◯ 失敗しないUSB充電器の選び方と注意点、用途に応じて形から入るのが得策。
本パートではUSB充電器の選び方をより具体的に解説していこう。選ぶ際は用途に応じて形から入るのが得策(図1)。持ち歩くならAC電源コンセントに直接挿せる小型の製品がよい。机の上などで複数の機器をまとめて充電したい場合は、コンセントから離れた場所に設置できる電源ケーブル付きが重宝する。また、USB端子に加えてAC電源コンセントが付いた据え置き型なら、机上に電源タップを置く必要もなくなる(図2)。机の上をすっきりさせたい人はこのタイプに注目だ。
図1、コンセントじか挿しタイプはコンパクトで携帯性が良い点がメリット。電源ケーブル付きはAC電源コンセントから離れた場所で使える点がメリットだ。用途に応じて選択しよう。電源ケーブル付きにはケーブルが取り外せる製品とそうでない製品がある。
図2、出力用のAC電源コンセントを装備するUSB充電器もある(左)。このタイプを使用すればUSB機器だけなく、外付けHDDやディスプレイなどにも電力を供給可能(右)。机の上に複数の充電器やAC電源タップを置く必要がなくなる。
「最大」は「全部で」という意味 各端子の出力は変動する。
これからUSB充電器を購入する場合は、タイプAよりもタイプCの端子を多く搭載する製品を選んだほうがよい(図3)。デジタル機器の充電端子をタイプCにすることを義務付けたEUの法律の影響もあり、今後はデジタル機器の充電端子がタイプCに統一される見込みだ。前述の通り、タイプCは大出力のうえ各種の端子に変換できる。
図3、Type-Cはほかの端子に変換可能なので、Type-AよりもType-Cが多い製品を選ぼう(左)。EU(欧州連合)の法律の影響などもあり、デジタル機器の充電端子は今後、Type-Cに統一される見込みだ。EUでは2024年末までに下記の機器の充電端子としてType-Cの搭載を義務付けている。
複数の端子を持つUSB充電器の場合、端子それぞれの最大出力(電力)も確認しておきたい。例えば、3つの端子を持つ最大100Wの充電器の場合、複数端子の出力の合計が最大100Wという意味で、各端子の最大出力は使用する端子の数で変動する。タイプC端子2つとタイプA端子1つを備える図3の製品が典型例だ(図4)。タイプC端子を1つだけ使うだけなら最大100Wを出力できるが、2つ同時に使う場合は60Wと40Wになる。
図4、複数のUSB端子を持つ充電器は、使用する端子の数によって各端子の最大出力が変わる。例えば図3の100Wの製品は、100Wを各端子に振り分けて出力する。充電器を購入する際は、メーカーのホームページなどで詳細を確認したい(図はエレコムの製品紹介ページより)。
このように複数の端子を持つUSB充電器は、接続する機器の数で各端子の最大出力が変わる。購入時には自分が想定している機器すべての充電が可能かどうか、メーカーのウェブサイトなどで詳細情報を確認しよう。
それと並行して、手元にある充電対象機器それぞれが必要とする電力も把握しておく(図5)。充電器の出力が足りないと充電できなかったり充電が遅くなったりするからだ。
図5、充電器は、充電したい機器が必要とする電力と同等かそれ以上の出力に対応した製品を選ぶのが基本。充電したい機器の電力を事前に調べておこう。パソコンなど充電器が付属する機器なら、付属充電器の出力を確認すればよい。
何をどの端子で充電するか 事前に決めて無駄遣いしない。
充電器が付属しないスマホなどはマニュアルや仕様表で確認する。パソコンなど充電器が付属する機器なら、付属充電器の出力を確認すればよい(図6)。付属充電器と同等以上を出力できるUSB充電器なら充電できる。
図6、PD充電に対応したノートパソコンに付属する充電器(AC電源アダプター)の裏面の例。この機種は20.0V×3.25Aで65.0Wが最大出力だ。従って、65W以上を出力できる充電器を購入すればよい。電圧(V)と電流(A)しか記載されていない場合は、両者を掛けて電力(W)を計算する。写真のパソコン付属充電器のような英語(中国語)表記でも「V」「A」「W」を見ればよい。
複数の機器を同時に充電したい場合は前述の通り、合計電力だけでなく各端子の出力も考慮する必要がある(図7)。どの端子で何を充電するか、買う前にきちんと検討しよう。実際の運用でも、小電力の機器を大電力の端子に挿すといった“無駄遣い”は避ける。
図7、複数の機器を充電したい場合は、それぞれの機器が要する電力を合計した値以上の充電器が必要となる。さらに図4の通り、接続する機器の数で各端子の最大出力が変わる点も考慮する必要がある。
パソコンを充電するにはUSB PD対応が不可欠だ(図8)。前述の通り、60Wを超える充電ではeMarkerを搭載した5A対応タイプCケーブル、100W超ならEPR認証を取得したタイプCケーブルが必要(図9)。充電できなかったり充電に時間がかかったりした場合はケーブルを疑おう。
図8、前述したようにパソコンの充電にはPD対応が不可欠。機種によってはUSB PDのパワールール(対応電圧と対応電流)に完全準拠していないと充電できないものもある。充電器を購入する際は最大電力だけで判断せず、USB PD対応と明記されているものを選択しよう。
図9、重要なので繰り返すが、60W超のパソコンを充電する場合はeMarkerチップを内蔵した5A対応ケーブルが必要(左)。100W超の充電にはUSB PD EPRの認証を取得したケーブルが必要だ(右)。