多摩爺の「スポーツ観戦(その28)」
謝る日本人、謝らない外国人(北京2022)
トラブルが発生すると・・・ 取りあえず謝るのが日本人だが、
訴訟が当たり前の社会で育った外国人が、取りあえず謝るなんてことはまず持ってあり得ない。
2月7日の夜、世界が注目する冬季オリンピック「スキージャンプ混合団体」で惨事が起こった。
日本代表女子のエースを含む5名の女子選手が、抜き打ちの検査により、
着用していたスーツに違反があったと判定され、記録が取り消されてしまったのである。
この判定の影響は大きく、日本代表チームは1回目を終わって8位に沈み、
メダル圏外どころか、辛うじて予選を通過したに過ぎず・・・ 興味は半減してしまったが、
2回目で脅威の追い上げを見せ、最終的には3位に肉薄する4位だから、
大アッパレであり・・・ メンタルを含めて、本当に凄い選手たちだったと感心する。
惜しくもメダルに届くことはなかったが・・・ それはそれであって、
個人的には、納得の4位だったと思っている。
失格の判定を下した検査員は、いつもどおりに検査したと言ってるが、注目しなきゃならないのは、
「すべての選手がチェックされるわけではなく、逃げ切った選手もいる。」とのコメントだろう。
早い話が・・・ 一部の国の選手だけを対象にした、狙い撃ち検査であり、
全員を検査する、公平な検査ではなかったと・・・ 検査員が自ら述べているのだ。
失格判定を受けた日本女子のエースは、自身のSNSを更新し、応援してくれた方々に向けて、
自らの失格でメダルのチャンスがなくなり、失望させたことを反省すると謝罪の弁を述べ、
今後の競技人生についても考えねばならないとした文面を綴ると、
メディアを始め、SNSに慰めと励ましの言葉とコメントが、あっという間に溢れている。
一方で日本の女子エースと同様に、失格判定を受けたドイツ、ノルウェー、オーストリアの代表は、
「いつもと違う方法でスーツを測定し、新しい手順で検査を行った。」
「これまで経験したことないほどの長い時間、上から下までくまなくチェックされ、
何か見つかるまで検査が続くような感じだった。」と、
いつも行われていた検査とは違っていたことを指摘し・・・ 検査内容の不備を訴えている。
また、我が国代表チームのスタッフ陣は、自分たちのミスだとして選手を庇ったが、
失格の影響で2回目に進めなかったドイツの監督は全く逆で、
「パペットシアター(操られた舞台)のようだ。」と激怒している。
真っ先に謝罪した日本女子のエースに対し、
謝ることなく、真っ向から疑問を呈した欧州諸国の代表選手たち、
国民性の違いがあるといえば・・・ それだけのことかもしれないが、
もし、日本女子のエースが開き直って「私の責任じゃない。」と発言していたらどうだっただろうか?
彼女に限って・・・ そんなことを言わないのは百も承知だが、
もしそうだったら、SNSに投稿されるコメントは、また別のものとなっていただろうし、
場合によっては、大炎上していたかもしれない。
多くの欧米人は、真っ先に原因や状況について説明したいとの思いがあって、
納得しないと・・・ ミスを認めることはなく、謝罪することはない。
これは国民性だから・・・ どちらが正しいかといった問題ではなく、
あなたならどうしていたか、私ならどうしていたか・・・ ということで自問すれば、
幼いときから、恥の文化のなかで躾と教育を受け、生活してきた日本人なら、
九分九厘・・・ 謝ることから始めるだろう。
SNSを読んだ人々の大半は「あなたのせいじゃない。」とのコメントを残すが、
一方でSNSの内容について「潔い。」との思いを抱く人も多い。
とはいえ「あなたのせいじゃない。(否定)」と「潔い。(肯定)」は相反した思いであり、
五分五分なら分るが、どちらも大半を占めることは・・・ 本来はあり得なく、
これが成立するのが、この国なんだと思えば・・・ 屁理屈を言うつもりはないが、
本人がこれでケジメをつけたのなら、それを尊重して、そっとしておいてあげるのが一番なのだろう。
気をつけなきゃならないのは、彼女が帰国した後の、メディアや週刊誌の対応で、
なにかしらのコメントを取ろうと、彼女を追っ掛け回して、
傷口に塩をすり込むような、行動を取ることだけは勘弁してほしいと願いたい。
もちろん、今回起こった惨事を究明し、改善をしていかなきゃならないが、
それは関係国の連盟に任せれば良いことであって、
しばらくは、静かに過ごせる時間を作ってあげることが・・・ 肝要なのではなかろうか?
追伸
4位となった結果について、メディアやSNSでは、
残念だと思う人々のコメントが数多くあるが、これはこれで良かったと、私は思っている。
なぜなら・・・ ジャンプ8本の合計点を、ジャンプ7本の合計点が上回ってしまったら、
銅メダルを獲得した国のプライドもさることながら、
ジャンプ混合団体という、新種目そのものの価値が下がってしまうことから、
結果は残念だが・・・ 順位についての異論は持っていない。
また、翌日のフィギュアスケート男子で、ミスをしてしまったこの国の大エースは
リンクの氷に原因があったと・・・ 滑った後から説明した。
いつもなら、氷に問題があったことは、さらりと流して、
自らのミス(力不足)を認めて、まずは謝罪していた大エースだったが、
今回はいつもの彼と違っていたので、いったいどういった心境だったのだろうかと心配になった。
彼にどういった変化があったのか、とっても気になるところだが、
彼もまた感情をもった一人の人間であり、
ケースバイケースだと思えば・・・ そこんとこを興味本位で、詮索する必要はないのだろう。
しがない爺さんがどう思おうと、なに一つ影響があるわけではないが、
まずは、この国の男女のエースに「お疲れさま。」のひと言をかけてあげたい。
もちろん、結果も大事なことだと思うが、
この日、この時までの、彼や彼女の見えないところでの努力に・・・ アッパレを送りたい。
どうすれば良かったのでしようか?
欧米では一択かもしれませんが、この国では意見が分かれる難しい問題だと思います。
私はこういった国民性は嫌じゃないし、どう思うかは人それぞれなんで、
さまざまな考え方があっても良いと思っています。
この投稿に〝アッパレ〟を送ります👏👏
追伸)いつも興味深く拝見させていただいています。
拙い文章に、アッパレをいただき恐縮しています。
これからも、一方からの視点だけでなく、さまざまな角度から思いを巡らせてみようと思っています。
ありがとうございました。