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速度はもちろん利用環境や接続の安定性も重要、無線LANルーターの選び方。

〇 無線LANルーターはここ数年で大きく進化している。最新機能などをよく理解して、自分の用途に合ったものを選ぼう。

1つのインターネット回線を、パソコンやスマホ、タブレットなど、複数の機器で使用する場合、通常、有線または無線LAN対応のルーターが必要になる。インターネットに接続するためのモデムやONU(光回線終端装置)は基本的に1台の機器しか接続できないからだ。

インターネットに接続するためにはグローバルIPアドレスが必要だが、インターネットサービスプロバイダーは1回線契約につき1つのグローバルIPアドレスしか提供しない。そのため、1つのインターネット回線を複数の機器で使用するには、ローカルネットワーク内(家庭や会社内など)だけのIPアドレスを発行し、グローバルIPアドレスと変換する役割を担うルーターが不可欠だ。そしてスマホやタブレットを接続するには無線で接続できる無線LAN(Wi-Fi)ルーターが便利だ。なお、ルーター機能付きのモデムやONUもある。その場合は別途ルーターを用意する必要はない。

無線LANの選択ポイント。

無線LANルーターを選択するポイントは図1の通りだ。速度以外にも、使用する部屋の広さや利用する人数、接続の安定性を高める機能の有無などが重要だ。

製品選択のポイント
Θ 製品選択のポイント。
図1、無線LAN(Wi-Fi)ルーターを選ぶ際は、通信速度だけでなく、対応する部屋の間取りや使用人数などが自分の使用環境に適合しているかどうかも重要。接続の安定性を高める機能などにも注目したい。

現行の無線LAN規格と規格上の最大速度を図2にまとめた。現在の主流は最大通信速度が9.6GbpsのWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)だ。Wi-Fi 5までの対応となる低価格製品もまだ販売されているが、現行のパソコンやスマホはほぼWi-Fi 6に対応している。対応パソコンを所有していない場合でも、長く使うことを考えてWi-Fi 6対応製品を選ぶのが賢明だ。

図2 現在は最大通信速度9.6GbpsのWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)が主流。Wi-Fi 6の拡張規格で6GHz帯が使用できるWi-Fi 6Eに対応する製品も登場している。なお、使用する周波数帯域により電波干渉や障害物による影響が異なる。その点も覚えておきたい
図2、現在は最大通信速度9.6GbpsのWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)が主流。Wi-Fi 6の拡張規格で6GHz帯が使用できるWi-Fi 6Eに対応する製品も登場している。なお、使用する周波数帯域により電波干渉や障害物による影響が異なる。その点も覚えておきたい。

最近話題となっているWi-Fi 6EはWi-Fi 6の拡張規格だ。最大通信速度はWi-Fi 6と変わらないが、2.4GHz帯と5GHz帯に加え、6GHz帯(日本では5945MHz~6425MHzの480MHz幅)を利用できる点が特徴だ(図3)。

Wi-Fi 6Eのメリットとは?
Θ Wi-Fi 6Eのメリットとは?
図3、Wi-Fi 6Eのメリットは、従来の5GHz帯と2.4GHz帯に加え6GHz帯を使えることだ。以下、6GHz帯が使えるメリットについて解説していこう。

6GHz帯は、2.4GHz帯と5GHz帯よりチャンネルの選択肢が多い点がメリット(図4)。2.4GHz帯と5GHz帯はチャンネルの選択肢が少ないため、周囲の電波の干渉によりWi-Fi通信が途切れるなどの不具合が生じやすかった。6GHz帯を使用した場合は、その心配が少なくなる。また、6GHz帯はWi-Fi 6E対応機器しか使用しないため、利用機器がまだ少ない現状では、さらに快適な通信が行えるという利点もある(図5)。

6GHz帯はチャンネルの選択肢が多い
Θ 6GHz帯はチャンネルの選択肢が多い。
図4、6GHz帯は5945MHzから6425MHzの帯域が利用可能。上図の通り、5GHz帯と比較すると選択可能なチャンネル数が多いため、6GHz帯を使う機種が今後増えても混雑しにくく、快適なWi-Fi通信が可能となる。
 
6GHz帯は現状、混雑や干渉が少ない
Θ 6GHz帯は現状、混雑や干渉が少ない。
図5、6GHz帯を使用できるのはWi-Fi 6E対応機器のみ。5GHzや2.4GHz帯のように従来機器との電波の奪い合いが起きにくく、スムーズに通信できる。

なお、無線LANルーターは、5GHz帯を利用する気象レーダーや航空レーダー波を検知した場合、使用しているチャンネルを移動するとともに、移動先にもレーダー波がないことを確認するためWi-Fi通信を60秒間停止するDFS(Dynamic Frequency Selection、動的周波数選択)機能がある(図6)。6GHz帯を使用した場合は、このDFSが発生しないというメリットもある。

