多摩爺の「時のつれづれ(如月の14)」
火事は恐ろしい。
発生してから5日が経つというのに、栃木県足利市の山火事が・・・ なかなか鎮火しない。
同日に発生した、東京都青梅市の山火事は、約27時間で鎮火したものの、足利市の状況は厳しい。
さらに昨日には・・・ 群馬県桐生市でも新たな山火事が発生し、いまも延焼が続いているし、
列島の各地に乾燥注意報が出されており、住宅火災も各地で起こっており、
気が気じゃない状況になっている。
足利市では、山に近い地域の方々に、避難勧告が出されているようだ。
自然の前では人は無力であり、どうすることもできず、苛立つだけで・・・ 心が痛む。
3件の山火事の原因は、どうやら火の不始末のようだ。
青梅市と桐生市は、ゴミなどを焼いていた、たき火の不始末から飛び火したとの報道もあったし、
足利市では、ハイキングコース途中にある休憩所で、煙草の火から発生したのではとも云われている。
たき火の場合は、火元がしっかりしてるので、後々責任を問うことは可能だと思われるが、
煙草の火の場合は、当事者がその場を去ってから延焼した可能性もあり、
だれが・・・ と問われた場合、「ひょっとしたら」と自覚のあるハイカーが居るかもしれないが、
いまさら、「私の不始末で・・・ 」と、名乗り出ることもできないだろう。
いまのところ、民家へ影響は出てないのが救いと云えば救いだが、
仮に影響があったとしても、だれの不始末かが特定できない限り、通り魔にあったようなもので、
行政等から、なんらかの支援はあると思うが、基本的には泣き寝入りになるのではなかろうか?
昔から、怖いものは地震、雷、火事、オヤジと云われていたが・・・ まさに、そのとおり、
2件はオヤジたちの慢心から山火事になり、もう1件はオヤジかどうかは不明だが、
明らかに慢心からくる掟破りである。
休憩所は煙草厳禁との掲示があったというから、おそらく灰皿は用意されてないだろう。
ちょっと一服して、足で踏みつぶしたんだろうが・・・ 火は消えてなかったということになる。
「いつもやってる。」ことだから・・・ 慣れからくる慢心が、
とんでもないことをひき起こしてしまった。
山火事の場合は、麓からホースを引っ張ることが困難で、上空から水を投下すること以外できず、
消火作業は困難どころか・・・ 厄介の極みだろう。
厳しい言い方になるかもしれないが、
今回の3件の山火事は、人の心に巣食う慢心が引き起こした人災である。
私は以前、煙草を吸っていたので、ちょっと一服の気持ちは、分かってるつもりだが、
灰皿のないところで、煙草を吸う気にはならないので、
ハイカーたちの一服には腹が立って仕方がないし、
都内とは云え、多摩地区になると、
未だに畑の片隅でゴミを燃やす光景を目にすることもあり、苛立ちを隠せない。
余談になるが・・・ 20年前の1月5日、14時30分ごろだったと思う。
友人4人と休みを取って、千葉県の東部にゴルフに出かけた帰り道(長い直線で見通しが良かった。)
空き地でゴミを燃やしてた老人が、家に戻ろうとした矢先、
火がついた紙が風に吹かれて・・・ 枯草に着火してしまった。
たまたま通りがかっただけだが、目の前でそれを見ると、見過ごすことはできず、
道路わきに車を止めると、4人が分かれて隣家に飛び込み、
火事を知らせるとともに、バケツリレーで水を掛けたり、足で火の粉を踏みつぶしたりして、
消火活動をしたことがあった。
それでも、火の勢いは凄まじく、空き地の枯草の大半は焼け、
燃え盛る火の手が、民家に近づく少し手前で消防団が駆け付けてくれ、
なんとか民家への延焼は免れたが、
約20~30分ぐらいだったと思うが、ホントに・・・ 死に物狂いの消火活動をしていた。
ところが・・・ 鎮火した後で、消防団から事情聴取を受ける最中、とんでもないことが起こる。
ゴミを燃やしていた老人は、我々の車から煙草がポイ捨てされたと話していたのだ。
枯草が延焼している最中、老人は自分がゴミを焼いてたところに、土をかけていたのを見てたので、
消防団に説明することができたが・・・ 見てなかったら、疑いを持たれていたかもしれない。
おそらく消防団は、的を射ない発言を繰り返す、老人の裏を取るため、
私たちに聞いて来たのだと思うが、
消火活動をせずに、そのまま通過していたら、危うく放火犯にされてしまうところだったと思うと、
背筋が凍りつくぐらい、恐ろしくなってしまった。
また、消防団の聞き取りの最中、なんとなく酒の匂いがしたので、
「だれか・・・ 酒飲んでる?」と声をかけると、
慌てて聞き取りが終わったので、不思議に思っていたが、
どうやら、近くで仕事始めの一杯をやっていたようだ。
(これは推測だが・・・ そんな雰囲気ありありだった。)
4名ともに、名前も住所も教えたので、
あとから感謝の言葉とか、表彰でもあるのかなと思っていたが、
なんにもなかったということは・・・ おそらく、そう云うことだったと思う。
表彰してもらいたかったわけじゃないので、どうでも良いことだが、
消防署員は、さすがに昼間から酒を飲まないだろうが、
近所のオッサンたちがやってる消防団なら、いろんなことがあっても不思議ではない。
表彰されなかったけど、帰りの車の中に充満する、スニーカーの靴底から漂ってくる、
ゴムの焦げた匂いが、後々の思い出であり、
いまになっても当時のメンバーのなかで語り継がれる笑い話でもある。
足利市の山火事をテレビで見ていて・・・ ふと20年前のことを思い出していた。
気を揉むだけで、祈ることぐらいしかできず、
なんの役にもたたないが、お見舞い申し上げるとともに、一刻も早い鎮火を願ってやまない。
そして、いまなお・・・ 北日本に降り続く雪や、西日本で降ってる雨を、テレビで見ていると、
日本列島が縦横に広すぎて、虚しさとともに、悔しさが込み上げてくる。
足利市消防署と、災害派遣された自衛隊の奮闘に・・・ 心より期待している。
頑張れ!
あの時、あの場所で、煙草を吸ってた人は、
誰にも言えない、大きな傷を心に持ってしまいましたね。