コクがあるのにキレがある、
福岡平野のまともな古墳。
比恵遺跡(国指定史跡)
6世紀後半~7世紀後半(古墳時代後期)
東光寺剣塚古墳(国指定史跡)
6世紀中期(古墳時代後期)
ボーントゥラービュ♪
ボーントゥラービュ…。
コンニチハ。
今週のミステリーハンター、Fレディ・マーキュリーです。
筑紫君磐井の乱の後、ヤマト王権は北部九州の支配を強化するため、また、対朝鮮半島の外交・軍事拠点として、各地から集めた食料を保管する那津官家(なのつのみやけ)というものを設置します。
大宰府や鴻臚館の前身とも考えられているようですが、細かいことはよくわかりません。
その那津官家の候補地のひとつとされているのが、ここ、比恵遺跡です。
発掘調査後、埋め戻されたんでしょう。
一見、何の変哲もないグラウンドのようですが、整然と並んだ倉庫の跡、10棟分が見つかっているそうです。
説明板には発掘状況と、倉庫の想像図が。これで辛うじて遺跡であることが分かる。 |
どうやら博多駅筑紫口すぐのホテルの土地らしい。テニスコートはあきらめたのだろうか。 |
日本書紀によると那津官家が置かれたのは536年ということらしいですが、この遺跡は6世紀後半以降となっています。
この微妙なズレは何なんでしょう。
また、官家は全国各地に設けられたようで、福岡でも他に倉庫跡が発見された有田遺跡などが那津官家の候補に上がっています。
もしかしたら筑紫の中でも一つではなく、いくつかあったのかもしれません。
さて、CMの後はすぐ近くにあって、那津官家の関係者の墓ではないかといわれている東光寺剣塚古墳に行ってみましょう。
エ~ブリシングデーイ、オッパイ、ライ~ッ♪
アサヒ、スーパードゥラ~イ
<CM>
ここは大正10年創業という、九州最古のビール工場・アサヒビール博多工場の裏門(?)です。
別にビール工場の遺跡を見に来た訳でも、ビールを飲みにきた訳でもありません。
この工場の敷地内に東光寺剣塚古墳があるのです。
早速行ってみましょう。
(上)左手には小さな古墳見学の案内の看板がある。見学の際は右手の受付のおじさんに声をかけてから。 (左)受付を済ますともらえるペライチの解説と記念のシール。 |
この古墳は長さ75mの前方後円墳で、これまた福岡平野で最大級。
もとは3重の周濠があって全長125mにも及ぶものだったらしいですが、現在残っているのは一番内側の周濠まで。
「造出し」とかいうピロティみたいなものが張り出していて、そこに埴輪が立てられていたそうです。
古墳には木が茂っていて形がよく分かりませんが、遊歩道が丸く続いているので後円部のようすは何となくイメージできます。
なんと、くびれの部分から後円部中心に向かって羨道があって、横穴式の石室に入ることができます。
順路に従って進むと石室がある。別名観音山古墳ともいうそうだから、観音様が祀られていたのかも。 |
普段は扉が閉まっているが、開けて入ることが可能。 | 扉から入るとまず前室がある。その向こうに玄室があるが、そちらには立ち入り不可。 |
柵の間から見た玄室。しっかりアサヒビールがお供えしてある(笑)。横の壁は石積み、天井には大きな石が使われている。ここも赤いべんがらを塗ったような跡がある。 |
順路を巡るときれいに紅葉しているところもあった。 |
この後、遊歩道は前方部を横断してもとの場所に戻ります。
いやはや、元奴国にもしっかりした古墳があるじゃないですか。
管理してくれてるアサヒビールさん、ありがとう。
なお、この工場は予約すれば見学もできます(試飲あり!)し、隣にはアサヒビール園もありますので、ビールを楽しみがてら、古墳見学に寄ってみるのもいいかも。
ただし、ビールを飲んだら運転はできません。
JR竹下駅の近くなので、飲みたい人はJRで行くことをおすすめします。
テヲ、ト~リアッテ、デンシャ~デイコ~♪
アイ~、スゥ、ヒ~トヨ~♪
ちなみにこの古墳の隣には剣塚北古墳という東光寺剣塚古墳より半世紀ほど度早くできた前方後円墳があったそうですが、現在は跡形もありません。
アサヒビールさん、こっちは気づかず潰しちゃったんでしょうか。
比恵遺跡
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福岡市博多区博多駅南5-12
見学自由
駐車場:なし
東光寺剣塚遺跡
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福岡市博多区竹下3-1(アサヒビール博多工場内)
公開時間:9:00~16:00(受付~15:30)
休館日:12月30日~1月5日
入場料:無料
駐車場:あり
関連スポット
●福岡市博物館(おまけ4)
(つづく)
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