6GHz帯はDFSの待機時間が発生しない
Θ 6GHz帯はDFSの待機時間が発生しない。
図6、5GHz帯は、気象レーダーや航空レーダーも利用している。Wi-Fiルーターはこれを検知した場合、使用しているチャンネルを移動する必要がある。

Wi-Fi 6E対応製品は、既にバッファローやエレコム、NECなどの国内メーカーからも発売されている(図7)。ただし、まだ製品数は少なく、Wi-Fi 6対応製品と比較すると高価。また、現状、パソコンやスマホなどで対応している製品は少ない。そのため、今、無線LANルーターを購入する場合、Wi-Fi 6E対応が必須ではない。

Wi-Fi 6E対応製品が続々登場
Θ Wi-Fi 6E対応製品が続々登場。
図7、Wi-Fi 6E対応ルーターは、まだ数が少ないものの、バッファローやエレコム、NECプラットフォームズなどから発売されている。

製品により速度が違う理由とは。

無線LANルーターの実際の通信速度はアンテナ数などで変わる。例えば、同じWi-Fi 6対応製品でも、アンテナの搭載数やMIMO(Multiple Input Multiple Output)対応の有無、チャンネルボンディング方式の違いで異なる(図8)。そのため、最大通信速度は製品ごとに確認する必要がある。

通信速度はアンテナ数などで変わる
 
Θ 通信速度はアンテナ数などで変わる。
図8、同じWi-Fi 6対応製品でもアンテナの数とチャンネルボンディング方式の違いで製品の最大通信速度は異なる。その点は覚えておきたい。

MIMOは、複数のアンテナを用いて通信を高速化する技術(図9)。無線LANルーターとパソコンなどの接続デバイスが複数のアンテナを搭載していれば、アンテナごとに異なるデータを送信して速度を高めることができる。

通信を高速化するMIMO
Θ 通信を高速化するMIMO。
図9、MIMOは複数アンテナで通信を高速化する技術。複数のアンテナを搭載していれば、アンテナごとに異なるデータを送信して速度を高められる。

チャンネルボンディングは、複数のチャンネル(20MHz)を束ねることで通信を高速化する技術だ(図10)。「HT80」は4つのチャンネルを束ねた80MHz帯域通信に、「HT160」は8つのチャンネルを束ねた160MHz帯域通信に対応していることを示している。製品のスペックでは「帯域:80MHz」などと表記されることもある。図8の通り、Wi-Fi 6の最大通信速度9.6Gbpsを実現するには、MIMO対応で8本のアンテナを装備し、HT160方式に対応している必要がある。

チャンネルボンディングとは
Θ チャンネルボンディングとは。
図10、「チャンネルボンディング」は複数のチャンネル(20MHz)を束ねることで通信を高速化する技術。

使用環境に適しているか。

無線LANルーターは、通信距離や接続可能台数が製品によって異なる。そのため、自分の使用環境に適合したものを選ぶ必要がある。確認すべきポイントは居住環境と同時接続台数だ(図11)。これらは製品カタログやメーカーのWebサイトで確認できる。

自分の使用環境に適合しているかが重要
Θ 自分の使用環境に適合しているかが重要。
図11、無線LANルーターは製品によって電波が届く距離や同時に接続できる機器の台数が異なる。快適な無線LAN環境を実現するには、居住環境や接続する機器の台数などに合った製品を選ぶ必要がある。

無線LANルーターが安定してデータ通信を行える距離は、アンテナの本数により異なる。一般に、アンテナの本数が多いものほど遠くまで安定して電波が届く。また、外付けと内蔵とで電波の強度自体は変わらないが、外部アンテナの場合は個々の向きを変えることで指向性を調整しやすいとされている(図12)。

通信距離はアンテナの数や向きで違う
Θ 通信距離はアンテナの数や向きで違う。
図12、アンテナの本数が同じであっても、外付けのものはアンテナの向きを変えられるため、電波の指向性を調整しやすい。

部屋数が多く、通信が安定しない場所がある場合は、メッシュWi-Fi対応の製品を使用するという手もある(図13)。メッシュWi-Fi対応の無線LANルーター(コントローラー)と複数のエージェント機器(メッシュWi-Fi対応の無線LANルーターまたは専用機器)を使用すれば、広範囲に網の目のように電波を張り巡らせるようになる。

部屋数が多い場合はメッシュ機能に注目
Θ 部屋数が多い場合はメッシュ機能に注目。
図13、メッシュWi-Fiは、対応無線LANルーター(コントローラー)と複数のエージェント機器(メッシュ対応無線LANルーターまたは専用機器)で網の目のように電波を張り巡らせることで、広範囲で安定した無線LAN通信を実現する技術。部屋数の多いマンションなどで安定した通信環境を実現したい人に向く。

ローミング機能に対応している点もメッシュの魅力だ(図14)。メッシュ非対応の中継器を使用した場合は、ノートパソコンの使用場所などを変えて電波状況が悪くなると通信速度が落ちてしまう。対して、メッシュWi-Fiでは随時電波状況が良い機器(コントローラーやエージェント)に接続が切り替えられるため、常に安定した通信が可能になる。

