに車を駐めて、哲学の道を歩いて銀閣寺に行き、
銀閣寺を観光した後は・・・ ちょっと早めのお昼ご飯を食べて、
当日のメインでもあった金閣寺へ向かった。
因みにお昼ご飯は、南禅寺に近くの、入り口から身構えるような立派な和食店
この店の名物と評判の・・・ 湯豆腐をいただいたんだが、
「夏なんだから湯豆腐じゃなくて、冷や奴でしょ。」と、女房からキツい一発をくらっている。
「そのとおりである。」
「なんで気がつかなかったんだろう?」
老舗の名店だから、きっと喜んでくれると思ったんだが・・・ 完全に選択ミスだった。
笑い話のような、ホントの話は、いま振り返っても笑える思い出の一つになっている。
その後は、大阪の義妹宅に向かう予定だったが・・・ ちょっと時間に余裕があったので、
清水寺に行こうと、スケベ心をだしたら、
そこで待ってたのは、夕立だから・・・ ご多分に漏れず、ビショビショになってしまった。
あの夏の日から・・・ すでに15年、
清水寺は大改修工事を行い、ちょっとイメージが変わったかもしれないが、
写真で当時を振り返りながら、銀閣寺から金閣寺、清水寺を巡った思い出を振り返ってみた。
哲学の道 南禅寺と銀閣寺を結ぶ約2キロの散歩道
銀閣寺(慈照寺) 京都市左京区銀閣寺町2
南禅寺から、仏教系私学の中学・高等学校の前を通り過ぎると、
琵琶湖疏水の分流を覆うような・・・ 青紅葉の小径(哲学の道)が見えてくる。
そんな逍遙の小径を、2キロぐらい歩いた先が・・・ 銀閣寺だ。
静寂に包まれた、その境内に入ると・・・ 風流に言えば蝉時雨だが、
五月蠅すぎる蝉の鳴き声が、観光客の声を遮っていた。
とはいえ、これもまた「どうぞ、お静かに・・・ 。」なんて思えてくるんだから、
古都の風情は、人々をプラス思考に切り替えるパワーもあるようだ。
ここは、古都を彩る「雅(みやび)」の対極にある・・・ 「侘び」と「寂び」の世界
何も考えず、頭の中を空っぽにして、静かに五感を研ぎ澄ますと、
枕草子に記された「いとおかし」って・・・ どういう意味だったのか?
それが分るような気がしてしまうんだから、旅はするもんだと思う。
金閣寺(鹿苑寺) 京都市北区金閣寺町1
日差しが強すぎて、夏を彩る百日紅でさえも・・・ 色褪せているように見える。
言うまでもないが、京都盆地の夏は炎暑だ。
そよ風すら吹かない灼熱の庭園で、金色(こんじき)に輝く舎利殿は、
毛穴から勢いよく汗を吹き出させるとともに、
温度計のメーターを上げに上げ、テッペン近くで待機させていた。
京都屈指のパワースポットは、カンカン照りの日差しを受けて、
照り返しの威力を倍増させ、眩(まばゆ)さと、火照りの圧を容赦なく仕掛けてくる。
義満が手掛けた、北山文化(室町時代の前期)の代表作ともいえる、雅の極みは、
古都の古刹を彩る、四季折々の光彩の総てを脇役に従え、
年中休みなしで主役を務める・・・ 圧が強すぎる働き者だった。
清水寺 京都市東山区清水1-294
さっきまで、あんなに良い天気だったのに・・・ 夏の天気は気まぐれだ。
突然の夕立に、傘を持ってない観光客は大慌てで、旅行雑誌を頭の上に載せると、
雨宿り先を求め、蜘蛛の子を散らすように走り出した。
30分ぐらい経っただろうか?
小降りになった清水の舞台から眺めた古都の街並みは、
雨粒に煙って、水墨画のような・・・ 白い京都に変貌していた。
「これって、小柳ルミ子の「京のにわか雨」みたい?」と言った女房に、
「いやいや、白い京都に雨が降ってんだから、渚ゆう子の「京都の恋」でしょ。」と返した私
笑ってしまうような、昭和の歌謡ネタで・・・ ついムキになってしまったことも懐かしい。
ふと思うに・・・ 夏の夕方に起こる定番イベントが、
ゲリラ豪雨という、ありがたくない呼び名と、現象に変わってしまったのは、
おそらく、このころを過ぎたあたりだったと思う。
古都にやってくる観光客が、頭のなかに描いている・・・ この町のイメージは、
不思議なことに、この町にやってくる前から、すでに出来上がっていて、
この町も、その期待をけっして裏切らないんだから、
それが嬉しくて・・・ また、来ちゃうし、来たくなっちゃうんだと思う。
古都の歴史には、遠く及ばないものの、
「そうだ。京都、行こう。」と呟く、キャッチコピーが長い時を経て定着している。
それもまた、老若男女を問わず、
京都好きのリピーターが、時間をかけて育んできたからではなかろうか?
また行きたいな・・・ 京都に
コロナが落ち着いたら、元気なうちに・・・ もう一度
今年の夏は、ちょっと無理なので、
できれば来年の6月ごろに行ければと思っています。