○ ストレス解消はビジネススキル、心がけでは解決しない。
「仕事のストレス解消はセルフケアが大事、日ごろの心がけが重要」。そんな言葉を耳にすることがありますが、自分で解決できるほど甘いものではありません。過去には、精神力や胆力を強くすれば解消できるといわれていたこともありましたが、今はそんな時代ではありません。
筆者は「ストレス解消はビジネススキル。心がけで解決するものではない」と考えています。筆者が講師を担当するときは、新人研修からこれを伝えるようにしています。
ここでいうビジネススキルとは、仕事のために意識的に習得する、学んで実行することを意味しています。ストレス解消についての知識やノウハウを身に付けて、いざというときだけでなく日ごろから生かせるようにしておくことが大切です。
実際、「ストレスがたまった」と感じるときは、かなりダメージを受けているときです。いざというときは、自分で何とかできる段階を過ぎてしまっていることも珍しくありません。ですから、日常が大切です。
ストレス緩和のためのスキルとは。
では、ストレス解消のためのスキルとはどんなものでしょうか。どうしても新しいノウハウや方法論に目が行きがちになりますが、筆者は意識的に、官公庁の調査や提言などを参考にしています。たとえ凡庸であっても誰でも参考にできそうなものを知り、いかに日常生活で生かすかを全力で考えるようにしています。
今回紹介したいのは、厚生労働省が運営するメンタルヘルス関連のWebサイト「こころの耳」に2023年5月1日に掲載された「『五月病』とのつきあい方」というコラムです。心身に不調を来しやすい時期を乗り切るために「ストレス対処法を多く持っておこう」とアドバイスが書かれています。
このアドバイスに筆者は共感しました。職場や仕事だけでなく、お金・健康などプライベートにまつわる不安や、SNS(交流サイト)で目にしがちな他人の人生に対する妬みなど、ストレスは多様化しています。それに対処するには、1つの方法では足りません。
このコラムでは、具体的に3つの対処法が書かれていました。それぞれについて、筆者の視点から解説してみます。
1.親しい人たちと交流する。
学生時代の友人や趣味を通じて知り合った知人などとの交流がお勧めです。利害関係のない友人・知人は、ストレス解消のはけ口、いえ、良い聴き役になってくれるでしょう。
職場の知人では、アドバイスをくれたとしても「状況が分かっているのにそんなことを言うのか」「できないのが分かっていて、これ以上厳しいことを言うのか」などということになりかねません。
2.笑う。
笑うことも大切です。無理にでも笑うコンテンツを持つことをお勧めします。筆者はほとんど生活に笑いがないと家人から言われていますが、つらいときは昔(放送コードが今よりも厳しくなかった時代)のお笑い番組を視聴して、笑いと共につらい気持ちを捨てています。