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雑感録

プリンは喉越し

 
 プリンが好きだ。
 焼きプリンよりは蒸しプリン。
 蒸しプリンよりは『プッチンプリン』みたいなプルプルのやつがいい。
 それを丸ごと噛まずに飲み込む。
 蕎麦好きは蕎麦をろくに噛まずに飲み込むというが、ぷるぷるのプリンが喉で崩れながら落ちていく、あの喉越しがたまらない。

 スプーンですくってチマチマ食べてもプリンの醍醐味はわからない。
 本格的なプリン、特に焼きプリンなんかは喉にひっかかって落ちていかないので、チープな『プッチンプリン』みたいなのがいい(本当に安物のプッチン系プリンは、プッチンがきれいに折れずに格闘するはめになるのだが)。
 一人暮らしをしていた頃は、ハウスのプリンの素みたいなヤツでどんぶりいっぱいのプリンを作って。お玉状のでっかいスプーンで一人で平らげて悦に入っていたものだ。

 しかし、困ったことに最近はドロドロの液状のプリンが流行っている。
 「どこどこプリン」と地名を冠したご当地プリンも、ほとんどがこの類いだ。
 私が「プリンを飲む」のが好きだと知っている人間が、よくこの手のプリンを「これ、飲めますよ~」と手みやげに持ってくるんだけど、いやいや諸君、違うのだよ。
 ハナっから飲めるプリンを飲んでも、私はちっとも嬉しくない。
 喉越しも何もあったもんじゃないでしょうに。

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