メッシュと中継器の違いとは
Θ メッシュと中継器の違いとは。
図14、従来の中継器は柔軟な接続切り替えができなかったが、メッシュはローミング機能で電波状況が良い機器に自動で接続が切り替わる。

メッシュは、業界団体であるWi-Fi Allianceが策定したメッシュWi-Fiの標準規格「Wi-Fi EasyMesh(イージーメッシュ)」に対応した機器であれば、異なるメーカーの機器を組み合わせても利用可能だ。しかし、対応していない製品も多いので要注意。バッファローのWi-Fi 6対応ルーターおよびメッシュ対応子機は、全てWi-Fi EasyMeshに対応。すぐにメッシュが利用できるペアリング済みの製品も販売されている(図15)。

メッシュ対応製品は増えている
Θ メッシュ対応製品は増えている。
図15、メッシュWi-Fiの標準規格「Wi-Fi EasyMesh」に対応した製品はバッファローなどから発売されている。

接続台数はCPUの性能が大きく影響する。一般に高価な上位モデルほどCPU性能が高く、同時接続できる台数も増える(図16)。Wi-Fi 5以降では、MIMOを拡張して複数の子機へ同時にデータを送れるようにした「MU-MIMO(Multi-User MIMO)」対応製品が登場している(図17)。家族などで無線LANルーターを使う場合は、複数人が同時に接続しても通信速度が落ちにくいMU-MIMO対応の有無も要チェックだ。

接続台数は搭載CPUなどで変わる
Θ 接続台数は搭載CPUなどで変わる。
図16、接続する機器の数が多いほど、無線LANルーターのCPU性能が重要となる。一般的に、価格の安い下位モデルはCPU性能が低い。
 
複数子機に同時接続できる「MU-MIMO」
Θ 複数子機に同時接続できる「MU-MIMO」。
図17 MIMOは複数のアンテナを使用して高速通信を実現するが、子機1台ずつにしかデータを送れない。そこで、複数の子機に同時にデータを送れるように拡張した「MU-MIMO(Multi-User MIMO)」が導入された。

MU-MIMO関連の機能としては、子機との接続性を高める「ビームフォーミング」もある(図18)。通常、電波は四方へ均等に飛ぶため、子機のある場所によっては電波干渉が起こるなどして通信速度が低下してしまう。ビームフォーミングは、親機の複数のアンテナから子機に向けて電波を発信することで、この問題を解決する技術だ。ビームフォーミングに対応した親機と子機では通信が非常に安定する。

接続性を高めるビームフォーミング
Θ 接続性を高めるビームフォーミング。
図18、「ビームフォーミング」もMU-MIMOに関わる技術。子機のある場所が最適な電波強度になるように、親機の複数のアンテナから電波を発信する。対応した親機と子機では安定した通信が可能だ。

使い勝手を高める機能。

無線LANルーターと周辺機器との接続を簡単にする「WPS」という機能もある。接続する機器がWPSに対応していれば、ボタンを押すだけで接続でき、わずらわしい設定は一切不用だ(図19)。同様の機能にはバッファローが規格を策定した「AOSS」などもある。

初心者にやさしい簡単接続機能
Θ 初心者にやさしい簡単接続機能。
図19、無線LANルーターを選ぶ際には接続の簡単さにも注目したい。ボタンを押すだけで周辺機器を接続できる「WPS」やバッファローの「AOSS」に対応していればプリンターなどを接続する際に重宝する。

無線LANルーターは不正利用などを防ぐセキュリティ機能も重要だ。現状、無線LANのセキュリティ規格としては図20の4種類がある。今から無線LANルーターを購入するのであれば、最新のWPA3をサポートする製品を選択することが望ましい。

対応セキュリティ規格も重要
Θ 対応セキュリティ規格も重要。
図20、無線LANのセキュリティ規格としては、WPA3、WPA2、WPA、WEPがある。WPAとWEPはセキュリティが甘く、現在は推奨されない。現行のパソコンやスマホはほぼ最新のWPA3をサポートしている。

有線LANの対応規格や端子の数も要確認だ(図21)。1Gbpsを超える高速インターネットサービスを利用している人は、光回線のONUを接続する有線LAN端子が1Gbps以上に対応している必要がある。NAS(LAN接続ハードディスク)のような複数のデバイスを有線LANで接続する場合は、有線LAN端子が必要な数だけあるかも要確認だ。無線LANルーターは自分の環境、用途に合ったものを選ぶことが重要。以上のことを踏まえて最適なものを選ぼう。

ギガ環境なら有線LAN端子にも注目
Θ ギガ環境なら有線LAN端子にも注目。
図21、1Gbpsを超える高速インターネットサービスを利用している人は、有線LAN端子の対応規格にも注意しよう。インターネットモデムを接続する有線LAN端子が100Mbps対応では、その高速性を生かせない。

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