僕はものごころ着いた頃から、熱が出ると手足に激痛が走っていた。町医者程度にはその原因が分かる訳もなく、熱が出たらとにかく痛くて泣き叫ぶしかなかった。また、小学校高学年ごろからは、暑い日に遠足に行くと汗が出ず、頭がくらくらするようになった。それ以外は、小さい頃から出来が良く、クラスではふざけてばかりで、ちょっとした人気者だった。
熱が出たときの手足の激痛は、社会人になったぐらいから痺れる程度になったけど、会社の検診でいつも尿蛋白が出るので精密検査を勧められて、腎生検をやってみたのが38歳のとき。その検体を日赤病院で調べてもらって、初めてファブリ病との診断を受けた。
この病気は先天的な遺伝子欠損で、血液中の糖脂質を分解する酵素を作れないので、分解できない不純物が腎臓に溜まれば腎不全になるし、心臓に溜まれば心臓病になるし、脳に溜まれば脳梗塞になるという。小児期の発熱時の手足の疼痛と、汗が出ないことが特徴で、30代で死ぬ病気といわれていた。
なるほど、言われてみればすべて納得。熱が出ると手足に激痛が走るのも、どんなに暑くても汗が出ないのも、この病気のせいだったんだ! 当時はまだ酵素補充療法も日本では認可されておらず、三十代で死ぬ病気とされていたけど(実際、母方の叔父が何人か腎不全で亡くなっていた〕、熱が出たときの手足の激痛(そのころには大分和らいでいたけど、熱が高いとやっぱり酷かった)に効くテグレトールという薬に出会ったのが何より嬉しかった。
それから二十数年たったけど、まだ平均寿命が45歳程度だったことにびっくり。医学の進歩も思ったほど早くはないんだな。
※TOPの写真はICD(植込み型除細動器)装着後。心臓のある左胸じゃなく右胸に入れたのは理由があったはずなんだけど、忘れた。
(つづく)
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