多摩爺の「時のつれづれ(水無月の4)」
WHOが国際機関だという憂鬱
新型コロナウイルスに関する様々な対応について、WHOの事務局長宛に公開した書簡を送り、
その姿勢について正していたアメリカの大統領だったが、
その対応に進展がみられないことに業を煮やし、ついに・・・ 脱退することを表明した。
世界が新型コロナウイルスと戦うなか、様々な情報を共有しながらワクチン開発が急がれるなか、
いまは一致団結すべき時期であって・・・ 「なにをやってるんだ!」と批判する声は多い。
確かにそのとおりだと思うが、だからといって、
ここ数カ月にWHOが発信したメッセージを改めて確認すれば、
国際機関としての価値は下がり続けており、その職務(責任)を全うできるとも思えない。
2019年12月末 台湾はWHOに対し、
人から人へ感染するとメールにて通知していたにも拘わらず、
WHOがパンデミックを宣言する3月11日までに、WHOは世界に向けて何を発信していたのか?
やるべき対策は、早期に人の移動を禁止することなのに、
下記のとおり、彼らは事実を知ってから1カ月以上もの間、具体的な対策を取ることはなかった。
1月14日 人から人への感染リスクは少ない。(明らかに事実誤認である。)
〃 22日 緊急事態にはあたらない。(明らかに判断ミスであり、的確な判断ができていない。)
〃 28日 中国政府が迅速な措置を取ったことに敬意を表する。
(明らかに中国におもねっている。)
〃 29日 中国から外国人を退避させることは勧めない。
(意図をもって中国の隠蔽に加担している。)
〃 31日 渡航や貿易を不必要に妨げるべきではない。
(意図をもって世界に感染拡大を誘引している。)
WHOが新型コロナウイルスの感染拡大を招いた中国に阿(おもね)っているとの声がある。
だれが見てもそのとおりだと思うし、
WHOのメッセージを時系列に見れば、喋った事実を隠蔽することはできない。
問題にしなければならないのは、対策をしくじったことを認めず、
今なお、そのメッセージを正当化し、引き続き業務に当たろうとしていることじゃなかろうか?
アメリカ大統領の行動は、あまりにも過激すぎると思うし、他国のコメントは厳しいものが目立つが、
WHOが犯した失態は明らかで、表には出てないものの、
内々には同調する声もけっこうあるんじゃなかろうか。
事態が俯瞰できず、先々の具体的な展望を語れないまま、
信用を失ったWHOに、このまま実務を任せても、結果を後からなぞったメッセージを発するだけで、
世界の期待に応えるのは難しいだろう。
極論すれば、素人がマニュアルを頼りに針治療を行うようなもので、
博打を打ってるようなものである。
一方で気になるのは、WHOは国際機関という看板を掲げた、唯一無二でおそれ多い組織だが、
その実態は見解を述べるだけであって、そのメッセージとは裏腹に執行力はなく、
大きな舞台でスポットライトは浴びてるものの、
その実行力、推進力には限界があって虚しさすら感じてしまう。
その要因の一つとして、リーダー(事務局長)の選出(選挙)は、
加盟国に平等の投票権があるものの、コストの分担については国力によって調整があり、
政治的なパワーバランスは保てられてるように見えるが、
一方で今回のように、地力に勝る大国の顔色を窺わねばならない状況もあり、
中立が保てなくなると、恥ずかしげもなく指導力不足が露呈してしまう。
だったら、成熟した国からリーダー(事務局長)を選べばいいという意見もあるだろうが、
なにをもって成熟というのか、その線引きは極めて困難であり、
逆に差別を生むことにつながり兼ねない。
今回、WHOのリーダー(事務局長)が世界に向けて発したメッセージは大きい。
明らかにミスジャッジだが、それによって世界を大混乱に陥れた責任は賠償問題にも値するだろう。
もちろん、そのミスジャッジの大元が、事の事実を隠蔽した中国にあることは否定しないが、
だからと言って、WHOの責任が免れるものではない。
WHOのリーダー(事務局長)の誤ったメッセージで・・・ 人が亡くなっているのだ。
今なお、世界で多くの人が亡くなり続けているのだ。
WHOの費用は、各国からの分担金と各種団体からの寄付金で賄われているが、
寄付金は基本的に、貧困国などへのワクチンや健康・栄養サービスの提供で、
いわゆる紐付き財源である。
組織運営等の事務経費は分担金で賄われていて、
その最大出資国のアメリカが脱退するというのだから、
残された国々が、更なる分担金を背負わなければ、
この先・・・ 運営自体が行き詰まってしまうかもしれない。
医療政策を統括する、国際的な組織は絶対に必要であり、WHOの存在自体は認めるものの、
口は出しても、それが指示でなかったら、
唯一無二の組織として、その機能を失っていると言わざる得ない。
そこんとこを改革しなきゃ、バックグランドが弱くて、
特定の国と結びつきが強い国から事務局長が選出されると、また同じ過ちを繰り返してしまうだろう。
ついでと云っちゃなんだが・・・ もう一つ、調子に乗って言わせてもらうと、
国連の安全保障理事会で、拒否権を持つ常任理事国の選定についても、
早急の見直しが必要だと思っている。
いくら先の大戦の反省から作られた国際組織であっても、既に3/4世紀(75年)を過ぎており、
いつまでも、戦勝国だけで構成されていて良いという理屈はないんじゃなかろうか。
それが正しいというのなら、我が国やドイツが戦後75年費やした、
反省と貢献の歴史をあまりにも蔑ろにしている。
ましてや・・・ 他人(台湾)の褌(ふんどし)を拝借して、ちゃっかり常任理事国づらしている、
なんちゃって戦勝国(中国)が、その任あることは、本来おかしなことであり、
「金は出せ! 口は出すな! 言うことは聞け!」では、
泥棒よりたちが悪く、秩序が保てるわけがない。
世界は民主主義の国家だけではない、未だに強い武力を背景に侵略の機を窺う国家があり、
札束をちらつかせ、面倒を見るという甘い言葉を操り、
他国の利権までも差し押さえてしまう国家もある。
国際機関とは、本来どうあるべきなのか?
どのような権限を持たせ、その執行力をどこまで認め、
その決定事項をいかなる形で検証し・・・ 正していくのか。
そろそろ真面目に考えても・・・ 良いんじゃなかろうか?
戦後は既に75年、時代遅れが甚だしい国際機関の、あるべき姿を再整理することから始めないと、
いつまで経っても、この憂鬱から脱することはできない。
最近、我が国と深い関りがあったWHO、WTO、ユネスコ等々もまた・・・ 然りである。
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