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木元哉多著『閻魔堂沙羅の推理奇譚』あらすじ・感想。犯人を当て現世に生還

木元哉多著『閻魔堂沙羅の推理奇譚』あらすじ・ネタバレ感想。
閻魔大王の娘・沙羅のゲームに勝利して生き返れるか、失敗して地獄行きか。
いま頭の中にある情報だけで、それを正しく組み合わせれば、犯人を特定できる『死者復活・謎解き推理ゲーム』に挑戦!


『閻魔堂沙羅の推理奇譚』

著者:木元哉多
カバーイラスト:望月けい
カバーデザイン:AFTERGLOW
著者:木元哉多 『閻魔堂沙羅の推理奇譚』 カバーイラスト:望月けい/カバーデザイン:AFTERGLOW 発行:株式会社講談社 tataraworks
発行:株式会社講談社(講談社タイガ)

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『閻魔堂沙羅の推理奇譚』あらすじ・ネタバレ感想



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『閻魔堂沙羅の推理奇譚』あらすじ 

【第1話 緒方智子17歳 女子高校生 死因・絞殺】
緒方智子は中間テストの成績が原因で父親と喧嘩になりプチ家出をする。
行き場がない智子は、自分がキャプテンを務めるソフトボール部の部室へ向かう。
彼氏の立原令一に電話をした後トイレに行き、戻ってきたら令一が部室に来ておりアダルト雑誌を見ている最中だった。
智子は激怒して令一を追い出すが、一人になると部室からおかしな音が聞こえる。
音の出所を確認した智子は盗撮カメラを見つけてしまい、直後何者かに首を絞められ、目覚めたらこの世ではなかった。


閻魔大王の娘・沙羅は、とりあえず智子を天国行きに決定するが、智子は殺されたことにも死んだことにも納得がいかない。
あろうことか生き返らせろと沙羅にせがむ。
面倒くさくなった沙羅は智子に『死者復活・謎解き推理ゲーム』を持ちかける。


制限時間は10分。
いま頭の中にある情報だけで、それを正しく組み合わせれば、犯人を特定できる。
智子が犯人を当てられたら生き返らせるが当てられなければ地獄へ送ると言う。
智子は死にもの狂いで10分間、自分が死んだ時の状況を元に推理を巡らせる。


【第2話 浜本尚太21歳 会社員 死因・凍死】
いつも仕事で失敗ばかりしている浜本尚太は今日もまた失敗してしまう。
取引先に叱られ、上司に叱られ、後輩にからかわれ、落ち込むばかり。
しまいには同期の出世頭でエリアマネージャーの千原に皆の前で「会社を辞めろ」とまで言われてしまう。
それなのにさっそくやらかしてしまった。
送ったはずの商品が相手先に届いていないと連絡が入り、慌てて冷凍庫へ。
段ボールを動かしたら堅い肉が入った段ボールが次々落下して、浜本の頭にあたり……。


目覚めた浜本の前には閻魔堂沙羅がいた。
浜本は事故で死んだと思っていたが実は殺人であったと分かり、天国行きを拒否して生返りを要求する。


【第3話 門井聡子82歳 無職 死因・老衰】
門井聡子は老衰で亡くなる。
心残りは何十年も会っていない実の息子が今どうしているかだ。
親戚で記者をやっている重太郎に頼んで調べてもらったが、足取りが途切れる。
養子の亮は立派に呉服屋を継いでくれた。
それでも一人息子の誠司が気になって仕方が無い。
閻魔堂沙羅に「天国行き」と言われるが、聡子は天国への階段を上らない。
仕方なく沙羅は今ある情報だけで誠司のことが分かると言い、制限時間10分間で推理せよと言う。


【第4話 君嶋世志輝20歳 フリーター 死因・撲殺】
君嶋世志輝は元暴走族の総長だった。
冷静さに欠ける世志輝はバイトをクビになることもしばしば。
またクビになって暇をもてあましていたある日、自殺したかつての同級生・千郷のことを調べようと思い立つ。
その結果、薬物、売春の疑惑が浮かぶ。
しかも千郷の友達で世志輝の隣の家の娘・由宇が、千郷と同じ売春クラブに登録していることも判明。
由宇が出掛けるのを尾行し、ラブホテルに入ったところを監視していると、相手の男は自分の兄・光暉だった。


兄にUSBを持ってくるように頼まれた世志輝が指定場所へ着くと背後からスタンガンを当てられる。
ガタイの良い世志輝は抵抗するが、続々とヤクザ風な連中が現れ……。
目覚めた世志輝は閻魔大王の娘・沙羅の審判を受けることになるが、世志輝は生き返りを要求する。

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『閻魔堂沙羅の推理奇譚』ネタバレ感想 

【第1話 緒方智子17歳 女子高校生 死因・絞殺】の智子はちょっと私に似ている。
だから、P46で沙羅が智子に説教する言葉の一言一言がまるで自分に言われているようで耳が痛かった。
つい「ははっ、すみません、すみません」と謝りたくなった。


あんたが生きていたころだって、何もかも中途半端だったでしょ。どうせ生き返ったところで、中途半端に生きて、何一つ大成せず、こっちに戻ってくるだけ。ま、そんなものだけど。人間の九割九分はそう。特に意味もなく、無駄にだらだらと、何となく生きているだけ。逆に言うと、あんたが生き返ったところで、地球には何の益もない。あんた程度の人間は山ほどいるから、いくらでも替えがきく。


本当に自分に言われているようで、グサグサ言葉が胸に刺さった。
「ちゃんとしよう、明日から」「頑張ろう、明日から」って言いながら年月が過ぎ、歳を重ねている私。
智子は、自分は本気出したら凄いとアピールし沙羅の気持ちを変えようとあがくが、私だったらすぐ諦める。
地獄ってこんな所だよと教えられたら、せっかく天国行きって最初に言われたのに不利な条件のゲームには乗れない。
地獄の沙汰を受入れるよ。


【第2話 浜本尚太21歳 会社員 死因・凍死】の浜本はお人好し。
『閻魔堂沙羅の推理奇譚』の中でこの話が一番好きだな。
ダメダメ社員なのに、なぜか切り捨てられることがなく、周囲の人間はむしろ心の中では応援してくれている。
それは浜本が正直だからだ。
失敗したら隠そう、誤魔化そうとするのが人間というものだ。
でも、浜本は失敗が多くて人に迷惑をかけてしまう分、絶対に隠したり誤魔化したりしないようにしていた。
それが人としての信用や信頼につながったようだ。


智子も浜本も、【第4話 君嶋世志輝20歳 フリーター 死因・撲殺】の世志輝も死ぬ前は本当にだらだらと生きている。
やればできるのにやらないのだ。
でも、いっぺん死んでからの彼らはひと味違う人間になる。
真面目に丁寧に生きようとする。
族の総長だった世志輝は大学へ行くと決め、本気で勉強に取り組む。
自分の人生を大事にしようと行動し始めた彼らは自信を持つようにもなる。


【第3話 門井聡子82歳 無職 死因・老衰】は一番泣けた。
聡子はとにかく頑張って生きた。
あの時代の人はみんな必死に、まっすぐに生きたんだろうな。
老衰だからね、頑張って生き抜いた人が家族に看取られるって幸せなんだろうなぁって思った。
「ありがとう」を去る人も見送る人も言い合えるのはできそうでできない。
私も臨終間際にありがとうが言える人生を送れたらいいけどな。




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ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

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