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『秋葉原先留交番ゆうれい付き』あらすじ・ネタバレ感想(西條奈加著)

西條奈加著『秋葉原先留交番ゆうれい付き』あらすじ・ネタバレ感想。
顔が良すぎて女性トラブルが絶えないイケメン警察官、彼について来た足だけの幽霊“足子さん”、図体がジャイアントすぎる頭脳明晰オタク警察官の3人?が秋葉原ならではの謎を解明する人情ミステリー。


『秋葉原先留交番ゆうれい付き』 

■著者:西條奈加
■発行:株式会社KADOKAWA



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『秋葉原先留交番ゆうれい付き』あらすじ・ネタバレ感想




『秋葉原先留交番ゆうれい付き』あらすじ 

電気とオタクの街――秋葉原。
男性比率がほぼ9割でその誰もがよく似た格好をしているこの街を、渡井季穂(わたらい・きほ)は世界で一番鬱陶しい街だと思っている。
季穂の先を行くのは、長身のイケメン警察官・向谷弦(むこうや・ゆずる)。
山奥の稲香村駐在所に勤務していた向谷に季穂は昨夜会ったばかりだが、既に向谷の頭のゆるみ具合に呆れかえっていた。


そんな2人がやって来たのは、秋葉原先留(さきどまり)交番だ。
出て来たのは向谷の先輩・権田利夫(ごんだ・としお)。
向谷の3倍はあるかと思えるほぼトド体型、そして筋金入りのオタクだ。
向谷は女性トラブルを起こす度、秋葉原先留交番へ異動及び謹慎させられるのだ。
げんなりしている権田に、向谷は嬉々として季穂を紹介する。
こちらが足子(あしこ)さんです――と。


季穂は足だけの幽霊だ。
母方の実家が神社であり霊感を継いだ向谷は霊が視える。
向谷は季穂に“足子”と命名し秋葉原まで連れて来たのだ。
出会ってから向谷は返事ができない季穂にずっと話しかけ、季穂は何とかコミュニケーションをとろうと足だけで頑張った。
だが、向谷はとてつもなく鈍かった。


向谷は権田に、足子がかかとをくっつけ膝を外側にくの字に曲げたり、足をバッテンの形にしてみたり、一晩中踊って見せてくれたと話す。
それを聞いた権田は気づいた。
「……それって、マルバツじゃねえのか?」(25ページ)


向谷と権田は、足子さんこと季穂の死の真相を調べることにするが、交番には秋葉原ならではの事件が次々舞込んで来る。
フィギア盗難事件、メイドを狙った抱きつき魔事件、謎の迷子事件、メイド喫茶のいさかいなどなど、それらを解決しながら3人は季穂を殺した犯人捜しに挑む。



『秋葉原先留交番ゆうれい付き』ネタバレ感想 

向谷弦は相当なイケメンのようだが、頭のネジのゆるみ具合も相当だった。
相手が男だと名前すら覚えない。
これが女性相手だと名前はもちろん、何人もの話をメモ一つ取らずに聞いて記憶してしまうのだ。
女性の方も美しい顔立ちで常に気遣ってくれる優しさに触れると、ついつい向谷にいろんなことをベラベラ喋ってしまう。
そうしているうちに、彼氏持ちも旦那持ちもみんな向谷に落ちてしまうのだ。


向谷は男の敵だが、先輩警察官の権田利夫にとってはさほど問題ではない。
権田がオタクで良かったよ。
権田は実は東大卒で流暢な英語を話し、他にも中国語か韓国語か操れるようだ。
秋葉原は観光地の一つでもあるから警察官も語学力が必要なのかもしれない。
制服を着た人が英語なんかをぺらぺら喋っているとカッコ良さ3倍増しになるが、トド体型の権田でも素敵度は上がる気がする。


さて、渡井季穂は二十歳で死んでしまった。
彼女は幽霊になってこの世に舞い戻ったが、そもそも霊は人間と会話ができない上、季穂は足しかない状態だ。
足だけの幽霊なので私もバラバラ殺人を想像したが違っていた。
どうして季穂が死んでしまったのか、それを調べていくのは季穂の家族関係を辿ることでもあった。


季穂は、秋葉原のメイド喫茶『桃飴屋 ピンク・キャンディ・カフェ』のナンバーワン・玲那だった。
週1回ガールズバーでも働いていた。
高校在学中に運転免許証を取得し、卒業式で卒業証書をもらうと家出。
東京に上京する時はお年玉を貯めた預金しかなく、生活の為になるべく割の良い仕事をしなければならなかった。
偶然コンビニで出会った『桃飴屋』のオーナー・髭男爵は、季穂が家出娘であることに気づきながらも、放置すれば犯罪に巻き込まれるかもしれないことを考え保護目的でスカウトした。
髭男爵のような人に出会えたのはかなり運が良いと思う。


季穂は、権田や向谷と様々な事件に関わりながら、これが親なのか家族なのかと感動したり妬ましく思ったりする。
季穂の母親は家出し、兄は遠くの大学へ進学すると家には帰ってこなかった。
手段を持たない季穂だけが父親の為に生きねばならなかった。
他人の髭男爵が季穂を心配し【行方不明者届】を出してくれたと言うのに、権田が渡井家に電話すると季穂の父親は世間体を重視し娘は家に居ると言い張るのだ。
家族みんなに逃げられ独りぼっちなのはきっと近所の人達にもバレバレだろうに、娘の生死より自分の見栄が大事とは情けない。


住民票を移せないと面倒事がたくさんある。
健康保険に入れないのもキツイ。
DVなどが理由で逃げた人達はこういう問題をどうやって解決するのだろう。
季穂の兄・茂希は京大卒業後IT系の『ジノテック』に入社し、後に見つかった母の静世を扶養家族にした為、静世は保険に入ることもできた。
もうちょっと早くこの兄と季穂が連絡を取れていれば季穂も死なずにすんだのではないかと思った。
そんな家族との縁が薄い季穂は、真相解明に至っても成仏せず、秋葉原先留交番で3人暮らしをしている。
意外に気に入ったようだ。

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…

ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

コメント一覧

tataraworks-lynx50
@hisamtrois_e hisamtrois_eさま、コメントありがとうございます。
デビューから追いかけていらっしゃるのですね。
確かに追いかける価値ありの面白さでした!
hisamtrois_e
西條奈加さんはゴメスものでデビューしてからずうっと、おいかけております。たたらさんは同世代でしょうから、これからもずっとおいかけられますねえ。

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