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『鍵屋甘味処改』全5巻あらすじネタバレ感想。家出娘、鍵屋に拾われる

梨沙さんの『鍵屋甘味処改』全5巻のあらすじとネタバレ感想。
ひょんなことから家出娘を拾った鍵屋さんと、鍵屋を隠れ家にするようになった女子高校生の恋と成長の物語。


『鍵屋甘味処改』全5巻

著者:梨沙
発行:株式会社集英社(オレンジ文庫)
鍵の画像 tataraworks

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『鍵屋甘味処改』全5巻あらすじ・ネタバレ感想


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作者・梨沙について 

梨沙(りさ)さんは、2004年にWebサイト【小部屋の小窓】を開設。
【小部屋の小窓】で連載していた『華鬼』が書籍化によりデビューしました。
『華鬼』は、映画化、ゲーム化、舞台化等している傑作学園ファンタジーシリーズです。

集英社のコバルト文庫の『レドラナール恋物語 蜜色の花園』『世界螺旋-佐能探偵事務所の業務日記-』、一迅社に『第七帝国華やぎ隊』シリーズがあります。

『鍵屋甘味処改』シリーズは集英社のオレンジ文庫より発行されています。
スピンオフで”恋する男子の和菓子な日々シリーズ”として『鍵屋の隣の和菓子屋さん』等4冊発行されています。

実を言うと、作者がWeb小説出身ということで一時流行った携帯小説みたいなものだろ、と甘く見ていました。
ごめんなさい(o_ _)o
梨沙さんは、文章が大変達者な方でした。

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『鍵屋甘味処改』登場人物 

遠野こずえ
 15歳・高校1年生
 養子であることを知り家出
 ひょんなことから淀川鍵屋に居候

淀川嘉文(よどがわよしふみ)
 淀川鍵屋の店主で24歳の天才鍵師
 身近な人には「よしくん」と呼ばれている
 鍵師の師匠は祖母の銀子
 鍵師になってから実家に近寄らず
 長身のイケメンでいつも黒い服を着る

蘇芳祐雨子(すおうゆうこ)
 つつじ和菓子本舗の自称看板娘
 淀川の幼なじみ
 本当は淀川に片思いをしているが……

早川煌(はやかわこう)
 隣町の早川総合ロックの社長
 実家が隣同士の淀川の幼なじみ
 度々不審者に間違われる
 夏帆と連絡先を交換している

遠野夏帆(とおのかほ)
 有名な写真家でこずえの義理の母
 こずえの実母・しずくと親友だった
 娘のことで早川をうまく使うことも……

淀川多喜次(よどがわたきじ)
 淀川の弟で通称「タキ」
 こずえとは同い年
 祐雨子に片思い中

淀川銀子(よどがわぎんこ)
 淀川の亡くなった祖母
 夫・嘉彦他界後、跡を継いで鍵師になる
 あだ名は「鍵屋のお銀」
 30歳手前で髪の毛は既に真っ白
 どんな時も墨色の着物を着ていた

淀川一嘉、富子
 淀川兄弟の両親
 一嘉は嘉文が鍵師になることを猛反対

『鍵屋甘味処改』全5巻背表紙の画像 tataraworks

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『鍵屋甘味処改 天才鍵師と野良猫少女の甘くない日常』 

●あらすじ
冬休みに入った午後―
高校1年生の遠野こずえは自らの出生の秘密を知り家出をする。
行く所がないこずえは、ひょんなことから黒ずくめの男と知り合う。
男は鍵屋で名を淀川嘉文と言う。
こずえは21歳だと嘘をついて鍵屋に居候し、淀川の仕事を手伝い始める。


鍵屋の隣にある[つつじ和菓子本舗]の看板娘・蘇芳祐雨子のアイデアで、鍵屋でも喫茶を始めることになる。
和菓子を買ったお客に50円のお茶チケットを配り、それを鍵屋に持っていくとこずえが接客するという仕組みだ。
警察に保護の電話を入れた時は野良猫を拾ったくらいの感覚の淀川だったが、こずえによって日常に変化が……。


