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佐倉ユミ著『ツギネ江戸奇譚-藪のせがれと錠前屋-』あらすじ・感想

佐倉ユミ著『ツギネ江戸奇譚-藪のせがれと錠前屋-』あらすじ・ネタバレ感想。
藪医者の息子がひょんなことから、あの世とこの世の狭間にいるような錠前屋の男と出会い、不思議な体験を通して自分を見つめ直し、医者を目指そうとするお話。


『ツギネ江戸奇譚-藪のせがれと錠前屋-』 

著者:佐倉ユミ
発行:株式会社集英社
(オレンジ文庫)


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『ツギネ江戸奇譚-藪のせがれと錠前屋-』あらすじ・ネタバレ感想


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『ツギネ江戸奇譚-藪のせがれと錠前屋-』あらすじ 

由太郎の父・鷹原白遼(たかはら・はくりょう)はかつて名医と呼ばれていた。
ところが、慎重すぎるゆえに患者3人が手遅れになってしまった。
それ以来、「藪医者」として世間に知られるようになった。


鷹原家は代々医者をやっており、由太郎も医者になるものと思っていた。
しかし、父が「藪」と言われるようになって様子が変わってしまう。
ひっそりと暮したいが、由太郎は綺麗な顔立ちをしており、すぐに「藪のせがれ」だと人に知られてしまう。


その上、子供の頃、うっかり皿を割ってしまい、それを隠そうとしたことから、父親に見限られてしまう。
父はどこからか優秀な少年を連れて来て鷹原家を継がせる為に医学を学ばせる。
家でも外でも居場所がなくなった由太郎は長屋で一人暮らしを始める。
医者になることは諦めきれず、医学書だけは読み続けていたが、あっという間に長屋の店賃が払えなくなる。


そんな時、人ならざるものと遊べる錠前屋・次嶺(つぎね)と出会う。
次嶺の不思議な話を聞いた由太郎は、幽霊となっている妹・梓に語りかけてやってほしいと頼む。
父が藪医者呼ばわりされるようになって鷹原家の家計は傾いてしまい、母は30も年の離れた武家の元に梓を嫁にやろうとした。
しかし、祝言の前日、梓は恋仲の男と心中してしまったのだ。


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『ツギネ江戸奇譚-藪のせがれと錠前屋-』ネタバレ感想 

主人公の由太郎だがね、働きませんよ~。
長屋で一人暮らしと言っても、家から持ってきた物を少しずつ売るばかりで自力で収入を得ようとしない。
とうとう売る物がなくなり、長屋の差配の長治には地紙売りの馨について働くか、それが嫌なら陰間茶屋へ行けと言われる。
陰間茶屋とは男娼が働く見世のことだ。
なんせ由太郎、顏だけは良い。
地紙売りも男前の仕事だ。


長治にぐだぐだ言われても、由太郎は労働に積極性を見せないが、お金が作れないと長屋にはいられない。
出会ったばかりの錠前屋の次嶺に頼み込んで、次嶺について回るが……。
うん、普通に役に立たない。


がみがみ言いつつも親切な長治は、馨に頼んで由太郎を仕事に連れて行かせるが、地紙売りの仕事もイマイチ。
150ページで馨は由太郎に容赦のない言葉をあびせる。
「藪のせがれだってのは、藪の親あってのことだ。おめぇから親父を取ったら、おめぇに何が残る。医者のせがれのほかに何が残る」


家には既に優秀な跡取りが居るし、世間から藪のせがれと言われる。
だから由太郎は拗ねているのだと思う。
そして自分のことばかりでのんべんたらりと生活してきたから大事な妹が心中するほど嫌だと思っているのに、嫁に行くことを楽しみにしている、くらいに考えていた。
そりゃ失望するわ、妹も。
そんなダメダメな由太郎だが、医者を目指す為の肚が決まってからは人が変わる。


キツネ顔で女物の着物を着て、蝶番をガチャガチャ鳴らして歩く次嶺。
次嶺は一体何者なのか?


次嶺は子供の頃、人ならざるものと遊んでいたと言い、中でも人の言葉を話す烏に色々教えてもらったそうだ。
ある日、寒さで目を覚ますと、自分以外の村人も家畜すらも姿を消していた。
人ではない友達もいなくなっていた。
次嶺は必死になって山を駆け抜け、しまいに自分の親のことも自分の名前すらも忘れた頃、鍵屋のじいさまに保護された。
次嶺という名はそのじいさまがつけた。


次嶺は一応人の世で仕事をしているから、まあ人間には違いないのだろうが、普通は見えないものが見えたりする。
烏に教えられたあの世の言葉は知っているが意味までは分からない。
中途半端にちょっと怖い。


次嶺は今でも烏を探している。
きっと消えてしまった村人達や親のこと、自分だけがあの世とこの世の狭間にいることを烏ならば知っているのではないかと、期待しているのかもしれない。
烏は烏天狗だったのだろうか。


ぐだぐだ由太郎は前進し始めたが、次嶺のことは謎のままなので気になる。


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ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

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