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雑感録

SF理想社会(#8)

人間が住める環境ではなくなりつつあった地球では、地球圏への移住が計画されていた。
地球を一旦無人にして、環境が改善したころに帰ってこようという計画だ。
しかし、スペースXが建造に取り掛かってる低軌道人口衛星は収容人数がせいぜい1万人で、人工衛星を複数建造するにしても科学者や宇宙技術者、政府要人などから先に選別しなければならない。
地球に残る発展途上国の貧困層の活動によって、期間は100年以上かかると言われている。

「今日はまた一段と暑いな。埼玉は予想気温が50℃になるらしいぜ」。
2050年の土用丑の日、医者ながら人工衛星移住の後発組に選ばれたAは、さらに厳しくなっている酷暑を嘆いた。
「こりゃあ、うなぎでも食ってスタミナ付けんことにはやっとられん」。
幸い、絶滅が危惧されたニホンウナギは養殖技術の発達で、養殖ものならたいした贅沢品ではなくなっていた。
「でも、この暑さじゃうなぎ焼く職人もたまったもんじゃないだろう」とB。
職人関係は伝統文化を残そうとの世論によって、最初は移住の後発組に入っていたが、優先人数が1万人を超えたことで、後発組でも特に後の方に追いやられてしまったのだ。
20世紀には世界のトップクラスだった日本人も、選別となると後発組にされている。
Aも医者として日本では名が通っているが、世界クラスの研究を進める医学博士が先発組を締めていた。

「博士先生は今のうちから宇宙疎開に行けるからいいよな…」。
“上うな重を”つっつきながら、Aはつぶやいた。
「お前は医者だからまだいいけど、普通のサラリーマンだった俺が宇宙疎開できるのは、いったい、いつになることやら」と、Bはぼやきながら残った白飯に蒲焼のタレをかけて食い終わった。
二人は古くからの友人で、医学部に合格したAは、同級生たちの羨望の的になっていた。
ニュースでは各国連合の建造計画は着々と進んでいる、という話題に終始した。

「ただいま入りました速報によると、スペースXはこれまで何度も人工衛星建造の資材運搬をこれまで何度も行ってきいましたが、その運搬用のロケットの打ち上げに今回失敗しました」
現在アメリカ・中国・ロシア・インドが全蔵資材の輸送を担っている。
日本もイプシロンロケットMV9で多少の貢献はしているが、リードするアメリカのスペースXの打ち上げ失敗は、場合によっては人工衛星建造に遅れが出るかもしれない。
報道各局では、宇宙科学の専門家先生がいろんな原因を探っているが、少なくとも肝心のスペースXの発表までは、人工衛星建造も停止になるだろう。

←(もどる)(つづく)→

※トップ画像:BingAIで作成した「数は少ないが、2050年に人間が暮らせる低軌道巨大人工衛星への移住が始まった、その人工衛星の絵」

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