時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

GoToトラベルキャンペーン

2020年07月15日 | 時のつれづれ・文月 

多摩爺の「時のつれづれ(文月の9)」
GoToトラベルキャンペーン(さて、どうする?)

コロナ禍で冷え込んだ、地方の観光業界からの声に応えて、
企画された・・・ 「GoToトラベルキャンペーン」だったが、
いま地方から「ちょっと、待った。」の声が上がってきた。

7月に入ってから、東京都の新型コロナウイルスの感染者数が、
50人、100人、200人と倍々で増えている。
主たる感染源は、日本一の歓楽街・新宿歌舞伎町のホストクラブやキャバクラから始まったが、
その後、会食という表現になっているが、
職場や友人との飲み会で感染し、それが家庭内感染に広がった事例が増え始めると、
いい加減な運営で30名を超える感染者をだしたうえに、
800名超の濃厚接触者を出した観劇が止めを刺してしまった。

東京都の夜の街から始まった感染拡大は、
ひと呼吸おいて神奈川県、埼玉県、千葉県へと広がりを見せ、
はからずも・・・ 東京由来という現象を、如実に証明することになったところに持って来て、
そのタイミングで、来週の4連休を睨み「GoToトラベルキャンペーン」が発表されたもんだから、
ネットを含めて、地方のトップが大騒ぎを始めた。

こんな状態で、東京都から観光客を受け入れたら、
感染対策(病床数)が厳しい地方は大変なことになる。

せっかく、いままで我慢して来たのが水の泡となり、
天災(コロナウイルス)が人災(政策ミス)になりかねない。
地方のトップからは・・・ 蜂の巣を突いたかのような、辛辣な言葉が飛び交い
ここんとこ毎日のように「実施時期を遅らせろ!」との大合唱が続いている。

個人的には・・・ 尤もであり、
落ち着きを見せるまで、しばらく遅らせることも有りだと思ってるものの。
この議論に中で、一つだけとても大事なことが漏れてるので、それだけは記しておきたい。

それは、東京から地方の観光地に向けて、旅行に出かける人が多いのは間違いないが、
一方で、東京に遊びに来る人も、それなりに多いということが・・・ 議論から抜け落ちている。
東京ディズニーランドなどのレジャー施設、歌舞伎などの観劇、
大相撲やプロ野球などのスポーツ観戦などを含め、せっかく地方から東京に出てきたんだから、
夜の街や、会食に出かけることだって・・・ あるだろう。

人の出入りだけにフォーカスすれば、
東京から出る人の方が、圧倒的に多いのだろうが、問題は別のところにあって、
東京から地方の観光地に行く人は、1泊2日か、2泊3日で帰京するので、
云わば・・・ 瞬間風速だが
地方から東京に遊びに来た人々は、1泊2日か、2泊3日で東京を楽しみ、
その後は地元で生活を続けることになる。

つまり、東京から観光地に人が集まると、特定地域で感染が拡大し、
ハードパンチとなってクラスターを生みかねないが、
東京で遊んで帰った人が感染していると、職場や家庭で静かに感染が広がり、
ボディブローのようにじわりと感染が拡大し、
小さなクラスターが、観光地を問わず、地方の各地で・・・ 突然、顕在化してくるだろう。

いったい、どちらが危険をともなうのか、それを証明する手段は、残念ながら持ち合わせていないが、
仮に後者の影響が大きかった場合、誰かを悪者にしなきゃならないわけじゃないが、
そういった事情を踏まえたうえで上京していることから、東京由来にすることが厳しくなってしまう。

だから・・・ どうのこうのと、いうわけでもないが、
地方は東京からの観光客が及ぼす可能性が高いとされる、大火を気にしすぎるがあまりに、
地方各地の足元で燻(くすぶ)る可能性を秘めた、
小火(ぼや)のことが論点から抜け落ちてしまっている。

政府が打ち上げた「GoToトラベルキャンペーン」を批判するのは・・・ 分かり易いが
地方を預かるトップなら、地方から東京に向かう人たちをどう制御し、どうやってなだめるのか、
それを併せて述べないと・・・ この4連休で上京を計画している方々を、思いとどまらせることができず、
結果として、片手落ちの誹りを受ける可能性も否定できない。

東京都から地方へ向かおうとする旅行客だけがターゲットにされ、悪者扱いされているが、
実態はその逆(地方から東京都へ向かう旅行客)もあるのに・・・ そこに触れる地方のトップはいない。
事故は、100%どちらかが悪い、貰い事故だけじゃなく、
結果として、折半や6対4で落ち着くということも、忘れてはならない。

極論だが、東京からの観光客を「No」とする県や観光地があるなら、それはそれで良いと思うし、
それを行政等のホームページで表明すれば良いし、予約を断ることがあっても良いんじゃないかと思う。
悪意を持って言うんじゃないが、「嫌だ。」と云ってる観光地に、いま無理していくのは、かえって迷惑になると捉えて、
数か月先でも良いし、来年でも良いので・・・ 「WELCOME」になってから行くようにすれば良い。