●感想
家出少女を保護した淀川はキッチリ警察に通報するも、寝ぼけて「野良猫を保護した」と言ってしまったようだ。
こずえの育ての親・遠野夏帆も当然、警察に届けを出している。
淀川の言い間違いは一歩間違ったら未成年者略取で逮捕ずら。
仕事以外ではわりとボンヤリしている淀川がツボであります( ̄ー+ ̄)ニヤリ


最初に読み始めた時はこずえの反応がガキっぽいな~と思った。
高校1年生の冬まで、こずえは自分が養子だとは1㎜の疑いも抱かなかった。
それくらい大事に育てられたわけだ。
それなのに全部嘘だったことが許せないってのは、我が儘だなぁと思う。
ショックかもしれないが、まずは夏帆に感謝してほしい。


淀川は、21歳だと言うこずえの嘘を信じたふりをして鍵屋の助手兼隣の和菓子屋の手伝いとして働かせる。
警察から親へ連絡がいくまでの時間稼ぎだ。
正直言って小娘を居候させることはかなり世間体が悪いと思う。
それでも、世間知らずの子供が犯罪に巻き込まれるのを防ごうとしてくれた。
しかし、まだまだ子供のこずえは淀川が守ってくれているとは思わず、反発や反抗することが多い。


自分のことしか考えておらず何にもできない小娘だったこずえだが、鍵屋で働くうちにだんだんと可愛くなっていく。
和菓子屋のお客さんに喜んでもらえることもこずえを成長させたようだ。
人から感謝されたり必要とされることが一番人間を成長させるのかもしれない。

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『鍵屋甘味処改2 猫と宝物』 

●あらすじ
家出娘の遠野こずえは、育ての親の夏帆と和解し家に戻った。
だが、こずえは夏帆に、春休みは淀川の仕事を手伝う為に鍵屋に滞在すると宣言。
淀川嘉文は家出中のこずえを保護して面倒をみてくれた恩人だ。
しかし、16歳になったばかりの娘が、そう何度も24歳独身男性宅に泊まることは母親として簡単に承諾できない。
夏帆が逡巡しているうちにこずえは荷物を持ってさっさと出掛けてしまう。


世話になったとは言え男は男だ。
夏帆は淀川を尾行し、仕事ぶりを観察、彼がどんな人物か見極めようとする。
そこで夏帆と同じように淀川を観察している2人の怪しい人物と遭遇する。


夏帆が探偵の真似事をしていることに一切気づかないこずえ。
1人で鍵屋にいると小学生の女の子が小さな手提げ金庫を持って飛び込んできた。
女の子は、金庫の中に子猫が入っていると言うが、淀川は仕事で不在だ。
こずえには開錠できず……。


●感想
夏帆が実母ではないことにショックを受け家出をした頃のこずえは、本当に何にもできない小娘だった。
しかし、拾ってくれた淀川の影響で、こずえは自宅に戻ってからも進んで料理をするようになった。
淀川不在の鍵屋では開錠練習をしていて、なかなかいじらしい。
でも、こずえは若い女の子が男性のうちで寝泊まりすることは世間体が悪く、下手すれば商売をしている淀川にも迷惑がかかるんだということには考えがいたらない。
しっかり者なんだかうっかり者なんだか。


2巻の後半は、放置虐待と自傷行為という重いテーマが扱われている。
小学校で三毛と白猫の子猫を飼っていたが、その内の三毛猫が手提げ金庫に閉じ込められてしまう。


自分を痛めつけているうちに、他人や動物への思いやりも鈍くなるのかも。
犯人は白猫も金庫に入れるが、こちらはこずえが必死で鍵を開けて助かる。
この白猫は「雪」と名付けられ、後に鍵屋の看板猫になる。


猫の「雪」目当ての小学生が遊びに来るようになり鍵屋は賑やかになる。
淀川は無愛想だけどおおらかなようだ。
明らかに鍵屋に用事が無い小学生が押し寄せても追い返したりしない。
結局、子猫の面倒もみる。
料理下手の大きな猫と一緒に(*^ww^*)

