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古内一絵著〖蒼のファンファーレ〗ネタバレ感想。少女騎手再びGⅠ挑戦

古内一絵著〖蒼のファンファーレ〗あらすじ・ネタバレ感想。
桜花賞で惨敗した瑞穂とフィッシュアイズは再びGⅠに挑戦する。
今度はチャンピオンズカップ!
だが、瑞穂は騎手としてフィッシュアイズの信頼を失い、厩務員の誠の前にはアル中の母が現れ……。


〖蒼のファンファーレ〗

著者:古内一絵
発行:株式会社小学館
赤い薔薇の写真 tataraworks

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〖蒼のファンファーレ〗あらすじ・ネタバレ感想


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〖蒼のファンファーレ〗登場人物 

<緑川厩舎>
●芦原瑞穂(あしはら・みずほ)
 鈴田競馬場初の女性ジョッキー
 “薔薇の騎士”として売り出される
 勝負服は薔薇の模様
 光司に対して恋心が芽生える

●緑川光司(みどりかわ・こうじ)
 緑川厩舎の調教師
 元は中央で活躍したジョッキーだった
 母親を許せない

●徳永/“トクちゃん”
 エセ関西人でスーパーポポロン担当
●山田の“ゲンさん”
 酔っ払いで担当はツバキオトメ
 誠を心配している
●蟹江/“カニ爺”
 先代時代から緑川厩舎で働いている85歳
 引退を決意する
●木崎 誠(きざき・まこと)
 美形だが失声症で馬にしか興味がない
 実は保護観察中の身
 アル中の母が金をせびりに現れた

<鈴田競馬の馬主>
●溝木(みぞき)
 鈴田の一番の馬主
 鈴田の女馬主はたいてい溝木の愛人

●船井(ふない)
 薬局の店主で一口馬主だった
 フィッシュアイズの馬主になる

●王雨亭(ワン・ユーティン)
 人気風水師ミスター・ワン
 ティエレンの馬主

<ジョッキー>
●池田
 鈴田競馬場のリーディングジョッキー
 (最多勝利騎手)
●神崎 護(かんざき・まもる)
 JRAのリーディングジョッキー
 光司の競馬学校時代の同期
 GⅠでエラドゥーラに乗る
●御木本貴士(みきもと・たかし)
 瑞穂と同期デビューの新人で栗東所属
 瑞穂に苛立っている
 GⅠでティエレンに乗る
●二階堂冴香(にかいどう・さえか)
 中央所属だが女ゆえ騎乗できずにいた
 実は光司の元カノ
 GⅠでコマンダー・ボスに乗る
●木下愛子(きのした・あいこ)
 山口県の片山競馬場でデビューしたばかり
 ラブちゃんとして売り出し中
 ツインテールのアイドル騎手
 勝負服は撫子柄
●浅井 環(あさい・たまき)
 東北のベテラン女性ジョッキー
●市橋
 怪我をした為、二階堂が乗り換え
●内海
 “逃げの内海”と言われるジョッキー

<そのほか>
●大泉(おおいずみ)
 鈴田競馬場の主催者である鈴田市の職員
 広報課所属
 瑞穂にアイドルとしての価値を求める

●美津子(みつこ)
 男と出て行った光司の母親
 最近緑川厩舎にこっそり出入りし始める
 まかないを作るが光司は食べない

●木崎誠の母親
 アル中だが病院から逃げ出した
 誠から金をせびる為に緑川厩舎まで来る

<お馬さんたち>
●フィッシュアイズ
 白い面を付けたような顏で目が黒くない
 魚目(さめ)で風貌が怖い
●ツバキオトメ
 ゲンさんが担当する高齢(18歳)の馬
●スーパーポポロン
 トクちゃんが担当する臆病な馬
●ティエレン
 意味は鉄人
 馬主の希望で一時的に緑川厩舎に所属
●エラドゥーラ
 神崎が乗る人気の馬
●コマンダー・ボス
 馬主は溝木で騎手は御木本だった
 GⅠでは冴香が乗る

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〖蒼のファンファーレ〗あらすじ 

芦原瑞穂は、体は漆黒の青鹿毛、顏は覆面をつけたように白く両眼が蒼白い魚目(さめ)の馬・フィッシュアイズとともに桜花賞に挑み惨敗した。
当時は押しかけていたマスコミも今では静かなものだ。
そんな中、緑川厩舎に新しい馬がやって来ることになる。
それは、人気風水師で実業家でもあるミスター・ワンの馬・ティエレンだった。
ワンは、緑川厩舎の調教師・緑川光司に、瑞穂をティエレンに乗せ必ずフィッシュアイズに勝つよう告げる。