また、東京からの観光客を「WELCOME」で受け入れてくれる県や観光地があるなら、
それもまた、行政等のホームページで表明してもらえれば・・・ ありがたい。

事の発端が、死に至る可能性がある感染症だけに・・・ 「withコロナ」の時代とは云うものの、
国民感覚は慎重過ぎるほど慎重で、東京に住む人々と、地方に暮らす人々との感覚には、感情的なズレが生じており、
その差を埋めるには、もう少し時間がかかるのかもしれない。

また、地方で観光業を生業にしている方々のコメントが、時折り放送されているが、
一様に、奥歯に何かが挟まったような物言いとなっており、
地方のトップが発するコメントと、微妙にズレが生じていることにも注目せねばならない。

観光業を生業とする現場は、それぐらい切羽詰まっているんだと捉えれば、一律で遅らす必要はなく、
改めて「No」と「WELCOME」を明確にしてあげた方が分かり易い。

クラスターを出した、どこかの劇場や夜の街のように、やったものだけが潤うと云うのだけは、避けなきゃならないが、
こと「GoToトラベルキャンペーン」に至っては、4連休や夏休みという、人が動きやすいタイミングもあり、
できるところから始めるというのも・・・ 有りなんじゃなかろうか?

地方のトップが云う、段階的なスタートってのは、まさにそういうことなんだと思う。
よって、国に対して「スタートを遅らせろ。」なんて、野暮なことを言わず、
「うちの県は、いま来てもらっちゃ困るけど、来月ならなんとかなるかもしれないからホームページ見てよ。」ぐらいで、
サラリと流したら、配慮と心意気の両方が伝わると思うが・・・ どうだろうか?

また・・・ つい此間まで、観光業界に寄り添っていた、この国のマスコミが、
いま、ネットや地方のトップの声に悪乗りし、「GoToトラベルキャンペーン」を潰しにかかっている。
なぜ、地方の観光業界の本音を聞き出そうとしないのか?
なぜ、落としどころを模索しようとしないのか?

こういった問題は、賛否があって然りだと思うが、
喋り辛い一方(旅行業界)の声を、蔑ろにしてるような気がしてならない。

このタイミングでの「GoToトラベルキャンペーン」に、注文をつけることは正論だと思うし、
個人的には延期で構わないと思っている。
いまのタイミングなら、間違いなくその選択が正解なのだろう。
だが・・・ 梯子を外された観光業界が、追いつめられてしまうことも見逃してはならない。

また、「GoToトラベルキャンペーン」の予算を地方に分配しろといった、いかにも正論のような意見が有る。
しかし、地方に分配して様々な対策が取れたとしても、旅行客が地方に行かなければ、地方にお金は落ちることがなく、
旅行客が少なくなれば、分配されたお金以上の波及効果、相乗効果は起こらず、
地方にある様々な旅行業界に落ちるお金は限定されてしまう。

だから、旅行業者が間に立ってツアーを組んで旅行客を募集し、旅行業界のみならず様々な業界に向けて
「GoToトラベルキャンペーン」の予算以上のお金が落ちるように工夫するのであって、
こういった仕組みは、素人が思うほど単純なものではなく、思いつきでなんでも言えば良いというものではない。

さらに・・・ 政府がどうしたもやりたいから、ゴリ押ししてるという人も多い。
しかし、地方の観光業界から「死活問題だからやってくれ。」という、声が多いことも忘れてはならない。

観光業界の主なかき入れ時は・・・ ゴールデンウィーク、夏休み、正月休みの3シーズンであり、
すでにゴールデンウィークは自粛で無くなっている。
そのうえで夏休みが無くなり、半年先の正月休みまで待てというのは、あまりにも酷であり、
なんとかしたいという政府の思いをこき下ろして、全てのスケジュールを遅らせろというのもまた暴論ではなかろうか?

この国は、どこかの国みたいに社会主義じゃないんだから、言いたいことを言うのは良い。
しかし・・・ なんでもかんでも、お上の指示がないと行動できないっていうのは勘弁願いたいし、あまりにも知恵がない。
国も地方も、できることに対し、最大限の知恵を絞るべきじゃなかろうか?

「GoToトラベルキャンペーン」とはいうものの・・・ それは、能動的な視点から捉えたキャッチコピーであって、
対極の受動的な視点から捉えれば「WELCOMEトラベルキャンペーン」でもある。
そもそも・・・ 両方のサイドから参加を希望する、利用者の思惑が一致していることが大前提のはずだが、
歓迎する側が迷惑だと云うのなら・・・ 残念ながら、このキャンペーンは成り立たない。

地方のトップは声高に「No」と叫ぶが、果たして、地方の観光業界の声を反映してのものなんだろうか。
そこんとこに、答えがあるような気がするが・・・ どうだろう?

大変に残念なことだが・・・ いま、多くの地方のトップからみた東京都民は、
近づいてほしくないぐらい、嫌われているということを、改めて認識すべきなんだと思う。
無茶苦茶な偏見だが、諸悪の根源とまで言われるぐらいだから・・・ そうなんだろう。(ホントに辛いね。)

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