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『鍵屋甘味処改3 子猫の恋わずらい』 

●あらすじ
遠野こずえは、毎週金曜日の夜から淀川嘉文が営む淀川鍵屋 ― 現在の正式名称・鍵屋甘味処改 ― で過ごす。
そこに淀川の弟・淀川多喜次が現れる。
多喜次は鍵屋の隣にある[つつじ和菓子本舗]の看板娘・蘇芳祐雨子に子供の頃からずっと片思いをしている。
そして、彼女が兄の嘉文に思いを寄せていることも知っている。
祐雨子を応援したい多喜次にとってこずえは邪魔な存在だ。
こずえがゴールデンウィーク中も鍵屋に滞在することを知った多喜次は、自分も鍵屋に泊まり込むと言い出す。


その頃、淀川の元には謎めいた依頼が入る。
資産家の老婦人・皐に招かれ「鍵屋敷」と呼ばれる大きな屋敷に行くと、そこには淀川以外に5人の鍵師が招かれていた。
3日間の滞在中に鍵屋敷の鍵という鍵を開け、中に入っているコインを取り出すゲームに参加すれば150万円の報酬がもらえる。
しかも、コインの数が最も多かった参加者には追加で200万円を払うと言う。
報酬とプライドをかけた鍵師達のバトルが始まるが……


●感想
3巻では、淀川の祖母・銀子の若かりし頃のラブストーリーが描かれている。
1巻で描かれた銀子の容貌は、30歳を前に既に髪の毛が真っ白だった。
若くして髪が真っ白になるような出来事があったのだろうと推測はできるが、具体的に何があったのか不明だったのでずっと気になっていた。


銀子の夫は早々に亡くなる。
女が働くというだけで生意気だと言われた時代に、息子・一嘉を育てながらの鍵師業は大変だっただろう。
“師”がついている仕事なら特に男社会で女に対して当たりがキツかっただろうから、働く為にいろんなものを捨てていろんなものと戦う覚悟が必要だったと思う。
手放すつもりが全くなかった大切なものまで手放すことになったのだろう。
手放したと言うより勝手に離れたが正解か。
そう、息子・一嘉の心だ。


頑張って頑張って頑張って、それで息子の心が自分から離れるなんて辛い。
一嘉が、息子の嘉文が鍵屋を継ぐことを認めず、それが原因で仲違いしたままなのも、自分と銀子の親子関係が背景にある。
嘉文にしたら八つ当たりされているようなものかもしれない。


こずえは鍵を開ける練習をしているが、まだまだ自力では開錠できない。
でも、鍵の種類や開けるための道具には確実に詳しくなっている。
淀川の役に立ちたいんだよね~( ´艸`)
だけどこずえはその気持ちが何なのか気づきそうで気づかない。
そして、鍵以外には興味がない絶食系男子の淀川はまるでお父さんのようだ。

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『鍵屋甘味処改4 夏色子猫と和菓子乙女』 

●あらすじ
― 祐雨子さんは、淀川さんのことどう思ってるんですか?
ゴールデンウィークの最終日に、遠野こずえは鍵屋の隣にある[つつじ和菓子本舗]の看板娘・蘇芳祐雨子にそう尋ねた。
女性の心の機微に鈍い淀川嘉文も、さすがにこずえがそんな事を言い出した背景を気にするようになる。
ここにきて淀川は、こずえの扱いをどうしたものか困り始めた。


その頃、祐雨子の周辺にはストーカーが現れ実害が出る。
とばっちりが及ぶことを心配した淀川は、こずえに鍵屋に来ないように言う。
だが、ストーカーのことを知らないこずえは気になって鍵屋へ赴く。
その時、腕を組んで歩く淀川と祐雨子の仲睦まじい姿を目撃し……。


