ATU利用時のエレメントの長さ
現在、2台のオートアンテナチューナーicomAH730を利用しています。アンテナーその1、その2に記載しているように2階ベランダ設置でカウンターポイズでアース代用としています。
icomオートアンテナチューナーの説明書には『 周波数の1/2波長およびその整数倍のアンテナエレメントに対しては、マッチングは取れない』とあります。
そこで1.8~50MHz全バンドにおいて1/2λにならない長さを求めてみました。しかし、実際にはエレメント短縮率、ラジアル(カウンターポイズ)、コモンモード、設置場所などによって異なるので、自分の環境に合わせてエレメント長を決めることにしました。
エレメント長の計算
簡易的にエレメント短縮率を95%として、1.8~50MHz全バンドの1/4λ、1/2λ、3/4λ、1λの計算表を作成して、かぶらない長さを検討。
結果、7.4~7.6m、9.0~9.6m、12.4~13.5m、18.0~19.9mなど良さそうな長さが見えてきました。web上の各局情報ではATU利用時は6.3mや12.8m~13.8mの長さが良いとの結果と近似値です。
また、BALUN DESIGNS社の9:1ununを使って、ワイヤの長さによる、1.8~50MHzの各バンドでのSWR値を示した表も参照しました。
Recommended Wire lengths and installtion for Unun modelsで検索すればPDFが見つかります。
これによると7MHz以上であれば24.5feet(約7.5m)や29.5feet(約9.0m)、1.8~50MHzは49feet(約14.9m)や53feet(16.16m)などが全バンドにわたって比較的良いSWR値を示すようです。
結果、手元にある材料と設置環境から次のようなアンテナとなりました。
ロングワイヤー<1>
昔使っていた28MHz用1/2λの『Cushcrafut AR-10』のアルミエレメントを利用。給電部分を外し、アルミ棒のみ利用して垂直エレメントロングワイヤーとしました。
余談ですが、このアンテナよく飛びます。ラジアルも無く、軽量で設置が簡単です。他に50MHz用AR6、V/U用AR270などがあり一度使ってみたいアンテナです。
アルミパイプを最大に伸ばすと長さは5.4m。2階ベランダに支柱2.2mを建て、その上にエレメントを設置。給電線2.3mをATUにつなぐと全長は7.7mです。
SWR値は
1.8MHz=1.2 但し100Wで連続送信は少しずつSWR値が上がる。発熱等で同調点がずれる? 短すぎるので国内QSOがギリギリできるかどうかくらいの性能です。
3.5MHz=1.4 SWR値は安定。国内QSOには十分です。
7MHz以上はSWR1.0に調整され、CWは国内50W、DX100W、FT8は国内5W、DX25W出力で十分QSOできます。
ロングワイヤー<2>
1.8や3.5MHzを補う目的で、2階ベランダからひさしや、V/Uアンテナ支柱を経由して、4m程は離れた支柱に沿って垂直引っ張っています。名づけると変形逆Lでしょうか。
写真では細くてわかりにくいので、wire部分に色付けしています。
当初、9.1mや19mを試してみたのですが、長すぎて設置に困ったり、特定のバンドでSWR値が悪かったり、受信が7.7mの方がよかったり、思ったほどの結果が出ませんでした。
最後に13.1mで試したところ10MHzだけSWR値が1.6以上、28MHzと50MHzも1.5以上を示しあまり良くありませんでした。
そこで、雑音減少効果も期待して、先端にキャパシティーハットをつけてみました。
いろいろ試した結果、3連キャパシティーハットでSWRが1.0近くで調整できるようになりました。雑音減少効果は感じませんでしたが・・・。
50MHzは1.4と少し高くなりましたがこのアンテナでは運用しないと思うので良しとしました。
運用状況は1.8MHzは国内には十分です。3.5MHz帯は近隣DXは何とか可能です。7MHz~14MHzはパイルアップはだめですが、DX交信を楽しむのには十分です。10MHzでは北米や南米、太平洋方面が良く飛びます。