鈴田競馬場で女性騎手ばかり集めた【アマテラス杯】が開催されることになる。
全国から集まった女性騎手の中に片山競馬のアイドル騎手“ラブちゃん”こと木下愛子と、“中央の都市伝説”と言われるほどレースに出ていない二階堂冴香がいた。
馬主のワンの希望でティエレンには瑞穂が乗り、フィッシュアイズには冴香が乗ることになった。
レースが始まるとティエレンは圧倒的な実力を発揮する。
フィッシュアイズは、いつも自分の背に乗っている瑞穂が他の馬で自分をいたぶって負かしたことに傷つき怒る。


その後、ワンはティエレンを再び中央へ戻したが、フィッシュアイズは瑞穂と息が合わずレースに勝てなくなった。
光司は、厩務員の木崎誠を付き添わせフィッシュアイズを牧場へ出す。
それは、フィッシュアイズを休ませる為でもあったが、誠がアル中の母親に会うのを止める為でもあった。


ある夜、勝手に母屋に入ろうとしている誠の母親とゲンさんが鉢合わせる。
揉み合いに気づいた光司も加わり、暴れる母親を止めようとする。
そこに牧場にいるはずの誠が戻ってくる。
母親に助けを求められた誠は怒りで我を忘れ、光司に拳を振り落としたところへゲンさんが飛び込む。
ゲンさんがうめき声をもらし砂の上に崩れ落ちると、異変を感じたツバキオトメは咆哮を轟かせ馬栓棒に体をぶつけ暴れ出した。
他の馬たちも次々暴れ始め……。

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〖蒼のファンファーレ〗ネタバレ感想 

瑞穂も19歳になり恋心を抱くお年頃だ。
私は前作からの流れで、瑞穂と歳が近くフィッシュアイズの世話をしている誠のことを好きになるのかなと思っていた。
まさかのオッサンに行った。
おそらく二階堂冴香が【アマテラス杯】に参加しなければ、瑞穂も自分の気持ちに気づくことはなかっただろう。
冴香と光司は元恋人同士だった。
そんな2人の空気にやきもちをやいたことで瑞穂は光司を好きだと気づく。


ミスター・ワンこと王雨亭(ワン・ユーティン)が馬主の権限で瑞穂をティエレンに乗せたことで、瑞穂とフィッシュアイズの信頼関係にヒビが入ってしまう。
人間に虐待されていたフィッシュアイズは緑川厩舎に来た頃は暴れまくり、なかなか瑞穂を受け入れてくれなかった。
苦労して築いた関係だったのに、フィッシュアイズは瑞穂に裏切られたと思い激しく傷ついて戦意喪失してしまう。


フィッシュアイズの失望した様子がほんとに可哀想だし、ツバキオトメがいつも世話をしてくれているゲンさんのうめき声ひとつで血を流すほど暴れ出したりと生き物には感情があるんだよなぁとしみじみ思う。
ティエレンなんかとても意地が悪い。
並ぶフィッシュアイズが口を開けるとティエレンは力を抜き、フィッシュアイズが差しにかかると嘲笑うように突き放す。
自分の方が実力があると判断すると、レース中に他の馬をいたぶるのだ。


〖蒼のファンファーレ〗はフィッシュアイズがちょっと可哀想だった。
瑞穂に裏切られたと思い激しく怒っていたり、GⅠに出たら出たで大嫌いなティエレンと顔を合わせ、しかもティエレンにまたからかわれ激怒する。
そのGⅠにはかつて自分を痛めつけていた男が居て、フィッシュアイズは恐怖に囚われてしまう。
拗ねたり怒ったり怖がったりと感情のジェットコースター状態だ。


〖蒼のファンファーレ〗でも女性ジョッキーの厳しい現実が描かれていた。
二階堂冴香は実力があっても女と言うだけで馬主から信用を得られず何年もレースに出ることができなかった。
それが【アマテラス杯】で瑞穂やラブちゃんと一緒に美貌を売りにしたところ話題になり騎乗依頼が舞込むようになった。
馬に乗れなくても乗れるようになっても、結局それって差別的だと思う。
それでも、プロのジョッキーがレースに出られないよりはマシなのかも。


瑞穂を中心にした人間関係はそれぞれの心情に変化がある。
ゲンさんも誠も光司も、何か許せないものを抱えて生きてきたのだがGⅠを目指すうちに柔らかい考え方ができるようになる。
変化をもたらしたのは、鈴田に来て女というだけで邪険に扱われながら騎手として勝つことにこだわった瑞穂と相棒のフィッシュアイズだ。
瑞穂のまいた種は次の女性ジョッキーの誕生や騎乗のチャンスにも繋がる。
それは鈴田に限らず、中央や他の地方競馬場にも影響する。
瑞穂が大泉の期待にこたえラブちゃんのように広告塔に徹していたらそうならなかっただろう。
あくまで勝つことにこだわった成果だと思う。


以上、〖蒼のファンファーレ〗感想でした。

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ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

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