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ロバート・A・ハインライン〖夏への扉〗あらすじ・感想!猫愛あふれるSF小説

〖夏への扉〗あらすじ・ネタバレ感想。
ロバート・A・ハインラインの〖夏への扉〗は猫愛あふれるSF小説だ。
私は高校生の頃から年一で読み返している。
日本で映画化…山﨑賢人か…ふふふ…。
原作の主人公は30歳そこそこで若干禿げてるんですけどね(笑´∀`)


〖夏への扉〗

THE DOOR INTO SUMMER
著者:ロバート・A・ハインライン
訳者:福島正実
カバーイラスト:中西信行
カバーデザイン:ハヤカワ・デザイン
発行:株式会社早川書房


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〖夏への扉〗あらすじ・ネタバレ感想


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〖夏への扉〗あらすじ

1970年12月
親友だと思っていた男であり、会社の共同経営者でもあるマイルズ・ジェントリィと、もうすぐ結婚する婚約者だと思っていた女であり会社の経理担当でもあるベル・ダーキンの2人にまんまと嵌められたダン・デイヴィスはくさっていた。


ダンが開発した画期的な商品の自動お掃除ロボット『文化女中器(ハイヤード・ガール)』が大ヒットしたおかげで会社は大儲けできた。
ダンはこれから更に便利な商品を世に出そうと張り切っていたのだが、マイルズとその販売のタイミングでもめてしまう。
開発者であるダンは会社の株を半分以上持っていたが、ベルに結納代わりにいくらかの株を譲っていた。
それがダンの敗因だった。
ダンは、ベルは自分の味方をしてくれるものと信じ込んでいた。
ところがベルはマイルズの意見に賛同。
ベルとマイルズの持ち株の合計がダンの持ち株数を超えている為、ダンは会社から追い出された挙句、開発中の商品も全て奪われてしまう。


やけになったダンは、あの2人がいない世界に行きたくて[ミュチュアル生命 冷凍睡眠保険]のコールドスリープに愛猫・ピートの分も一緒に申し込む。
ところが、健康診断を受けた後、冷静になったダンは、正当な方法でマイルズとベルをやっつけ、奪われた物を取り返そうと考える。
ダンは、自分の財産のほとんどがマイルズの義理の娘・リッキイに渡るよう手続きを済ませ、悪党2人と対峙する。
その結果、ダンはベルに怪しげな注射を打たれ自分の意思では何も出来ないデク人形にされ、やめるつもりだった30年間のコールドスリープへ放り込まれてしまう。


運良く30年のコールドスリープから目覚めたダンは、自分がマイルズとともに始めた会社が全く知らない人達のものになっていることを知る。
そして、マイルズがとっくに亡くなっていることも知り、リッキイがその後どんな人生を歩んだのか心配になる。
何とかベルの居所を探しあてて得た僅かな情報を元にリッキイ探しを始めるが、リッキイの行方はつかめない。
ふとしたことから、ダンはタイムマシンを開発した人間がいることを知り……。

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〖夏への扉〗ネタバレ感想

私は高校生の頃からロバート・アンスン・ハインライン(1907年7月7日-1988年5月8日)の〖夏への扉〗を年一回は読み返すほどこの作品が気に入っている。
書店で平積みされていた本の表紙(猫の後頭部)に一目惚れしたのがきっかけだ。
この作品は少々ロマンティックなところがあるタイムトラベル物だ。
おそらく、そのロマンティックなところが日本人ウケするのだろう。
〖夏への扉〗はほぼ日本限定で人気なのだ。
アメリカでは、『月は無慈悲な夜の女王』や『異星の客』がウケるようだ。


余談だが、ハインラインはウォーターベッドを思いついた人でもある。
彼は小説の中でウォーターベッドのことを詳細に書き記した。
これが先例となりウォーターベッドの特許は成立しなかったそうだ。
ちなみに〖夏への扉〗でも369ページで“水圧式ベッド”と表現されている。


ハインラインの小説に出てくる発明品は、いくつか現実になり実用化されている。
先のウォーターベッド以外にオンライン新聞やパワードスーツ、ハンドドライヤー、太陽電池パネルや携帯電話なんかもそうだ。
そして〖夏への扉〗で登場する自動お掃除ロボットもその一つ。
言わずと知れたルンバとその仲間達だ。


小説の舞台は1970年。
この頃の作家にとって、ハインラインでも手塚治虫でも西暦2000年を超えるということは大変な未来が訪れて世の中は大きく変わっているはずだったのだろう。
〖夏への扉〗でコールドスリープからダンが目覚める2000年を既に21年も過ぎてしまったが、2015年になってもジェッターマルス(1977年フジテレビ系で放送)は生まれていないのが現実だ。


さて、1970年のダンは、親友と恋人に裏切られ信用できるのは猫1匹と親友の義理の娘で11歳のリッキイだけという状況だ。
そのせいか、いや多分元々の性格なんだろうがとにかく面倒くさいヤツだ。
傲慢さも感じる。
それゆえ親友に裏切られたのではないか?
ピートは可愛いがどうもダンは理屈っぽくて好きになれない。


ところが、21世紀のダンは人間がまるくなりそんなに嫌な人間でもない。
発達した未来に放り出されたコールドスリーパーは激しいホームシックに陥るらしいが、技術屋のダンにとって知人がいない世界で独りぼっちの淋しさより、進化したテクノロジーを知ることの楽しさが勝るのだ。
それでもリッキイと愛猫ピートを想う気持ちは薄れない。
30年前に戻れるかもしれない可能性を知るととにかくリッキイとピートに会いたくて一か八かの賭けに出ようとする。


偏屈と言ってもいいようなダンは、私の中のイメージでは高橋克実さんをあのまんま30歳にした感じだ。
なので、日本で〖夏への扉〗が映画化されると聞いて大喜びしながらもたくさんの疑問が湧いてしまった。
そもそも、原作通りの主人公でいいのか?
それに1970年代にコールドスリープなんてあり得ないし、2000年だってとっくに過ぎてしまっている。
今の時代の人間が見てワクワクするようなテクノロジーは何かを考えると、文化女中器(ハイヤード・ガール)ではルンバをしのげないではないか。
とか思っていたら主人公を演じるのは山﨑賢人さんで、「1995年の僕、2025年の僕」という設定のようだ。
毎年原作を読み返している私としては何か釈然としない。
全く別物と思えば納得できるが。


ところで、ダンが愛して止まない愛猫・ピートはジンジャーエールを好む。
お出掛けの際はダンのボストンバッグの中に入り、ダンが鞄の外側を軽く叩いて合図するとにょっと顔を出す。
これを想像するだけでメロメロになる。
やはり猫は可愛い。
そりゃあコールドスリープにも一緒に入ろうって気になるわ。


以上、〖夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)〗感想でした。

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ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

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