多摩爺の「時のつれづれ(葉月の8)」
大門圭介(渡哲也さん)逝く。
ドンピシャの役柄なんだけど、
思わず「そんな奴、いないだろう。」と声がでるぐらいカッコ良かった。
当時、静かにブームになっていた、
人気漫画「ゴルゴ13」の主人公・デューク東郷とイメージが重なる
角刈り、もみ上げ、サングラス、そして・・・ ショットガン
それが、西部署捜査課の部長刑事・大門圭介(渡哲也さん)だった。
それは、昭和が50年代に入ってから、間もなくのことだった。
日曜日の夜8時というゴールデンタイムに、
NHK大河ドラマの裏番組として「西部警察」という刑事ドラマが始まった。
凶悪犯が潜む東京・城西地区を舞台に、
渡哲也さん主演の大門圭介を中心にした、型破りな刑事たちが、
西部劇さながらのカーチェイスや爆破シーンを、特撮抜きでやってのけ、
その迫力に圧倒されたことを思い出す。
あれから、かれこれ半世紀近くが経とうとしてるのに、
阪神淡路大震災や、東日本大震災の被災地に赴き、
被災者を励まし、エプロン姿で炊き出しをする渡さんを見ても、
大門刑事とダブってしまうんだから、当時の思い出は相当に強いイメージで焼き付けられていた。
その渡哲也さんが、今月10日の夕刻、肺炎で入院されていた病院で逝かれた。
新型コロナウイルスではないそうだ。
享年78歳、14日に営まれた家族葬に参列したのは、家族のほか、石原プロの幹部数人だけで、
渡さんを慕っていた俳優の姿はなかったというか、
訃報すら知らせなかったというから・・・ 渡さんらしい。
発表によると「静かに送ってほしい。」という故人の強い希望だったとし、
故人の遺志により、お別れ会や偲ぶ会は行われないとあった。
最後の最後まで・・・ 気配りと謙虚さを貫かれた、渡さんらしい最期だったと思う。
石原裕次郎さんが亡くなった後、遺言に従って「石原プロ」は解散することが既定路線だったらしい。
しかし、社員を路頭に迷わせてはいけないとの思いから・・・ 社長を引き受けて約30年
先月、やっと解散するとの発表がされたばかりだったことを振り返れば、
ひと区切りというか、裕次郎さんの遺言に、ケジメをつけてからの旅立ちだったのかもしれない。
78年という人生に、未練を残しつつも、
自らがやらなければならないことを、全てキッチリとやり切り、
男気を貫いた悔いのない人生だったと推察する。
視線は前を向いていても、上を向くことは少なく、伏し目がちに話される姿の方が多かった。
控えめな視線と、穏やかな口調から察するに、
相手が誰であろうと、常に自分を下座に置いて、
真摯に向き合うことができる人だったんじゃなかろうか。
役柄が作り出す、強すぎるぐらいに強いイメージとは裏腹に、
人として・・・ 学ぶべきところが多い、俳優さんだったと思う。
甘い薫りを漂わせながら、夏の盛りに白い花を咲かす「クチナシ(梔子)」の花をみかけたら、
名曲とともに、渡哲也さんという、俳優が居たことを思いだす人も多いだろう。
大変に残念だが・・・ ご冥福をお祈りしたい。
追伸
ウキペディアに「西部警察」のデータがあったので、ちょっとピックアップしておきたい。
いまの時代だったら・・・ 恐らく撮影許可がでることは難しく、CGなしでは作れないだろう。
・封鎖した道路 40,500箇所
・飛ばしたヘリコプター 600機
・壊した車両の台数 約4,680台(1話平均・20台)
・壊した家屋や建物 320軒
・使用された火薬の量 4.8t
・使用されたガソリンの量 12,000リットル
・死者 0人
・負傷者 6人
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