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雑感録

SF理想社会(#3)

今回は2050年のエネルギー状況について。
経済産業省資源エネルギー庁が主催する「エネルギー情勢懇談会」の提言によると、日本のエネルギー情勢は温暖化対策に関する2050年の長期目標を掲げた「パリ協定(「京都議定書」の後継となるもので、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組)/全国地球温暖化防止活動推進センターJCCCAのサイトより)」に基づいてる。

具体的には“脱炭素化”というキャッチフレーズの下で“エネルギー技術の覇権”を目指した国家間の競争が熾烈さを増していると言う。例えば、日本が受動的に対応していると他国のエネルギー技術に依存することになる、というエネルギー安全保障上の問題が生じる恐れがある。
こうしたリスクに対する危機感を共有して策定する必要があると言う。

近年、技術革新によって再生可能エネルギーやシェールガスの価格は下落しており、これらの新しいエネルギーに転換すれば、経済成長をはかりつつ脱炭素化が実現できるのではないかと期待される。しかし、現在の太陽光や風力発電は火力発電による補完が必要で、それ単体では脱炭素化を実現できない。

一方、新エネルギーに対抗する形で、化石燃料や原子力などの従来エネルギーについても、水素化や小型化などの技術革新が生じている。
脱炭素化が可能で経済的、その上エネルギー需要を単体で満たすことができる“完璧なエネルギー技術”は実現しておらず、現在でも夢物語だと考えられている。
また、2050年に向けては、さまざまなエネルギー技術間での技術競争が激化しそうなので、どこが主導権を握るのかはまだ分からない。

こういう技術革新は、国際エネルギー機関(IEA)によると、エネルギー情勢が石油によるアメリカやアラブ諸国・ロシアなどとの地政学的リスクに左右される状況が続くと考えられる。特に再生可能エネルギーや原子力などエネルギーの脱炭素化をになう分野について、エネルギーに関するコア技術を自国で握り革新をリードする「技術自給率」をが重要になる。同時にコア技術の囲い込み(自国での独占)も考えられる。

主要国は野心的な戦略を掲げる一方で、その達成方法についてはコミットしていない。欧米の主要エネルギー企業も野心的ではあるものの、したたかで多様なエネルギー転換・脱炭素化の戦略を狙っており、金融を含めた産業間の競争も激しさを増すだろう。

現況下での2050年シナリオは、現行の「エネルギー基本計画」で採用したような、「2030年のエネルギーの姿」という単一ターゲットを掲げるだけでは対処が困難だ。
野心的なゴールを掲げつつも、状況変化に応じてこれを設定し直す「しなやかさ」が必要となってくる。

日本は化石資源の乏しい国。
また、国際的なパイプラインや国際送電線もない。
しかも、中東への依存率が主要国の中で突出している。
人口減少により、長期のエネルギー需要は量的に増大し続けることはない。一方で、停電などが少なく安定した電力供給を長く持続していて、高品質の電力に対する要求は今後も続くはずだ。

日本経済はすでに成熟していて、エネルギーインフラ(送電線、ガスパイプライン、ガソリンスタンド)も全国に張り巡らされている。

エネルギー多消費産業を中心にエネルギー効率がとても高く、信頼性の高いエネルギー技術も持っている。ただ、そんな技術に基づくサプライチェーンは少々危なくなってきて、再構築しようという段階だろう。

日本においてはこのような特徴をしっかりと認識しながら「可能性」はあるが「不確実性」が高い2050年に向けて、柔軟性のあるシナリオを設計していくことが大切だ。重要な要素を3つ挙げるとするならば…。

①福島第一原発事故をエネルギー政策の原点におく。2050年のエネルギー戦略を考えるにあたっても、原子力についての検証・検討は欠かせないものであるが、「危ないから反対」ばかりではこれからのエネルギー不足を補えないだろう。
②脱炭素化を可能とする技術革新について、期待が高まる一方で、国家間競争の行く末は以前不透明です。主要国には金で脱炭素を買うという国も少なくない。その中で、日本はどのように主導性を発揮できるかを考える必要がある。
今回は日本を主眼に置くことを中心とした資料をまとめただけだが、次回は世界に目を向けてみよう。


※参考: 現行の「エネルギー基本計画」(経済産業省資源エネルギー庁) 

※トップ画像:BingAIで作成した「2050年の地球の様子(最悪の場合)」

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