そんな中、こずえの養母・夏帆は、帰省中の祖父母の家に淀川をおびき寄せる一計を案じていた。


●感想
祖父母の家、それはこずえの実母の実家。
夏帆にとっては親友の家。
お墓には、こずえの実の両親、夏帆の夫、そして夏帆の子供が眠っている。
家出した頃より大人になったこずえだが、やっぱり複雑な思いがある。
そこに淀川がいることはホッとすることだろうなぁ。
ただ、いきなり男が現れたらじーちゃん達は結婚相手だと思うけどね。
淀川、よく行ったなぁ(笑´∀`)


こずえは、祖父母の家に保管されていた母の遺品の鍵がなくなってしまった宝石箱を開ける。
その中には愛情がいっぱい詰まっていた。
赤ん坊の頃に両親が亡くなった為、こずえには実の両親の記憶がない。
でも、金庫の中からあふれてくる想いを感じてこずえは泣きはらす。
愛されているという事実は人間を強くすると思うなぁ。


こずえは淀川への恋心を認め、両親達のお墓の前でうっかり告白してしまう。
が、慌てて全力否定(((*≧艸≦)ププッ
淀川もこの頃になるとこずえの存在が大きくなっている。
料理上手なのに味覚がちょっとおかしくて何でもかんでも一味唐辛子をぶっかけて食べていた淀川が、こずえの料理には一味唐辛子をかけなくなった。
こずえの癒やし効果がかなり高いと思う。

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『鍵屋甘味処改5 野良猫少女の卒業』

●あらすじ
ある日、[鍵屋甘味処改]の鍵師・淀川嘉文の元に1本の依頼電話がかかる。
これをきっかけに淀川の苦悩の日々が始まった。
電話の主は、高校時代に淀川に告白を断られ、リストカットした未音だった。
未音は、あの鍵この鍵と理由をつけては毎日淀川に電話し自宅へ呼ぶ。
淀川の高校時代をよく知る蘇芳祐雨子は、未音の元から帰る度ぐったり疲れている淀川に寄り添う。
淀川を慕って鍵屋に出入りしている高校生の遠野こずえは、淀川と祐雨子の様子を見て2人が両思いだと勘違いする。


そんな中、こずえはある婦人の依頼で船箪笥を預かる。
しかし、名前も住所も聞き損ねた上に相手は船箪笥を引き取りに来ない。
その婦人、実は淀川の母・富子だった。
富子は7年も顔を見せない息子と夫の仲を取り持とうとするがうまくいかない。
淀川の父・一嘉に淀川の仕事のことも母親である銀子のことも理解してほしい、と考えたこずえは冬休みに毎日一嘉に会いに行く。


●感想
男前って大変ね、と思う淀川の高校時代の恋愛エピソード。
告白を受入れても長続きせずすぐに別れる。
するとまた脅すような告白を受ける。
リストカットなんて誰でもができることじゃないと分かっていても、実行した人がいる以上、最悪を考えて告白を断れない。
淀川にとって高校時代は暗黒時代になってしまった。


ダークな記憶の元になった未音に毎日呼び出される日々。
キツイ、そりゃあ胃もやられる。
淀川は一味唐辛子が手放せなくなった。
一味唐辛子は祖母の銀子もかけていたので、彼女も相当なストレス状態で戦っていたんだろうなと想像する。


この5巻でこずえは高校を卒業する。
こずえの卒業式の日、こずえを迎えに来た淀川は……( ´艸`)
このくだりニヤニヤするわ~。
こずえが10代だったので淀川はこれまで若い男性と言うより健全にお父さんをやっていた。
改めて恋愛モードに入るってことかな。


こずえと同い年の淀川の弟・多喜次は祐雨子にプロポーズし、和菓子職人を目指して和菓子屋に住み込む。
そのお話は、『鍵屋の隣の和菓子屋さん つつじ和菓子本舗のつれづれ (集英社オレンジ文庫)』を始めとする”恋する男子の和菓子な日々シリーズ”へ続く。
淀川とこずえは和菓子屋の隣に住んでいるのでこっちのシリーズにちょいちょい登場してはいちゃついている。
『鍵屋甘味処改』では高校生相手にいちゃつけなかったもんね、淀川さん。
淀川さん、草食じゃなかったんだ、よかったよ。

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ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

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