多摩爺の「四季おりおり(その31)」
ヘレボルス(寒芍薬)
もう20年ぐらい経つのだろうか?
3年前に若くして亡くなった従弟(父の妹の長男)が、
ちょうどこの時季に・・・ 家族で我が家に遊びに来てくれたとき、
マンション中庭の隅っこで咲く花を指さして、「ヘレボルスが咲いてるね。」と言っていた。
私が住むマンションには、毎年この頃になると咲き始め、桜が咲く頃までの長い間、
陽差しが届きづらい中庭の隅っこで、
きっと目立ちたくないのだろう、うつむき気味に純白の花弁を開く花がある。
私はずっと、クリスマスローズだと思い込んでいたが、
植物に詳しかった従弟が、クリマスローズ属だけど「ヘレボルス」という名の花で、
和名は「寒芍薬(かんしゃくやく)」だと教えてくれた。
さらに従弟は、花だと思ってるところは、実は花ではなく萼片(がくへん)で、
これが丈夫なことから、開いてから枯れるまでの期間が長く、
観賞用に向いているとも言っていた。
早朝の7時過ぎだった。
「今日はお迎えと公文をお願いします。」と、息子からのラインが女房に入った。
予定は前もって聞いてはいるし、うっかり忘れてしまうような年齢でもないが、
お互い任せにしないことは・・・ 良いことだと思う。
息子は毎朝、自宅から孫二人を自転車に乗せ、保育園に預けてから、
私が契約しているマンション内の駐輪場に自転車を止めて出勤しているが、
公文がある日のお迎えは、自転車の籠に公文のバッグを置くことが約束事になっている。
「悪いけど、バッグを取りに行ってくれない。」と、女房に言われて駐輪場に向かう途中、
なに気に目に留まったのが・・・ 今シーズン始めてみつけた「ヘレボルス」だった。
従弟が亡くなってからは、毎年この季節に咲く「ヘレボルス」を目にすると、
彼が丁寧に教えてくれた、あの日のことを思い出す。
あのとき、従弟と一緒に来てくれた、恥ずかしがり屋の少女は、
体が弱かった父の面倒をみたいので、大きくなったら医者になると猛勉強に励み、
従弟が亡くなった年に都内の医大に入ると・・・ 早いもので、今春には4年生になるらしい。
つい先日、年賀で叔母宅に行ったとき、
実習が続いて疲れているのに、帰りに時々寄ってくれるから、
「可愛くて、可愛くて堪んないのよ。」・・・ と、嬉しそうに話しくれた。
そういえば・・・ 彼女(姪)の名前には「花」の一文字が入っている。
植物が大好きだった、従弟の期待に応えて、
患者さんに寄り添い、辛さが分かち合える、優しい女医さんになってくれるだろう。
毎年、正月が明けたこの季節に、陽差しの届かない中庭の隅っこで、
うつむき気味に咲いてるこの花をみると、
20年ぐらい前の・・・ 若かりし頃の、従弟の面影が浮かんでくる。
世の中一般的には、クリスマスローズなんだろうが、
自慢するほどではないものの、
この花に「ヘレボルス」という名があることを・・・ 私は知っている。
他の箇所にも植えてあるんだけど・・・ 今のところ咲いてるのは1箇所だけ、
たぶん、来週あたりには中庭のあちこちで咲いてるかも・・・ ?
初めて知る花の名前でした。とても綺麗なお花ですね。寒芍薬とは素敵な和名です。
姪御さん、きっと優しく立派なお医者様になられる事でしょうね。これから、似た花を見つけたら、しっかり見てみます。良いお話を有り難うございました。
つい先日、叔母宅に伺ったときに、その話をしたところでした。
「今年はまだ咲いてないんです。」と、話したばかりなので、
見つけたときは「あっ!」てな感じで嬉しくなり、ブログネタにしてみました。
私には「ヘレボルス」という名よりも、「寒芍薬」のほうが馴染みがあっていいと思えます。
へレボルスと言うと手のひらに包んだ花が、飛び立っていってしまうような感じがするのです。
寒い庭の片隅で、そっと手のひらで包んであげたくなるような優しい名前の「寒芍薬」です。
簡潔な文章の中に、在りし日の従弟の思い出を語り、「花」の一文字を名前に持つその娘さんが志を遂げ女医さんになったくだり、感動をもって読ませていただき、同時に14歳で早世した初めての私の孫のことを思い出しました。
『この花に「ヘレボルス」という名があることを・・・ 私は知っている。』素晴らしい文章の結び方ですね。
実はですね。今回の「ヘレボルス(寒芍薬)」という表題のブログは、
一番最初に「この花にヘレボルスという名があることを・・・ 私は知っている。」という一行を記してから書き始めていて、
その後、どういった書き出しにしようかと、ちょっと悩んだ末に
「もう20年ぐらい経つのだろうか?」という一行に辿りつきました。
自画自賛みたいで恐縮ですが、珍しく起承転結が上手くつながったと思うし、そこに気づいてもらえて大変嬉しく思います。
ありがとうございました。
とてもいいお話しでした。
胸が温かくなるような。
従弟さんのお嬢さんすごい!
ちゃんと将来の事を考えて、着々と実現させていらっしゃる。
えらいな〜と思いました。
ヘレボルス、きれいですね。
思い出のお花。
いつまでも元気にその場所でお花を見せてほしいですね。
姪は中部地方の国立大医学部に合格してましたが、体の弱い父を気遣い都内の私学医学部へ進み、
休みの日には塾講師をしながら、奨学金をもらって医師を目指しています。
世間一般的には苦学生ということなんでしょうが、泣き言を言わない、とっても可愛い女子大生です。
あいつ(従弟)が生きていたらと・・・ 悔やまれてなりませんが、きっと頑張ってくれると思います。
ここ最近、年の初めにヘレボルスを見ると、つい従弟と姪のことを思いだしてしまいます。
素敵なお話をありがとうございます。
心が洗われる気がいたしました。
ありがとうございます。
本当に素敵な姪御さんですね( ^_^)
寒い日が続きますが、多摩爺 さんも奥様も、体調にお気をつけながら、元気でお過ごしくださいね(*^^*)
従弟は私より10歳年下なので、健在ならば今年は還暦でした。
無念ではあるものの、いまは姪の成長が眩しくて嬉しくて、良い子を残してくれたと、叔母はもう気持ちを切り替えていました。
週明けには雪になるとの予報が出てますから、気をつけなきゃと思いますが、すでに今朝から寒くて寒くて大変です。
ヘレボルスについてはかなり記事を書きましたが、近いうちにまた書こうと思います、季節ですから。そのときには、どうかお越しくださいませ。
草花を育てるのは大好きですが、マンション住まいだと、鉢植えの域をでませんので羨ましい限りです。
ちょくちょくブログを訪問させてもらってましたが、広いお庭で羨ましいなと思ってました。
また、訪問させていただきます。
海外からコメントを頂戴し、ありがとうございました。